
「江戸っ子意識」。
このGT―Rも、アレキサンダー大王と全く同じで、多摩ナンバーを付けていた。
そのドライバーが喋る言葉も、勿論、上品な山の手言葉でもなければ、イキのいい下町言葉でもない。いわゆる「生粋の江戸っ子」ではない。
ドライバーは、まったく普通に標準語を話しているらしいんだけれども、その喋り方は、いわゆる「関東なまり」といわれる、「東京の田舎」といわれる地域独特の発音であるらしかった。
関東以外の地方に行くと、「関東言葉」と言って、都会者扱い?場合によってはヘンな目を向けてくれたが、
東京の中心部で年配の人々と話すと、「関東訛り」と呼ばれてたちどころに「田舎者扱い」された。
しかし、このドライバーの持つ「江戸っ子意識」のようなものは、
「生粋の江戸っ子」といわれる連中の追随を決して許さなかった。
「田舎者」の彼が強固に持った、
「偏見と妄想によって固められた江戸っ子意識」は、
「闘争心・・・つまるところ暴力・・・と、密接に結びついた江戸っ子意識」となっており、
彼の魂の核を形成しており、
彼の魂の最上位に位置づけられているらしかった。
そして、それは同時代の東京中心部に住む誰よりも強かった。
次に、
これから、この先のトンネル内で、このGT―Rの獲物になる「奴」について。
「奴」の行動パターン、これから「奴」がやろうとすることは、分かりきっていた。
深夜のこの時間帯、ちょうど少しだけ、環八が「オールクリア」になるのだ。
高井戸方向から環八を北の方へ。
この四面道の立体をくぐって井荻トンネルへ。
井荻トンネルは中で分岐している。
左車線に乗って直進すると谷原方向へ。そのまま「笹目通」になる。
右斜線に乗って右方向へいくのが環八本線。この分岐から先、高速セクションが存在している。「奴」はそこへ行く。
そういう「奴」を捉えるのに最適な場所が、この四面道なのだ。
しかし、なぜ俺が、「奴」が今日現れることを知っているかって?
それは「奴」の外観を見た時点で、わかる者にはわかる。
「奴」は、俺以上の懐古趣味なのだ。
まず、「奴」の車種選択それ自体にある。
「奴」のクルマ、言い換えれば「奴」・「奴ら」を造り出している自動車メーカーは、もう60年以上も同じようなクルマを、性懲りもなく造り続けている。
第二に、「奴」の外観、つまり、外観に現れるチューニング・・・、ファッション性とでもいうかな・・・、それは、もう60年以上変わっていないスタイルだ。
あの車種で、大径の改造マフラー、横一文字のGTウイング。
もう60年以上前に確立された「走り屋のスタイル」ってやつだ。
この点については、俺も人のことは言えないな。
第三。
「奴」の行動パターンは、平成元年頃まで流行っていた、「伝説のつくり方」に則っているということ。
要は、「同じ曜日の、同じ時間帯に、同じ場所を走る」ということだ。
まあ、今回は、これらの「奴」に関する情報の全てを、自分で集めたわけではないから、100%この通りというわけにはいかないだろう。
しかし、情報としては信頼できるし、
複数の情報源から情報を得て、
かつ、詳細に検討しているから、
これから「奴」が現れることには、蓋然性がある。
Posted at 2009/11/03 22:48:17 | |
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環八(環状) | 日記