初めにお断りさせていただくと、僕が個人的に「鍛造ホイール至上主義」から距離を置いている、のは事実です。 ただ、少し補足すると「鍛造」や「鋳造」といった製法の問題ではなく、軽量(すぎる)ホイールを避けている、と言った方が正確かもしれません。 これまでの経験上、特に公道向けにはある程度のホイール重量が必要だと思っているので。 よく言われることですが、『バネ下重量が軽くなると脚がよく動くようになって路面への追従性が上がる』、これは紛れもない事実です。 それを持って、『バネ下重量が軽くなる=乗り心地がよくなる』みたいな広告も昔は多かったですよね。 しかも回転運動をしてるからその効果は○○倍、みたいな。 それこそ『軽ければ軽いほどいいんだぜ』ぐらいの勢いでしたw ただ、最近は『そうとも言い切れないぞ』ということがバレてきたのか、そのような広告はほとんど見かけなくなりましたけどね。 (雑誌等ではいまだにそう書いている記者も少なくないですが…) もちろん路面への追従性が上がるのは悪いことではありません。 ただ、これは裏返すと路面の不整に敏感に反応して、「コツコツ」感が増えたり、「ヒョコヒョコ」と落ち着きのない動きになりかねない、ということでもあり、「乗り心地」という観点では少々複雑で厄介です。 「乗り心地」を決定する大きな要素はタイヤとサスペンションです。 ただ、どちらにどれだけ仕事をさせるかの「バランス」が非常に難しい。 「スカイフック理論」のように上屋(ボディ)は動かずにサスペンションだけがストロークするのが理想ですが、現実にはなかなかそうもいきません。 ですので、実際の走行において道路の不整や小さな段差を通過するとき、サスはできるだけ上下させず、むしろ「鈍感」にタイヤのクッションだけで完結させてしまった方がいい、というのが僕の「経験則」です。 そのためには、ホイールにはある程度の重量が必要になってきます。 ロールスロイスやセンチュリーのような高級リムジンが重めの鋳造アルミホイールを頑なに使い続けるのも、それが理由の一つだったりします。 本来ならば鍛造アルミだろうが、鍛造マグネシウムだろうが、糸目をつけずにコストをかけられるクラスにも関わらず… それどころか、RRが今年5月に発表した「ファントム プラティーノ」などは、わざわざ手間とコストをかけて3D切削加工したステンレススチール製の超重量級ホイールを履かせているぐらいです。 ここで、あえて矛盾するような話をします。 できるだけタイヤに吸収させたいとは言いつつも、タイヤはサスに比べて減衰能力(ダンピング性能)が低いため、依存し過ぎると「ボヨンボヨン」とした挙動になってしまいます。 また、そもそもクッションが期待できないような薄いタイヤ(※)の場合は、むしろサスを積極的にストロークさせた方が乗り心地が良くなるケースも少なくありません。 ※ ここでは、あえて「偏平率」では語りません。クッションに影響するのは偏平率よりも実際のタイヤハイト(サイドウォールの高さ)です。 また、サーキットや路面が整備されたワインディングも別ですね。 公道のようなデコボコは少ないので、むしろ脚回りは積極的にストロークさせて荷重をコントロールし、ダンパーに仕事をさせないとタイムは削れません。また、軽量なホイールの方が加減速にも有利です。 こういったケースでは、鋳造ホイールより軽量で剛性の高い鍛造ホイールの方が向いています。まさに「バランス」の難しさ、ですね。 続いて、「ロードノイズ」への影響はどうでしょうか。 ご存じの通り、「ロードノイズ」はタイヤからホイール、サスペンションを経由してボディに伝搬する振動が原因。 その観点で言えば、粘り(※)のあるスチールでできた「鉄チン」ホイールに比べると、硬いアルミホイールは元々不利です。 鍛造ホイールになると、それをさらに「鍛え上げて」ますからね。 もちろん、そのおかげで剛性的には優れますが、鋳造ホイールに比べても振動はさらに減衰しにくくなる傾向です。 ※ アルミホイールは衝撃で割れたり亀裂が入ることがありますが、これも粘り(展延性)が少ないことが原因。スチールホイールは基本的にひん曲がって終わりです。 またホイールの軽量化に伴う共振や固有振動数の変化も無視できません。 共振のメカニズムは複雑なので一概には言えませんが、基本的に軽いものは共振しやすくなると考えて間違いはないです。 さらに… 元々「ALPINAホイール」は構造的な課題を抱えています。 マルチスポークの中でも特に多い20本ものスポークを持ち、しかもすべてが放射状(中心から直線的)に等間隔で配置されている、この構造は音振両面の伝搬において完全に不利です。 「5本スポーク」など適度に隙間があったり、スポークが斜めに交差する「Y型スポーク」や「メッシュ」の方が振動を吸収しやすいですからね。 このように、クルマのセッティングや乗り心地というものは様々な要素が絡み合って、非常に複雑です。 そもそも「乗り心地」の定義や、その好みも人によって様々です。 今回換装する予定の「ALPINA CS17」が鍛造製のホイールであることが、吉と出るか凶と出るかはまだ分かりません。 ただ、これまでの経験上、現状のタイヤサイズとミシュランPS4Sの特性、ALPINAホイールの構造を考えると、乗り心地や音振の点からは、ある程度の重量を持たせた鋳造ホイールの方がバランスがいいかもしれないな、と少し心配している、というところです。 |
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