
私は、免許を取得した翌々日から、
多摩湖道でトレーニングを始めた。
免許取得後の最初の一週間は、それこそ自分が初心者中の初心者であることを実感するだけのものであった。
まず、キャッツアイを頻繁に踏んだ。
それに加え、ラインに集中するがために走行速度が遅くなる。それがどの程度遅くなっているのかといえば、ミニバンに煽られるほどであった。
バックミラーを見ると、黒いミニバンがミラー一杯に映っており、私の母と同じ年頃の中年女性が運転しているのがわかった。いわゆる「オバチャンに煽られた状態」というやつである。しかしながら、ここに登坂車線のようなものは存在しないため、なす術なくそのまま走行するしかない。
しかも「走り屋意識」なるものも、
形成前であるため、
こうした場合に出すべきサインに関する情報も、頭の中にはなかったのである。
故に、
なす術なくそのまま走行するしかない。
さて、
多摩湖の外周を回る道路が多摩湖道である。
いわずもがな、
この湖の周回道路には「ストリートファイター」と彼らを見ようとする「ギャラリー」たちが終結し、「自然発生型のサーキット」となっていたことはいうまでもない。
ただ、「なっていた」と、過去形で書いている理由は、慧眼な読者やこの場所を知っている方々にはおわかりであろう。
現在の多摩湖道は、ほぼ全線に渡って、ハンプ、キャッツアイ、センターポールといった、いわゆる「走り屋潰し」のグッズが設置されている。
従って、わずかでも、指定されたラインを外すと、キャッツアイを踏んだ衝撃が車体を襲い、速度と足回りのセットによっては、車は相当にバランスを崩す。であるが故に、現在では、「ストリートファイター」の姿を見ることは、ほぼ出来ない。
しかしながら、こうした「走り屋潰し」のグッズが、免許をとりたてだった、私にとって、対称効果を発生することになる。つまり、これは、指定されたラインを必ず守って走行させるためのものであるがために、センターライン側と路肩側の双方にキャッツアイが設けられている。そのため、左右のどちらにでも、20センチもラインを外そうものなら、必ずキャッツアイを踏むことになるのだ。
私は、ずっと、「喘息体質では無い子」の中では、足が速かった。
(喘息薬がドーピング的効果を果たしていたように見えたことは、いずれ語る)
速く走ろうとすることが好きだった。
しかし一方で、私は、ずっと、自分の運動神経には自信が無かった。
だから免許をとってすぐのこと、私は自分の感覚神経を何とかして鍛えることを最優先の課題とした。
その需要にピッタリと応えたのが多摩湖道の「キャッツアイ・ロード」だったのである。ここで私はラインを完全な形でトレースすることに専念した。そうして私は、ラインをトレースしながら、少しずつ速度を上げていくことをしていったのである。
かくして私は、免許を取得した翌々日から、多摩湖道でトレーニングを始めた。
Posted at 2010/03/17 22:01:20 | |
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多摩湖道 | 日記