川俣ダムの見学でへとへとになってしまいましたが、次なるダムへとクルマを走らせます。来た道を戻るように、栃木県道23号線を東へと向かいます。
ここは写真のとおりのアーチ式ダムですが、見所としては、上部が大きく下流側にせり出した、3D形状(?)の提体でしょうか。よくこんな複雑な形を設計・施工できるものだなぁと感心することしきりです。
天端は県道23号が緩やかなカーブで通っています。
さらに、川治ダムから葛老トンネルを抜け、湯西川ダムへ。
ここは2012年に完成したばかりの、比較的新しいダムです。そのため、提体はまだ新しく、白さが際立っています。まさに「白亜のダム」といった趣です。
コストと環境への配慮を重視して建設されたという湯西川ダムだけあって、必要以上の装飾も無く、至ってシンプルな印象です。面白みに欠けるといえばそれまでですが・・・。
ダムサイトもきれいに整備されて、まるで公園のようになっています。しかし土曜日の午後という時間にもかかわらず、人の姿はありませんでした。
資料室を出てダム湖を望むと、遠くに水陸両用バスが見えました。
ウチの子どもが小さいときに、コレに一度乗ったことがあります。
湖に突入するときは結構な衝撃が来るのと、その直後にやって来るなんとも言えない浮遊感が独特で、楽しい乗り物でした。
駐車場に戻ってくると、隣に私と同じクールシルバーのデリカが止まっていました。せっかくなのでツーショットをいただきました。
まあ、あちらのオーナーさんも絶対に意識してそこに止めたのでしょうが。
そして最後にやってきたのが、五十里(いかり)ダム。ダム湖は、ダムと同名の「五十里湖」です。
ここは湯西川ダムとは反対に、1956年に完成した古いダムです。古いダムの特徴でもある、コンクリート提体表面に木目模様(木枠を使ってコンクリートを打設した跡)が見られます。
管理棟の一部に「わくわくダムダム資料室」なる展示スペースがありました。
ここで資料をじっくり見学している間に大粒の雨が降り始めてきてしまいました。雨具を持参していなかったのと、カメラを濡らしたくなかったことから、残念ながらダム本体の見学はまたの機会に譲ることにして、本日のダム巡りドライブはここまでとなりました。
とはいえ、朝の天気予報では昼前から大雨になるという予報が出ていたので、この時間までなんとか天気が持ってくれたのは、ヨシとしなければなりませんね。
続いては、鬼怒川水系最奥の川俣ダムです。ここは瀬戸合峡(せとあいきょう)と呼ばれる急峻な谷間に建設されている、縦長の提体が特徴のダムです。
川俣ダムの入り口は、少し分かりづらい場所にあります。県道23号を、瀬戸合トンネル西口側で枝分かれする道(旧道)に入っていきます。すると、写真の駐車場が現れます。
この日は土曜日でしたが、こんな山奥のダムを訪れるような人はまばらでした。
駐車場の片隅に遊歩道の入り口があります。看板を見るとどうやら、ダム提体へもこちらから行くようです。
ダムへと続く道は、ものすごく急な下り坂。遊歩道というにはやけに道幅が広く、立派な作りをしています。
急な下り坂をずんずんと転げるように進んでいくと、川俣湖とそれをせき止めるアーチ式のコンクリートダムが見えてきました。
川俣ダムの提体。訪問当日は土曜日であるにもかかわらず、重機を用いての作業が行われていました。
これは、平成29年3月から平成32年9月までの期間、川俣ダム周辺岩盤の補強工事をしているのだそうです。岩盤に穴を開けてそこにアンカーを打ち込み固定して、岩盤をより強固なものにする工事を行っています。
華奢な骨組みをいくつも組み合わせて、谷間にせり出すように作られた「舞台」。そこに上がるのは、とてつもなく重そうなクレーン車。
大丈夫なのだろうけど、「大丈夫なのだろうか?」と不安になってしまいます。
川俣ダム下流側には吊り橋がかかっていて、その姿はダム側からもよく見えます。吊り橋からなら、ダム提体がよく見えるだろうということで、早速行ってみることに。
すると、吊り橋へと続く遊歩道の入り口付近にいた、工事に伴う誘導係のおじさんから声をかけられました。吊り橋に行くなら、そこにある杖を持っていったほうがいいぞ、と。
言われたほうに目をやると、太い木の枝で作られた、貸し出し用の杖が置いてあります。何も山登りをするわけでもあるまいし、杖なんて必要ないないだろうと思いましたが、おじさんがあまりにも強く勧めてくるので、そこまで言うなら借りていくか、ということで一本を手にして遊歩道へと進んでいきます。
ところが、これが大正解(おじさん、ありがとう!!)。
提体の上から見た吊り橋は、天端とほぼ同じか多少低いぐらいの位置に見えていたのですが(3枚上の写真参照)、実際にここへ行くには、一度谷底まで降りてそこから再び上っていかなければなりません。これがかなりハードで、運動不足でなまりきった体には非常にきつい道のりでした。遊歩道の途中には、所々に写真のようなベンチが設置してあり、一息つけるようになっています。私も何度かベンチに腰を下ろして足を休めました。
たどり着いたのがこの吊り橋。
といっても、この橋を渡った先に道はなく、まるで川俣ダムの提体と瀬戸合峡の絶景を鑑賞するためだけに架けられたように見えます。しかし実際は、元々は関係者専用の施設だった吊り橋を、一般にも開放したものなのだそうです。
川俣ダム最大の特徴である縦長の提体(提体長131メートルに対して、提体高は117メートルもある)を鑑賞するには、この吊り橋はもってこいの場所です。こうしてみると、瀬戸合峡の急峻さがよく分かります。
ちなみにこの時、不覚にも広角のレンズをクルマに置いてきてましまったので、ダム提体の全景が撮れませんでした(泣)。
吊り橋からダム提体に戻るにも、もう一度下って上っての道をたどらなければなりません。へとへとになってダム提体まで戻ってきましたが、駐車場まではさらにきつい上り坂を戻らなければなりません。ヒイヒイ言いながらなんとか駐車場に戻りましたが、ここであることに気づきました。
それは、駐車場からダム提体に続く遊歩道は、車道トンネルの天井部分に作られているということです。道理で、遊歩道のわりには幅も広いし立派な作りになっているわけです。
でもこれだと、落石があった時に車両は守られますが、歩行者は・・・。
久しぶりにダム巡りをしてきました。
今回訪れたのは、栃木県北部・鬼怒川周辺のダムです。
まず初めに行ったのが、「黒部ダム」です。
・・・といっても全国的に有名な、あのクロベダムではありません。
今回訪れた「黒部ダム」がこちら。
「くろよん」の愛称で知られる立山の黒部ダムは、水力発電を目的とした発電専用のダムとして、1963年に完成しました。総工費513億円、作業員延べ人数1000万人を投じて完成したダムは、提体高186メートル、貯水量2億立方メートルを誇り、日本の高度経済成長期のシンボル的な建築物のひとつに挙げられる、巨大なプロジェクトとなりました。中でも提体高は、現在においても日本国内のダムでこれを越えるものは、未だに存在しないほどです。
と、まああちらの黒部サンは書き出したらキリがないのでこの辺にしておきますが、実はこちらの黒部ダムも、本家(?)に負けず劣らずのスゴいダムなのです。実はこの栃木県産黒部ダム、なんと日本で最初に作られた発電用の重力式コンクリートダムなのだそうです!!
…ちょっとスゴさがよく分からないって??
ちなみに、その完成は1912年ということですから、立山の黒部ダムより50年以上も前に作られたということになります。そういう知識を持った上で眺めてみると、なるほど、ゆるやかに湾曲した提体は、石積み風の装飾が施され、どこかレトロな雰囲気が漂っています。他の見慣れた一般的なコンクリートダムとは風格の違いを感じないこともありません!?
上流側から提体を見るとこんな感じ。緩やかに湾曲しているのでパッと見ではアーチダムのように見えますが、ダムカードで確認すると重力式コンクリートダムに分類されているようです。
ちなみに、ダムカードは、ここから少し離れた「栗山ふるさと物産センター」でもらうことができます。
現在の黒部ダムは1987~1989年に改修された姿。その際、洪水吐きゲートは22門から8門へと変更されています。
実は今回のドライブはダム見学が目的ではありませんでした。当初の予定では、栃木県道249号線(栗山舘岩線)または川俣桧枝岐林道で、福島県(桧枝岐村)に抜けるオフロードを楽しむ、という計画を立てていました(黒部ダムはたまたま通りがかっただけ)。
ところが、付近の県境越えの道はどれもが通行止めとなっており、もし桧枝岐村に行こうとすれば、相当の迂回をしなければなりませんでした。しかも、それはよく整備された国道(会津西街道)で、それじゃあ今回のドライブの趣旨からズレてしまいます。
ということで急遽予定変更、鬼怒川水系のダム見学となったわけです。
なお、川俣湖畔を走る馬坂林道(林道川俣桧枝岐線)も、川俣大橋先の分岐を少し行くと、写真のバリケードで通行止めに。
続いてやってきたのは土呂部(どろぶ)ダム。先ほどの通行止め看板を無視してさらに進むと、ほどなく見えてきます。このダムはなかなか神秘的(?)なダムで、というのも、一般の人はダム湖横を通る栃木県道249号線の路上から見学するしかありません。そのため、ネットで土呂部ダムを画像検索してみても、提体を上流側から写したこの写真とほぼ同様のアングルから撮影されたものばかりです。一度、反対の下流側からの姿を見てみたいですね。
なお、この土呂部ダムは、ダムカードの配布対象ダムでもなく、道路脇からサラリと見学しただけで終了です。
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