ある未来のある日の、レーシングチームの採用テスト (3)

ある未来のある日の、レーシングチームの採用テストがつづく。

テクニカルディレクターの憂鬱な気分をよそに、
総帥が、これから「やってもらうバトル」について、淡々と説明していた。


やり方は単純明快。

「ドライバーの運転するランエボ」ｖｓ「ゴーストカーのランエボ」

ドライバーの運転するランエボの方が速く走ること。
同時スタートで、先にゴールしろ。
それだけ。



「宇宙人ルック」のまま。淡々と。

なぜ、フルフェイスヘルメットを脱がないのか?

私にはわかる。
集まっている、ドライバー候補者にはわからなくとも、私にはハッキリとわかる。

総帥が、今にも、クスクスと笑い出しそうになっていることが。
笑い出したいのを我慢して、淡々と説明していることが。
笑い出したいのを我慢している、ということを悟られまいとして、
「宇宙人ルック」のまま話しているのだ。


「質問は?」総帥が問いかける。

ドライバー候補者の一人が手を挙げる。
「あのー、センセイは、総帥って呼ばれてる人なんですかねー?
なんで、フルフェイスヘルメットのままなんですかー?」


やっぱり言われた。


「えーー^^:えっとーー^^;

わたしゃ、こういうカッコして運転するのが好きでしてね。

とりあえず、皆様にも、
これから、このスタイルになって頂いて、奮闘してもらいますから、
見本を見せる?という意味で、この格好で臨ませて頂いております。

ゴーストカーも、けっこう手強いと思いますので、皆様の、奮闘努力を期待しております」



ごまかしやがった。

だが、今日は、
「ナイトライダー(笑)」と言わずに、「ゴーストカー」と言った。

さしずめ、
「真面目にふざけている」と言ったところだろう。