
先日
不二WPCさんに訪問した事を書きましたが、
備忘も含めてちょっとWPCについて
まとめておきたいと思います。
WPC処理と言う言葉自体は今では知らない人はいないのでは?
何だかよく分からない人でも金属への表面処理・エンジン内部部品に施す加工だと言うことを
知っている方は多いはず。
正直なところ、長年私はサンドブラストの高圧版。 つまり表面を慣らして面粗度を上げ、固くする。
つまり鍛錬処理だけだと思いこんでおりました。
ところが、実際は複数処理や最新の技術を掛け合わせてニーズに合わせた特性がある
と言う事を知り、正直ショックを受けました。。
WPCを含めたショット技法によって得られる種別を簡単にまとめてみます。
書くといくらでも長くなってしまうので簡素版と言う事でご理解下さい。
※まだ勉強したてなもんで間違っていたらゴメンなさい。。
①疲労強度向上
これが原点ですね。 高強度化。
②耐摩耗性・焼付き性向上
MD処理(マイクロディンプル処理)によって表面に小さなくぼみを無数に形成し
オイルが溜まるようになる。つまりこれまで以上にオイルで滑ってくれるようになる!?
③摺動性向上
WPC処理と併用した二硫化モリブデンショット(MoS2)
塗るコーティングと違い、高速で打ちつける事によって個体潤滑層を形成。
剥離や摩耗に強く抵抗減効果が長期間持続する。
④DLCコーティング
WPC処理と併用したこちらはコーティング技術。
ダイアモンド・ライク・カーボンと言われ、上記①②③の極めつきのようなもの!?
簡単に言うと、専用の真空窯で焼き付けるような処理で価格も高額。
長所・短所もあるが、その長所は折り紙付き。
身近な例で言うとR-35 GT-RのバルブリフターはこのDLC処理がされているとの事。
DLCの硬さと滑り性は窒化処理の3~7倍。TiN処理の2~4倍だと。
何かまた難しい事をずらずら書いてしまいましたが、単純なイメージで言うと、
要は駆動系やギア、エンジン内部などの金属に対して処理すれば最高!
壊れにくくする処理と言うイメージでした。
ところが、私が知らなかったのはこのWPCと言う高圧ショット技法に際して
様々な物体(ニッケル・スズ・タングステン・・・)などを粒子レベルで打ちつけて表面改質を
行うとそれぞれ固有の効果が得られるようになると言う事だった。
(例えばカーボンが付着しにくくなるとか耐温度性が高まるとか・・)
つまり、私には②と③の低摩擦化は思ってもいない新しい考えだった。
物体同士が触れている以上摩擦が発生している訳だが、その摺動部抵抗が減ると言う事は
馬力を上げずに車を速くできる!??
主に摺動部抵抗となるのは、
エンジン内部全て
ミッション内部全て
デフ内部全て
これらはOHやチューニング、仕様変更時にしか当然処理できない(笑)
ここでようやく本題に入るのだが、今回私はブレーキOHに際しキャリパーピストン含む
細かい摺動部への処理を行った。
えっ?キャリパーピストンに??と思われる方が多い事でしょう。
事実私も”何で???”と最初は思いました。
だって、キャリパーピストンはゴムのシールリングと接触している訳で金属間接触は無い。
ところが、
ピストンの戻りが良くなる。つまり引き摺りが少なくなると言うのだ。
(耐久レース実証済み)
理屈としては、キャリパーピストンの表面は通常はメッキ処理されており、一見ツルツルに見える。
ところが、電子顕微鏡で表面を見ると実は凸凹している。
これがWPC処理を行うと表面が慣らされ、より平滑化してゴムとの密着性が上がると言う事らしい。
それにより、ゴムのシールリングとキャリパーピストンの接触面がより密着し、ゴムであるリングの
戻る反発が強くなるらしい。
もちろん、金属接触しているパッドレールやガイド等への処理が有効なので間違いなし。
そんな訳で、聞くと何でもやってみたくなるATSはすぐ飛びついてしまったのだ(笑)
今回私が処理したものがこちら♪
キャリパーピストン。
施工前
施工後

フロントのAPキャリパーのピストンはジュラルミン。リアのMR2キャリパーのピストンは鉄にメッキ。
その他ショートパーツ(摺動部全て♪)
(パット接触板・パッドスライドピン・パッド当て板の前後一台分)

フ~ 贅沢~!!
元は全て銀色でしたが、全てWPC+DLC加工で怪しい色を放っております(笑)
ここまでやる奴はそういない!??
で、ようやく全ての部品が揃ったので一気に組み付けました。
新品同様となって気持ちいい~!!
フロント(APキャリパー)
リア(MR2キャリパー)

これで前後共にピストン及びパッドが接触する部分全てにくまなくWPC+DLCコーティングが
処理されました。モノとモノが触れ合う全ての部分に施工できた形となりました。
これぞ究極のブレーキキャリパーチューニング??
よもやキャリパーにまでチューニングを施すなんて思ってもいませんでした。
最後に温度測定用キャリパーペイントを施してブレーキOHの完了♪

リア用の新品パッドが来れば何もかもが新品同様と言う事ですっきり。
かなり手間をかけてしまいましたがその効果が楽しみで仕方ありません。
今後走行してみてからまたどのように変わったのかをインプレしますのでお楽しみに~(^u^)
あっ!そうだ、言い忘れましたが、こんなのもやっちゃいました。
レリーズベアリングガイド、レリーズフォークとそのハンガー。
施工前の画像は撮り忘れましたが、ご覧の通り、これらもWPC+DLC施工。
特にこのレリーズベアリングガイドへの施工はめちゃくちゃ理にかなっていると言うか、
メリットが高いです。
なぜならS2000はクラッチペダルが重くなったりスムーズなペダル操作が出来なくなると
決まってこの部品がかじったり、段付き摩耗等発生しているからであり、ちょっとした欠陥部分
だからです。
ミッションを降ろす度にこの部分は新品に換えなければならないほどの部品です(@\2,000)
なので、ここへの施工は確実にペダル操作がスムーズかつ軽くなる事請け合いです。
こいつへのDLC効果が特に楽しみです。
と言う訳で今日はちょっと体調不良だった為にだらだらとブレーキ組み付け&下準備で
1日が終わってしまいました。。
明日は朝からミッションを搭載して始動までこぎつけたいと思います。