←この種の提案、
東京電力の取締役会は、
「提案のような
業務執行に関する内容を定款で
定めることは適当ではない」
(@去年の東京電力の株主総会)
とか言ってた。
この記事は、
電力会社は、軒並み、株主の意見に反対
green_openmind
2012/06/08 13:52:50
おおよそ会社たるもの株主を最大の顧客として業務遂行を行うものですよね?
について書いています。
それが…ですねぇ…
去年の東京電力の株主総会で、東京電力の取締役会は、
いわゆる、「脱・原発議案」に対して、
妙な回答をしているんですよねぇ~~~。
http://www.tepco.co.jp/ir/soukai/pdf/110610_1-j.pdf
<株主(402名)からのご提案(第3号議案)>
第3号議案 定款一部変更の件
株主(402名)からのご提案
◯議案内容
以下の章を新設する。
第7章 原子力発電からの撤退
第41条 我が社は、古い原子力発電所から順に停止・廃炉とする。
第42条 我が社は、原子力発電所の新設・増設は行わない。
◯提案の理由
私たちは20年にわたり、原発震災・老朽化・廃棄物等、原発の問題につ
いて提案してきたが、取締役は総会のたびに「最大級の地震に耐えられるよ
う設計、建設」してきた(05年)などと述べ提案を拒否し続けてきた。
一方で過去には、活断層の隠蔽・データ改竄などの不正を行ってまで原発の
運転を続けてきた。その結果が3月の東日本大震災の惨状である。
巨大津波により肝心の炉心冷却ができなくなったのを皮切りに、水素爆発、
炉心溶融、使用済み核燃料プールでの爆発、放射性物質の大量放出、住民避
難、計画停電等。「想定外」の言い訳は許されない。
放射性廃棄物についても具体的な処分は進められず、費用がどれだけ莫大
になるか不明である。今回の事故が示したように、原発に頼るとCO2は最
終的に増えてしまう。嘘にぬり固められ、未来の子どもたちに負の遺産を残
し、地元に負担を押しつける原発からは即刻撤退すべきである。
◇
第3号議案に対する取締役会の意見
取締役会としては、本議案に反対いたします。
株式会社の定款は、主として会社の組織、事業目的、株式等の基本的事項
を定めるものとされております。一方、
会社法では、合理的、機動的な事業
運営を確保する観点から、業務執行に関する事項については取締役会の決定
に委ねることを基本としております。
したがいまして、ご提案のような業務執行に関する内容を定款で定めるこ
とは適当ではないと考えます。
↑
東京電力の定款には、「原子力発電所」なんて書いてなくて・・・、
要するに、
取締役会の意見では、
そもそも、
「原子力発電」は、
「(1.)電気事業」 (に伴う「発電」)
の
「執行」に過ぎないから、取締役会の専決事項だ、
「放射性廃棄物」についても、
「(14.)廃棄物の処理及び再生利用」
の「執行」に過ぎないから、
取締役会の専決事項だ、
ということらしい。
ひらたく言えば、
「風、水、火力、原子、その他諸々、
どれをやるのやらないの、
どうやって発電して、
どうやって管理するかは、
俺たち、 取締役 が決めることだ。
そもそも、会社法 (295条2項)によれば、
アンタたち、株主には、
それを指定する権利自体がない!!」
なんて話になっちゃってるんですよね―――。
これを、
実務家方面の方々に定評のある???本の助けをお借りして読み解きましょう。
江頭憲治郎『株式会社法[第四版]』(有斐閣、2011年)295頁― より
一 株主総会の権限
(1)決議事項
(イ)取締役会設置会社の場合
株主総会の決議事項は、取締役会設置会社とそれ以外の会社とで異なる。取締役会設置会社の株主総会は、法令に規定する事項または定款に定めた事項に限り決議することができる(会社法295条2項)。
つまり、取締役会設置会社の機関構成は、業務執行を原則として取締役会の決定に委ねる制度である。法令・定款に定められた事項以外においては、招集者が会議の目的と定めて株主に通知した事項以外は決議できない(会社法309条5項)。
(a)法令に定める決議事項
取締役会設置会社における法令に定められた株主総会の決議事項は、
①会社の基礎に根本的変動を生ずる事項(定款変更、合併、会社分割、株式交換・株式移転、事業譲渡、資本金の額の減少等)、
②機関等(取締役、会計参与、監査役、会計監査人等)の選任・解任に関する事項、
③計算に関する事項(計算書類の承認等)、
④株式の重要な利益に関する事項(剰余金の処分・損失の処理、全株式譲渡制限会社における募集株式の発行等、公開会社における第三者に対する特に有利な払込金額による募集株式の発行等)、
⑤取締役等の専横の危険のある事項(取締役等の報酬決定、事後設立等)
に大別されるが、それぞれ個別に述べる。
なお、法令に明文の定めがなくても、株主総会も会議体である以上、その議事運営に関する事項(各議案の審議・採決の順序、動議の採否、会場の変更等)を決議することができる。
(b)定款に定める決議事項
取締役会設置会社は、定款に定めることにより、株主総会の決議事項を拡張することができる(会社295条2項)。しかし、この方法により取締役会の権限を制約すると、意思決定手続が煩雑になるし、また善意の第三者に対しては当該権限の制約を対抗できるわけでもない。したがって、上場会社等で行われることが少ないことはもとより、取締役会設置会社が閉鎖型のタイプの会社である場合にも、取締役会の権限の制約は、この方法ではなく、株主間契約によるのが通常である。
なお代表取締役・委員会設置会社の執行役のように取締役会に任免権がいると定められている者の選任(選定)・解任(解職)を定款の定めにより株主総会の決議事項とすることは認められない、とする見解があるが、特にそう解する必要はない。
(ロ)取締役会設置会社以外の場合
(a)一般
(b)業務執行に関する決議と取締役の責任
(2)法定権限の委譲等の可否
江頭憲治郎『株式会社法[第四版]』(有斐閣、2011年)295頁―
↑
2:50じゃないヨ^^; たぶん、この↑本は、リッピとかいう人あたりは持ってるんじゃないかな―?
で…、
今度の株主総会で脱原発議案やるぞ!!
と言ってる、橋下大阪市長に、この話、触れて欲しいんだけどね^^;
あの人、弁護士の免許、持ってるでしょ? 一応^^;
東電の取締役会は、
「提案のような
業務執行に関する内容を定款で定めることは適当ではないと考えます。
会社法 (295条2項)
では、
業務執行に関する事項[←この場合、風力、水力、火力、原子力、何をどういうふうに使うか、それを決定すること]
については取締役会の決定に委ねる
ことを基本としております。」
と言っちゃってるんだけど^^;
(関電の取締役会も、同じような見解を表明したかどうか、は不明ですけどね)
「いや、脱原発提案も、適当だ!!
議題として扱うべきものである」
ということを正当化したような、会社法学の
説は・・・
私が知る限り、
河本一郎説しかないんですよねぇ・・・。
(↑かわもと いちろう。 こうもと じゃないヨ^^;)
株主提案権と社会問題
電力会社の毎年の株主総会に対して、反原発運動を展開している株主が行使している提案権も社会的性格をもったものである。たとえば平成3年6月27日の関西電力の株主総会に対して、株主は、原発の順次廃止や企業活動の地球環境への配慮を定めた定款規定の新設の提案をした。
これらの提案事項は、一般の経済的・政治的・人種的・社会的な性格を(本の誤植→)ももったものであって、もっぱら利益の追及を目的とする株式会社の株主総会において議論されるべきものかどうか疑問がないわけではない。しかし、現代の大企業にあっては、その営利のための企業活動が一国の社会、経済のみならず、地球全体の環境問題とも密接な関係をもっていることは否定できないところである。それらの問題と関係の無い状態で営利のための企業活動を行うことは不可能である。
したがって、以上のような問題が株主総会の議題として提案されたときに、これを総会で議論すべき事項でないとしてしりぞけることはできない。
河本一郎『現代会社法 新訂第七版』56頁(平成7年)商事法務研究会
どーーーなのよ?
橋下徹は、
河本説???
みたいの使って反論するの???
って気になってるんだけれども、
この点について、橋下市長が話した、ということは聞いてない^^;
(関電の取締役会も、去年の東電と同じような見解を表明したかどうか、は不明ですけどね)
これ、
橋下市長が「法律理論家」として、マトモな業績を残せる?数少ないチャンスな気がするけど^^;
ま、でも、
「自分は、法律家としてより、政治家としての業績を残したい。
特に、理論家としての業績など、眼中にはない!!」
とかツイートしそうだな(苦笑)。