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　先日、会社の四駆好きな人たちと、富士ヶ嶺オフロードに行ってきました。一度行ってみたいと思っていたコースなので、前日は楽しみでよく寝られないほどでした。

　当日は天気に恵まれ、雪がだいぶ少なくなった富士山の姿もくっきりと間近に臨むことができました。

　ただ天気が良すぎて、ちょっとコースを走るとあっという間に車はホコリまみれに。クルマの外装だけならまだ良いのですが、乗り降りでドアを開けたり、窓を開けて走ったりすると、室内にも容赦なく砂ボコリが入ってくるのにはちょっと閉口しましたが。

　今回の富士ヶ嶺オフロードコースでは、デリカD:5の意外なほどのオフ性能の高さを、今更ながらに改めて知ることができました。特に、モーグル走行などではブレーキLSDの高い効果に感心しました。

　路面の大きな凹凸に乗り上げ、タイヤが路面から浮き気味になって空転を始めると、ついアクセルを緩めてしまいますが、そこをぐっとガマンしてそのままアクセルを踏み続けます(場面によってはさらに踏み足すのも効果的です)。すると空転しているタイヤにブレーキがかかって、「ガッガッガッ」というブレーキLSDの作動音とともに、クルマはじわじわと前進を再開します。

　これまでは、電気仕掛けに頼ったトラクション確保のシステムは、オフロード走行にはあまり役に立たないと思っていました。事実、かつてのそうしたシステムでは、メカニカルなLSDやデフロックに比べると、走破性という点では明らかに劣っていました。ですので、オフロード走行には、ストロークの長い足とデフロックまたは差動制限装置が必須だと考えていたのです。ゆえにこれまでは「デリカD:5は乗用車ベースとなり軟弱になってしまった、パジェロベースのスペースギアこそが最高のデリカである」と信じていたのです。

　ところが、今回のオフロードコースでの走行で、「ブレーキLSDというのもアリだな」と、考えを改めさせてくれました。

　もちろん、本格的にオフロード走行を極めようとすれば、「よく伸び縮みするサスペンションにデフロック」は最強にして必須の装備となるでしょう。しかし、私のように日ごろは通勤・買い物に使用し、オフロード走行はたまの休みにロングツーリングで林道や雪道を走る程度、本格的なオフロードコースに行くのは年に数回、というような使い方では、「オンロード走行に軸足を置いた短めのストロークしかない軽量なサスペンションにブレーキLSD」という組み合わせも、これはこれで良いパッケージングなのではないかと思えるようになりました。

　仮に自分が本格クロカン車を所有していたとしても、おそらくはクルマを壊す、傷つくことを厭わずにオフロードに乗り込むようなことはしないでしょう。となると、軽量化に伴う燃費性能の向上や、オンロードの走行性能・乗り心地向上といったメリットを享受しつつ、ここまでオフロードを走れる能力を備えているのなら、私にとってデリカD:5はより「理想型のデリカ」に近づいたと言えるのかもしれません。

　…しかしまあ、そうは言っても、パジェロベースのデリカというのも「本物を所有する喜び」みたいなものもありますから、そう簡単に宗旨替えするまでには至りません。「オフロード走行は全然ダメ」から「結構やるじゃん」ぐらいに、今のD:5をちょっとは見直したかな、というところでしょうか。