１９６０年（昭和３５年）製造のソニー製マイクロテレビのレストア

１９６０年（昭和３５年）製造のソニー製「８－３０１型・世界初の９インチポータブルトランジスタテレビ」です。
当時、既に「９インチテレビ」、「ポータブルテレビ」、「トランジスタテレビ」は日本や米国で発売されていましたが、これらを全て兼ね備えたテレビが世界初だと言う事です。
ソニーが「トランジスタテレビ」を世界で初めて作ったと誤解されてる方が多くおりますが・・・
それだけソニーの広告戦略が上手だったと言う事だと思います。


因みに・・・
トランジスタもソニーが世界初と誤解されてる方も居られるかと思いますが・・・
発明は米国の「ショックレー博士」、世界初の製造・販売は米国「ＲＣＡ社｝です。
ソニーは「ＲＣＡ社」の製造特許を使っての製造です。

更に因みに・・・
ビデオテープレコーダーもソニーが世界初と誤解されてる方も居られるかと思いますが・・・
発明、世界初の製造・販売は米国「アンペックス社」です。
ソニーは「アンペックス社」の製造特許を使っての製造です。

更に更に因みに・・・
トランジスタラジオもソニーが世界初と誤解されてる方も居られるかと思いますが・・・
世界初のトランジスタラジオ販売は米国「リージェンシー社」のモデル「ＴＲ－１」です。
ソニーは遅れる事数か月でモデル「ＴＲ－５５」を発売しました。

６０年近く前の製品なので、中々程度良い個体が集まりませんでした。
仕方なく、国内で２台、北米で２台の合計４台分のレストア素材を入手し、それらの部品から１台を組み上げました。
また、塗装は部品単位で行い、当時の色や質感（梨地）に近づけました。

既に地上波はデジタルに移行しておりますので、旧型テレビでは放送を受信する事が出来ません。
そこで、地上波デジタル放送受信機を内臓させ、テレビと接続する為の各種インターフェースを作製致しました。
また、このテレビは本来ポータブルテレビとして、野外（米国ではピク二ックやキャンプ）で利用されましたので、バッテリー駆動等の仕組みも構築致しました。
テレビ本体は一際の改造は行わず、全ての新機能はテレビ後部装着のバッテリーＢＯＸ（本来は６Ｖ・２Ａｈの鉛蓄電池を２個収納用）内で処理致しました。

テレビ後部の蓄電池用ＢＯＸの内部に地上波デジタルのワンセグチューナーとハイビジョン信号から旧地上波ＮＴＳＣコンボジット信号への変換器、コンポジット信号から旧テレビ放送周波数を作り出す為のＲＦモジュレータ、バッテリー駆動用リチウム電池、テレビ駆動用安定化電源、リチウム電池充電器、赤外リモコン受信機などを仕込みました。

これらによってポータブルテレビのアンテナで地上波デジタルを直接受信出来る様になり、リモコンでの選曲や電池駆動による約４時間程度の屋外運用も可能になりました。

＜ユーチューブ動画＞

ＴＯＰの動画映像ですが、後方には地上波デジタルテレビ（フル１２セグメント）が映っており、同じ番組をマイクロテレビ内臓のロッドアンテナで同時に受信している所です。
ワンセグ（１セグメント）なので感度も良く、ポータブルとして野外は勿論、室内でも外部アンテナ無しで地デジを受信可能です。
尚、９：１６の画像はレターＢＯＸとしてセンターを３：４にて映し出されております。

そんな事で、約５６年前のテレビが地デジ対応として蘇りました。