
一時、このみんカラでも騒がれた、TOYOTA 86のカタログを、今月上旬の土曜日に、漸く入手した。
このカタログを見て、解ったこと…。
それは、TOYOTAが、86の名に込めた思い…。
最初に聞いた時は、安直過ぎると思っていたが、それは間違いだった。
このカタログの冒頭で、
『生活を、世の中を便利に快適にすることだけが、クルマの存在意義か。』
『より多くの人に利用される易しい移動手段になることだけが、クルマの進化か。』
こう書いてある。
皆さんの答えがどんなものかはわからないが、少なくとも、自分の考えは、どちらもNOだ。
利便性の高いクルマ。
確かに、それもクルマだろうが、存在する意義ではないと思う。
より多くの人に利用される、易しい移動手段。
それも必要ではあるが、そればかりでは、いずれ飽きてしまい、乗らなくなってしまう。
少なくとも、このクルマには、他のクルマにはない、スポーツカーが本来持つ、運転する楽しみ、走る歓びと…。
そして、自分好みにカスタマイズする楽しさが、あると思う。
かつてトヨタが輩出した、名車の一台、AE86型のスプリンタートレノ&カローラレビン。
生産終了から、既に20年以上過ぎた現在でも、このクルマが、いまだに熱い支持を受けている理由の一つを、メーカーであるトヨタが自ら解明した。
『AE86が何故、今なお多くの支持を集めているか。それは、カスタマイズやチューニングがしやすく、購入後も自らの好みに合わせて楽しめる素材であったからに他ならない。』
これが、トヨタの出した答えだ!。
『きっと、ひとつとして同じ86は走らない。』
確かに、AE86は、カスタマイズの方向性が、多種多様で、モータースポーツフィールドに於いても、サーキットからラリーまで、様々な仕様があったし、ストリートに於いても、それは同じで、いまや、トレノでは定番になりつつある、『頭文字D』仕様も、その一つだろう。
ところで、その『頭文字D』のキャラクターの1人、秋山渉のAE86レビンを、覚えているだろうか?。
最初は、ターボチューンで登場し、主人公藤原拓海とバトルして敗れた後、今度は、AE92用のスーパーチャージャーを搭載して、リニューアルし、プロジェクトDの高橋啓介の前に、再び立ちはだかったものの、結局敗れた。
これは、AE86が、カスタマイズの範囲が広い、多様性を持った車種であることの、証明ではなかろうか?。
ドライバー、一人一人の好みは、千差万別だ。
だが、そのニーズに応えるポテンシャルを、AE86は持っていたのだ。
そうでなければ、あれだけの熱い支持を、集められるわけはないと思う。
そして、この新生86も、開発段階から、サーキット走行等を意識して、リヤのトランクスペースに、タイヤ4本と工具類の収納を、可能にしたのだという。
普通、クーペ車は、スタイリッシュなデザインのために、利便性は全く考えられていないのだが、初めから、サーキット走行等を意識しているためか、こうした配慮も必要だと、開発陣が判断したのだろう。
また、ラインナップには、初めから、モータースポーツベース仕様に相当するグレードも、用意されている。
それに、開発コストを抑えるために、他車種のパーツを流用したりするものだが、このクルマは、専用設計にこだわったようだ。
やはり、トヨタだけでなく、スバルのエンジニア達のスピリットも、このクルマには、息づいている!。
『腕で走るクルマ。だからターボは要らない。4WDでもない。』
かつてのAE86も、そういうクルマだったのでは、ないだろうか?。
頭文字Dの作中でも、主人公拓海の父親文太が、『クルマが、ドライバーを育てる。ハチロクとは、そういうクルマだ。』と言っていたように、ドライバーのラフな操作を許容しない。ごまかしがきかない。
そんなクルマなのだろう。
しかし、同じFRのクーペ車である、FD3S型のRX-7の初期型にあったような、ピーキーな挙動ではないだろうと思う。
また、『ここまで実路を走り込んだトヨタ車はない』そう断言できるほど、このクルマは、国内はもちろん、欧州・北米の数々のサーキットや公道で走り込みを重ねたのだという。
国内では、富士スピードウェイや、鈴鹿サーキット等。
海外では、テストランのメッカ、ニュルブルクリンクを筆頭に、数多くのサーキットや公道を走り込んだようだ。
しかも、ドライバーの感性の領域にこだわって、熟成されたそうだ。
このカタログの、一番最初のページの、最後には…
『ハチロク。トヨタが、そして日本の大人たちが、長いあいだ忘れていたこと。』
と、ある。
このクルマこそ、日本のクルマ愛好家達が、発売を待っていたクルマではなかろうか?。
所謂エコカーも、クルマではあるが、最近の国産車は、一部を除いて、そればかりだ。
正直言うと、自分は辟易していた。
今はまだ、高価過ぎて、二十代や、自分達三十代の若者に買えるクルマではないが、数年後に、同じプラットフォームを持つ、スバルのBRZ共々、中古車市場で、人気が出るのではないかと、自分は見ている。
…というか、正直そうなってほしいものだ。(^_^;)

Posted at 2012/06/20 17:35:38 | |
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