
この記事は、
赤字見込みの北海道新幹線 要因に特殊状況
2015.12.09 恵 知仁を、メモしています。
北海道新幹線の開業区間と運行予定本数(画像出典:JR北海道)。
2016年3月に部分開業する北海道新幹線について、収支がおよそ48億円のマイナスになる見通しをJR北海道が発表。要因のひとつに「北海道新幹線固有のコスト」があるといいます。
東京~函館間の鉄道シェアが約3割になると想定
JR北海道は2015年12月9日(水)、来年3月26日(土)に新青森~新函館北斗間で開業予定の北海道新幹線について、収支想定を正式発表。約111億円の収入に対し支出は約160億円、差し引きおよそ48億円のマイナスになる見通しを示しました。
「収入」の根拠について同社によると、津軽海峡を青函トンネルで越え、本州と北海道を結んでいる在来線の海峡線利用者がすべて新幹線へ転移し、東京~函館間の移動について鉄道のシェアが現在の約1割から約3割になると想定すると、その収入は111億円になるとのこと。
対し「支出」は、日々の運行コストなど通常の新幹線運営費用が80億円、ほかの路線には類がない“北海道新幹線固有のコスト”が34億円、新幹線施設を保有する鉄道・運輸機構へ支払う貸付料が9億円、減価償却費が33億円、諸税1億円、事業報酬が3億円。合計で160億円という計算です。
なお北海道新幹線の東京~新函館北斗間について、所要時間は最短4時間02分、運賃と特急料金の総額は2万2690円(大人・通常期)になる予定です。また先述の試算は、2016年度から2018年度の平均で計算されています。
「北海道新幹線固有のコスト」とは? その特殊な状況
「北海道新幹線固有のコスト」とは、どのようなものでしょうか。JR北海道は以下の3点を挙げます。
物流の大動脈であるため、在来線貨物列車の運行継続が必要な青函トンネル(2009年10月、恵 知仁撮影)。
・津軽海峡の海底地下を走る青函トンネルの使用維持(21億円の支出増)
排水ポンプの電力費や更新費など、長大な海底トンネルのための特殊な設備に関するコストや、特別高圧ケーブルなど、1988(昭和63)に在来線として開業してから約30年使用し、老朽化している設備の維持や更新のコスト。
・貨物共用走行(7億円の支出増)
3本のレールを使い、レール幅が1067mmの在来線貨物列車、1435mmの新幹線を同じ青函トンネルへ走らせるという“複雑な線路”の維持コスト。また、新幹線が運行されない深夜帯にも貨物列車が走ることから、施設を整備する時間が制限され、保守作業にかかるコストが割高になる。
・短区間開業(6億円の支出増)
札幌駅までではなく、新青森~新函館北斗間の約150kmという短区間開業のため、運行指令業務に関わる設備や体制、保有せねばならない予備車両のコストが割高になっている。
これら“固有のコスト”などから北海道新幹線の収支は約48億円のマイナスが見込まれていますが、JR北海道によると、新幹線開業に伴い並行する在来線をJR北海道から第三セクター鉄道へ分離することによる受益、また関連線区の受益によって、総合的には収支の均衡が図られる計画とのこと。
「整備新幹線」と呼ばれる新幹線路線では、JRの負担軽減という理由から政府・与党申し合わせにより、開業と同時に並行在来線をJRから分離することが可能。北海道新幹線でも新青森~新函館北斗間の開業と同時に、並行在来線の江差線(五稜郭~木古内、37.8km)がJR北海道から第三セクター方式の道南いさりび鉄道へ移管されます。
【了】
Posted at 2015/12/24 04:07:00 | |
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