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2022年07月27日

【またマニア限定】 鍛造/鋳造ホイール考

【またマニア限定】 鍛造/鋳造ホイール考 昨日「何シテル?」にちょっと
誤解を招きかねないことを
書いてしまったので
ここで弁明(?)させてください。

アルミホイールは鍛造と鋳造の
どちらがいいのか…

初めにお断りさせていただくと、僕が個人的に「鍛造ホイール至上主義」から距離を置いている、のは事実です。
ただ、少し補足すると「鍛造」や「鋳造」といった製法の問題ではなく、軽量(すぎる)ホイールを避けている、と言った方が正確かもしれません。
これまでの経験上、特に公道向けにはある程度のホイール重量が必要だと思っているので。

よく言われることですが、『バネ下重量が軽くなると脚がよく動くようになって路面への追従性が上がる』、これは紛れもない事実です。

それを持って、『バネ下重量が軽くなる=乗り心地がよくなる』みたいな広告も昔は多かったですよね。
しかも回転運動をしてるからその効果は○○倍、みたいな。
それこそ『軽ければ軽いほどいいんだぜ』ぐらいの勢いでしたw
ただ、最近は『そうとも言い切れないぞ』ということがバレてきたのか、そのような広告はほとんど見かけなくなりましたけどね。
(雑誌等ではいまだにそう書いている記者も少なくないですが…)

もちろん路面への追従性が上がるのは悪いことではありません。
ただ、これは裏返すと路面の不整に敏感に反応して、「コツコツ」感が増えたり、「ヒョコヒョコ」と落ち着きのない動きになりかねない、ということでもあり、「乗り心地」という観点では少々複雑で厄介です。



「乗り心地」を決定する大きな要素はタイヤとサスペンションです。
ただ、どちらにどれだけ仕事をさせるかの「バランス」が非常に難しい。

スカイフック理論」のように上屋(ボディ)は動かずにサスペンションだけがストロークするのが理想ですが、現実にはなかなかそうもいきません。
ですので、実際の走行において道路の不整や小さな段差を通過するとき、サスはできるだけ上下させず、むしろ「鈍感」にタイヤのクッションだけで完結させてしまった方がいい、というのが僕の「経験則」です。

そのためには、ホイールにはある程度の重量が必要になってきます。
ロールスロイスやセンチュリーのような高級リムジンが重めの鋳造アルミホイールを頑なに使い続けるのも、それが理由の一つだったりします。
本来ならば鍛造アルミだろうが、鍛造マグネシウムだろうが、糸目をつけずにコストをかけられるクラスにも関わらず…
それどころか、RRが今年5月に発表した「ファントム プラティーノ」などは、わざわざ手間とコストをかけて3D切削加工したステンレススチール製の超重量級ホイールを履かせているぐらいです。



ここで、あえて矛盾するような話をします。

できるだけタイヤに吸収させたいとは言いつつも、タイヤはサスに比べて減衰能力(ダンピング性能)が低いため、依存し過ぎると「ボヨンボヨン」とした挙動になってしまいます。
また、そもそもクッションが期待できないような薄いタイヤ(※)の場合は、むしろサスを積極的にストロークさせた方が乗り心地が良くなるケースも少なくありません。

※ ここでは、あえて「偏平率」では語りません。クッションに影響するのは偏平率よりも実際のタイヤハイト(サイドウォールの高さ)です。
30や35といった低偏平率のタイヤでもタイヤ幅が大きくなれば、タイヤハイトは十分に確保できます。


また、サーキットや路面が整備されたワインディングも別ですね。
公道のようなデコボコは少ないので、むしろ脚回りは積極的にストロークさせて荷重をコントロールし、ダンパーに仕事をさせないとタイムは削れません。また、軽量なホイールの方が加減速にも有利です。

こういったケースでは、鋳造ホイールより軽量で剛性の高い鍛造ホイールの方が向いています。まさに「バランス」の難しさ、ですね。



続いて、「ロードノイズ」への影響はどうでしょうか。
ご存じの通り、「ロードノイズ」はタイヤからホイール、サスペンションを経由してボディに伝搬する振動が原因。

その観点で言えば、粘り(※)のあるスチールでできた「鉄チン」ホイールに比べると、硬いアルミホイールは元々不利です。
鍛造ホイールになると、それをさらに「鍛え上げて」ますからね。
もちろん、そのおかげで剛性的には優れますが、鋳造ホイールに比べても振動はさらに減衰しにくくなる傾向です。

※ アルミホイールは衝撃で割れたり亀裂が入ることがありますが、これも粘り(展延性)が少ないことが原因。スチールホイールは基本的にひん曲がって終わりです。


またホイールの軽量化に伴う共振や固有振動数の変化も無視できません。
共振のメカニズムは複雑なので一概には言えませんが、基本的に軽いものは共振しやすくなると考えて間違いはないです。

さらに… 元々「ALPINAホイール」は構造的な課題を抱えています。

マルチスポークの中でも特に多い20本ものスポークを持ち、しかもすべてが放射状(中心から直線的)に等間隔で配置されている、この構造は音振両面の伝搬において完全に不利です。
「5本スポーク」など適度に隙間があったり、スポークが斜めに交差する「Y型スポーク」や「メッシュ」の方が振動を吸収しやすいですからね。



このように、クルマのセッティングや乗り心地というものは様々な要素が絡み合って、非常に複雑です。
そもそも「乗り心地」の定義や、その好みも人によって様々です。

今回換装する予定の「ALPINA CS17」が鍛造製のホイールであることが、吉と出るか凶と出るかはまだ分かりません。
ただ、これまでの経験上、現状のタイヤサイズとミシュランPS4Sの特性、ALPINAホイールの構造を考えると、乗り心地や音振の点からは、ある程度の重量を持たせた鋳造ホイールの方がバランスがいいかもしれないな、と少し心配している、というところです。
ブログ一覧 | BMW カスタマイズ | 日記
Posted at 2022/07/27 19:59:54

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この記事へのコメント

2022年7月27日 20:31
確かに、鍛造=バネ下軽い=走りが軽やか、というイメージがあり、いいこと尽くめなイメージが強い感じ。それよりも、全体バランスが大事だということですね。
コメントへの返答
2022年7月27日 20:43
走りが軽やかになるのは事実だと思います。
ハンドリングの軽快さを取るか、乗り心地の重厚さを取るか、でしょうね。
僕の場合は一般道や高速道路が中心ですし、G15にはハイウェイクルーザーとしての性能を求めているので、バランスポイントは乗り心地に寄せたセッティングにしたいと考えています。
2022年7月27日 20:52
そうですね。私も同じ考えです。
実際カーボンブレーキ移植してフロントは特に軽くなりステアリングの入りも格段に良くなりましたが、リアはキャリパーが2個あることもあり前後のショックのバランスも悪くなりました。

BMWはもともと何キロのホイールタイヤが装備されるかを考慮して足回りをセッティングしてるので脱ランフラットして軽くなると高速ぶっとばすとふわふわして安定性が悪くなる事に気づく人もいますね。サーキット行くなら別ですが街乗りにはBMWの設計の範囲のホイールが必要ですね。
コメントへの返答
2022年7月27日 22:06
僕も国産車含めてこれまでにいろいろ弄り倒して、失敗もたくさんしてますのでw

自動車はその全体が大きな「系(システム)」なので、バランスが大切だと思っています。
バネ下を大幅に軽量化するなら、できれば車高調も入れてダンピング特性も変えた方がいいですね。
やればやるほど奥の深い世界です。
2022年7月27日 20:54
こんばんは。

どうしたいかの方向性もですが、
見た目(好み)も大事。
ですよね。
コメントへの返答
2022年7月27日 22:08
ま、たまたま鍛造製のものしかなかっただけで、ALPINAホイールに変えるのは100%見た目ですからw
その上でどうすんべ、という話ですわw
2022年7月28日 5:17
参考になりました。アルピナホイールでどうなるか楽しみですね
コメントへの返答
2022年7月28日 6:11
駄文、恐縮です。
楽しみなんですけど、いつ届くのか分かりませんw
2022年7月29日 0:16
こんばんは、マル運です。

E60のアルピナB5にお乗りの方が、純正のクラシックホイールから、BBSのRSGTにしたら、跳ねるような感じが酷く、直ぐに純正のクラシックホイールに戻してました。

トシ棒さんのブログで納得出来ました(^^ゞ
軽いのが良いだけでは無いんですね
コメントへの返答
2022年7月29日 0:40
「あるある」ですね。
特にALPINAのような乗り味が好きな方でしょうから、余計気になっちゃったんじゃないでしょうか。
2022年7月31日 19:11
ALPINAのような出来上がったクルマでの交換は特に明暗が分かれそうですね。

我が家のF34GT、しかもLuxuryは生まれつきまともなアシではありませんから、一般的なことをやれば素直に良くなります。とはいえ軽やかさでは素のF30にすら到達できないという素性の悪さ、それを「サーキットで楽しければ一般道は我慢できる」という言い訳で乗り切っています(笑)

ホイールよりもはるかに単純な話ですが、マニュアルのシフトノブはズッシリ重いのが確実で使いやすいという実感があります。
コメントへの返答
2022年7月31日 20:27
F34は上屋が大きいので残念ながらディスアドバンテージありますよね。
マニュアルはしばらく運転してませんが、変にショートストローク化するよりもノブの重さでパコンっとシフトする方が気持ちいいのは分かります。

プロフィール

「BMW Road Map JAPAN Live 2025-2が出たけど、それよりワシはリモートエンジンスタートが欲しい。」
何シテル?   04/08 10:39
2010年からBMWのカスタマイズコーディングをやっています。 当時はどこもやってなくて完全に独学。日本初でした。
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