「わたし達は(少なくとも私は)、先入観という、古臭い常識に寄りかかりたがる。実態と先入観とが一致していたとき、わたし達は大きな安心感を得るものだ。
では、目の当たりにした現実が先入観とは異なるときはどうなのか。そのとき、私は、先入観が正しいものだとする事象を探し求めて、もがき、彷徨い歩くことだろう」
↑日比谷公会堂。(今日の画像と本文とは、別の場所であり、あんまり関係ありません)
三菱自動車の株主総会も、平成19年、20年はココでやっていた模様。
「私は、古臭い常識に寄りかかりたがる」
今日、私は、とある動機によって、五反田近辺の、とある製造業会社の株主総会に突撃した。
何故?
まあ、その動機は書きますよ。
(「丹羽さんが、平成18年にもなって、対中国論をこんな甘いこと言ってるよ~」とかボロクソにこき下ろしているくせに、)
先週まで、
私の、株主総会に対する「先入観」は、以下のようなものだった。
↓
「1993年6月に日本監査役協会により上場企業1106社に実施された質問票の郵送調査によれば、約80%の株主総会は30分以内で終了している。1時間以上続いた株主総会は3%にも達しない。株主の出席率は低く、70%の株主総会においては、出席株主には100人にも満たなかった」(吉森賢『日本の経営・欧米の経営』1996年 p59)
「日本の株主総会が無機能化した原因の第一は個人株主が株主総会に出席しないことにある」「株主は個人株主と機関投資家に二分される。個人株主が株主総会に出席せず、委任状によってその議決権行使を委任する場合でも賛否の意思を明示せず、株主総会に対して総じて無関心である現象は普遍的といえよう」(吉森賢『日本の経営・欧米の経営』1996年p60)
「また、株式持合いによって「安定化」されており、株主総会開催前に企業経営者はこれら安定株主と議題を打ち合わせ、同一の歩調で株主総会にのぞむ。したがって株主総会以前に実質的な決定がなされている」(吉森賢『日本の経営・欧米の経営』1996年p61)
「わが国特有の現象である特殊株主すなわち総会屋の存在である。総会屋とは株主総会において円滑な議事進行に協力することの代償として会社から金銭を得ることにより生活の手段としている株主を意味する。会社から要求する金銭が得られない場合は、株主総会において嫌がらせ的質問をし、まじめな株主の発言を妨害し、議事進行を妨害する。かつてわが国の多くの大企業は総会屋に金銭その他の便宜を与えた」(吉森賢『日本の経営・欧米の経営』1996年p61)
↓
要約すれば、
「個人株主は、私以外には来ていない」
「30分以内に終わるいわゆるシャンシャン総会である
または
総会屋の怒号によって荒れている」
そういう「先入観」であった。
だから、三菱自動車工業と、某製鉄大手の二社行って見たところ、その「先入観」が揺らいだのだった。
だから、私は、先入観が正しいものだとする事象を探し求めて、もがき、彷徨い歩いた。
私は、「30分以内に終わるいわゆるシャンシャン総会」を期待した。
「弱小資産家(いってみれば貧乏人)」の我が家が保有する株主権も、開催される株主総会は今日まで。
うーーーーむ。
一部上場でも、知名度は大きくなく、本社社屋で行われる。
本社社屋で行われるんだ!
コレは小規模な総会だな!
ココだ。
ココの会社なら、「いわゆるシャンシャン総会」にお目にかかれることだろう!
30分以内に終わるシャンシャン総会だ!笑
期待は・・・外れた。
確かに、株主は50名ちょい「しか」来ていない。
しかし、50名以上「も」来ている・・・汗。
しかも、質疑応答があって・・・結果・・・1時間20分。
私の「先入観」は完全に打ち砕かれた。
「先入観」の中で「かろうじて残っていたもの」はコレ↓くらいなものであろう。
株主総会開催前に企業経営者はこれら安定株主と議題を打ち合わせ、同一の歩調で株主総会にのぞむ。したがって株主総会以前に実質的な決定がなされている」(吉森賢『日本の経営・欧米の経営』1996年p61)
したがって、私の「先入観」は完全に打ち砕かれた。
ってゆーか、朝からNHKのニュースで放送されていた。
「最近、株主総会に対する関心が高い。特に今年は、初めて株主総会に行ってみよう、という人が増えている模様です」と。
あの(ある意味感度の鈍い)NHKがこう報道するくらいなのだから、
おそらく、株主総会の熱気が相当高まっているのかもしれない。
さて、
何の因果か?
私は、「株主主権論者」ではない。むしろ、それに反対な人生観である。
何の因果か?
それなのに株主の席に座っている。
私の斜め前のある株主が問うた。
「今月(六月)上旬には、ホンダ系の中国の製造工場でストライキが起きました。
中旬(18日)には、トヨタ系の部品メーカーの工場でストライキが起きました。
今、中国では、日系企業の工場に対するストライキ運動が起こっているみたいです。
スト対策は、きちんとやってますか?
他にも、安価な人件費を求めていったのに、人件費も上昇、人民元も上昇・・・」
社長の回答「そういったカントリー・リスクに対する対応は、きちんとおこなっています」
と・・・、
https://minkara.carview.co.jp/userid/607203/blog/18598450/
のページと酷似したやりとりとなった。
内容は勿論、用語まで。
それにしても、総会で発言に立つ株主の方々は、全く・・・よく勉強しておられる。
知識と経験が豊富だ。
はあ・・・私が、還暦くらいなる頃には、
経営陣の方々よりも、
今、総会で発言に立つ株主の方々よりも、
知識と経験豊富になれるだろうか?
厳しいな・・・汗。
時間は、数十年あっても、厳しいかな???
「他に、質問など、ある方はいますか?」
もう、質問を持っている人はいない。
それにしても、総会で発言に立つ株主の方々は、全く・・・よく勉強しておられる。
知識と経験が豊富だ。
はあ・・・私が、還暦くらいなる頃には、
経営陣の方々よりも、
今、総会で発言に立つ株主の方々よりも、
知識と経験豊富になれるだろうか?
厳しいな・・・汗。
え?
でも・・・、
「よりも」「越える」ってことは、
あの方々よりも早い年齢で、同じことは出来るようになっていなくてはならない・・・汗。
質問したいことは・・・三点ばかり・・・、ある・・・汗。
「他に、質問など、ある方はいますか?」
誰も手を挙げない。
私は、挙げることにした。
マイクが回ってきて、札の番号と苗字を名乗る。
(嗚呼・・・ご年配の方々の知識と弁論力には、到底及ばない・・・。嗚呼・・・私ごときの能力では・・・心もとないな・・・嗚呼・・・。
極めて、「個人的事情・感情」によって極度の緊張状態に陥っている 笑
言い回しがヘンだったり、ガクガク震えていたかもしれない)
一つ目は、
「円高対策として(円高なのに)、円価以外で材料調達をする」というご説明に違和感があるので、補足していただけないか、とするもの。
回答は、「いわゆる現地現物です」という趣旨。
(ああ、良かった。質問内容は、正確に伝わってる)
もう一点目は、・・・消し飛んだ。笑。
緊張のあまりに忘却・・・泣。(翌日になって思い出す。「スト対策」について、直接回答していなかった気がするが、というもの)
三点目は(二点目が吹っ飛んだので仕方なく「二点目は」という)、
まあ・・・私の「専門分野」に近い論点です(ここではヒミツです)。
「この種の(法的)事態が起きた場合の備え」は「無い」・「設けない」と書いてありますが、
それは何故ですか?
今後設けなくていいんですか?
設ける気はありませんか?
というもの。
(よしゃーいーのに、自分のある種、得意分野だからって、
裁判所が使った、最も「笑っちゃうような言い回し」を引用し、
笑いを誘いにかかるという暴挙に出る。
会場が笑い出す。
何故だろう?
株主総会ってのは、笑いがよく起きる)
丁寧にご回答頂けました。
「スタンス」「方式」「考え方」は充分に伝わりました。
「社内に備えがある」って回答です。
有難うございます。
それにしても、
何の因果か?
私は、「株主主権論者」ではない。むしろ、それに反対な人生観である。
何の因果か?
それなのに株主の席に座っている。
そして、株主として経営者に質問するという局面の、当事者となった。
それにしても、私は、先入観という、古臭い常識に寄りかかりたがる。実態と先入観とが一致していたとき、わたしは大きな安心感を得るものだ。
では、目の当たりにした現実が先入観とは異なるときはどうなのか。
そのとき、私は、先入観が正しいものだとする事象を探し求めて、もがき、彷徨い歩く。
だから、私は、自分が得た先入観が正しいものだとする事象を探し求めて、もがき、少しばかり彷徨い歩いた。
「弱小資産家(いってみれば貧乏人)」の我が家が保有する株主権における総会開催は今日まで。
(ってゆーか株主総会開催自体が、明日以降は殆んど無い。)
嗚呼・・・、
どこかに、
30分以内に終わるいわゆるシャンシャン総会は残っていないのだろうか?