moulin-roujeのブログ一覧

早朝の空気はそれはそれは冷たくて、なかなか起きてこないワンコたちに気合いをいれ、油断していると帰ろうとする二匹を引きずっての散歩なのだが、とぼとぼでも頑張って続けていると、時にはイイこともあるもんだ。
お金を拾った？いいえ、見つけたんです。
足下はまだ暗いけど、明るくなりかけた山際。ちょうど朝焼けの紅と夜空の紫とがせめぎ合う、蒼くすがすがしいそらに似つかわしくない、ただよう塊を・・・。
そいつは、そらがぽっかり抜け落ちたと勘違いするくらいあやしく、黒い塊でした。
ワンコたちはまだ気がついてないみたいでしたが、僕は気になって仕方なく、散歩道をそれて近づいてみることにしました。
黒い塊は噂に聞くＵＦＯにしてはこじんまりとしていて、スーパーマンにしては鈍そうで、ふわりふわりと浮き沈みを楽しんでいるようにも見えました。
ちょうどジグソーパズルのピースのような奇妙な形だけど、おそらくはヘリウムガスの入った風船だろうと察しをつけて、僕はさらに近づいてみた。すると、電線に引っかかっているもんだとばかり思っていた真っ黒いピースは、意想外なことに高度を下げて近寄ってくる。
風船に違いないと理解はしてても、素直に足が止まる。
黒い塊を見つけたワンコたちが吠えはじめた。動じない塊が向かってくる。僕の気持ちは後ずさる。
「怖～」こっちを向いてる。真っ黒だったシルエットにようやく朝の光が差したのだ。
あっ、青い。ん、手を上げている。もしかして・・・。
やっぱりそう。何でもかなえてくれる不思議なポッケ。
君だったのか。

未来からやってきた猫型ロボットが、僕とワンコたちの目の前に静かに静かに舞い降りてきたのでした。

今年の僕はおみくじを引けば「第一番・大吉」だし、散歩をすれば「ドラえもん」だ。これはどうかしてるぞ。
湯飲みに茶柱が立ったくらいがなんだ。 讃岐ではうどんが立つことだってある。
でも、朝焼けの空にドラえもんの降臨を体験することはまずないだろう。
何でもかなえてくれる不思議なポッケだ。
明日から僕は、誰よりも誰よりも・・・「のび太君だ」。