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2023年07月24日

【大径化のメリット/デメリット】 BMW M850i 禁断のインチアップ 番外編

【大径化のメリット/デメリット】 BMW M850i 禁断のインチアップ 番外編 今日は番外編、しかも長文です。

前回のブログ「大径化のデメリット」
関するコメントをいただいたので、
今回はそのあたりのお話をしようかと。

(一般的なインチアップではなく、「大径化」のお話です。ご注意ください。)



一般的に「インチアップ」というと、外径はそのままに偏平率の低いタイヤに変えてホイールをインチアップするのが「定石」です。
というか、それが「キホン中のキホン」ですよね。

今回僕はその禁忌を破って、(保安基準の範囲内で)タイヤ径を大きくします。

【フロント】
 純正 245/35ZR20 95Y XL (外径 679mm)
  → 245/35ZR21 96Y XL (外径 705mm)
   ※ 純正比 外径 +26mm / LI +1

【リア】
 純正 275/30ZR20 97Y XL (外径 673mm)
 現在 285/30ZR20 99Y XL (外径 679mm)
  → 285/30ZR21 100Y XL (外径 704mm)
   ※ 純正比 外径 +31mm / LI +3

上記の通り、外径は大きくしますが、タイヤ幅と偏平率は変えません。
(正確にはリアは純正より10mm太くなりますが、僕はALPINA CS17ホイールへ履き替えた際に、フロント径に揃えて285/30R20へ変更済みです。)
つまり、サイドウォールの厚さは変わらないので(むしろリアは純正より厚い)、同じ銘柄ならタイヤ自体の衝撃吸収能力は同等と考えることができます。

その上で、さらにメリット、デメリットについて考えてみます。



メリット① 耐ハーシュネス性能の向上

タイヤを大きくすると、走行時のエンベロープ特性が上がり、耐ハーシュネス性能は向上する方向になります。
はてさて、いったい、どういうことでしょうか?

下図はかなりオーバーにデフォルメしていますが、道路には無数の細かい凹凸や段差が、しかも連続して存在しています。
そのデコボコを通過する時、外径が大きい方が上下運動は穏やかになり(段差の高さ=変動量は同じでも加速度=衝撃が小さくなる)、一度に乗り越えることができる距離も長くなります。
また、エアボリュームが増えるのと、タイヤの形状変化も鋭くなくなるので、エンベロープ(=突起を包み込むように撓む)性能が有効に働いて、衝撃や振動をより吸収しやすくなるわけです。
これはデコボコ道だけでなく、ジョイント通過時などにも効果があります。

alt

もう少し分かりやすい例を挙げると…

車輪の小さな子供用の自転車と大人用の自転車で同じ段差を乗り越えたとき、あるいはBMXとマウンテンバイク(サス無しフルリジッド)でトレイルロードを走破するとき、どちらが乗員に伝わるショックが大きいでしょうか。
当然、前者の方がガタガタ揺れて、衝撃もドンっ!と大きいですよね?

altalt

他にも身近な例としては、キャリーケースのキャスター(車輪)があります。
小さなキャスターの付いた物より、大きなキャスターがついたキャリーケースやスーツケースの方が振動も少なく、快適に転がせるのはご存じかと。
(実際に、キャスターの大きさを「売り」にしている商品や、大径キャスターに交換するカスタマイズもありますね。)

altalt

ちょっと乱暴な例えでしたが、タイヤ径を拡大する効果も結局は同じです。
今回のレベルでどこまで差が出るかは実際に試してみないと分かりませんが、少なくともエンベロープ性能が悪くなることは絶対にありません。


メリット② グリップ力の向上

同じ銘柄でタイヤのグリップを上げたいとき一般的には幅を太くします。
これは言うまでもなく、接地面積を上げる(=接地面における単位面積当たりの負荷圧力を下げる)のが目的です。
タイヤ径を大きくした場合も接地面(上図の黄線で示した箇所)は前後方向に拡大しますので、これも接地面積アップ=グリップ向上に繋がります。
(厳密には横方向のグリップと縦方向のグリップという差はありますが。)


メリット③ 空気圧を下げることが可能 (かもしれない)

タイヤの外径を大きくしたり、幅を太くしたり、偏平率を高くしたりすると、ロードインデックス(LI:最大負荷能力指数)が上がります。
今回の変更では前輪が1ポイント、後輪は3ポイントのアップです。
G15 M850i標準20インチの指定空気圧は前後とも270kPaですが、LIの増加分だけ空気圧を下げることができます。
一般的にETRTO XL (エクストラ・ロード)規格のタイヤの場合、LI=1ポイントあたり10kPaなので下記のような計算になります。

 前 270kPa→260kPa / 後 270kPa→240kPa

当然ながら限度はあるものの、空気圧を下げればクッション性が上がって乗り心地も良くなりますよね。
ただし、これはあくまでも「耐荷重」のみに着目した指標なので、『そこまで下げても車重を支える能力は同等に維持できますよ』というだけで、走行性能やフィーリングはまた別の話。
LIが下がるときは空気圧を上げますが、LIが上がるときはそのままが無難。
今回も実際に乗りながら調整していきますが、高速走行もかなり多いですし、おそらく270kPaのままか、下げても5kPa程度に留めておくつもりです。


メリット④ 燃費の向上 (の可能性)

タイヤ1回転当たりの移動距離が増えるので、理論上は燃費が向上します。
ただ、②のグリップ向上の裏返しで転がり抵抗は増大しますし、バネ下重量も増える方向なので、おそらく相殺されてほとんど変化ないと思いますけどね。


メリット⑤ 「見た目」性能の向上(笑)

これこそが「ノーマルサス」と「見た目」の両立を狙う今回の目的です。
タイヤが大きくなるとフェンダーとの隙間が詰まり、ローダウンしたのと同じような「見た目」になります。
また、大きなタイヤを履いたクルマは雰囲気にも安定感がありますよね。


以上、主なメリットはこんな感じでしょうか。

最近の新しいモデルはホイールだけでなく、タイヤ径そのものが大きくなっていますが、これは実際に上記のようなメリットが存在するからです。
(前回のブログに書いた「最近の設計理論やトレンド」云々の話がこれ。)


もちろん、世の中いいことばかりではありません。
元々の設計から外れるわけですから、デメリットもありますよ。



デメリット① バネ下重量増加 (ただしセットアップ次第)

これは選ぶホイールに依存するところが大きいでしょうね。
やはり鋳造製でインチアップすると、かなり重量は増えてしまいます。
ただ、僕の場合は21インチ化後も鍛造ホイールを使う予定なので、少なくとも純正20インチ鋳造ホイールの状態を超えることはないと思います。
バネ下の重量が純正以下、かつタイヤハイト(偏平率)が同じなら、当然ノーマルサスのキャパシティで十分対応できると考えていいはずです。
ちなみにタイヤも単体重量は増えますが、せいぜい数百グラムです(確認済み)。


デメリット② 加速性能の低下

前述の燃費の話の裏返しで、タイヤ径が大きくなるとハイギヤード化したのと同じ状態になるので、確実に加速性能は低下します。
軽自動車なんかだと、もう誰でも分かってしまうレベル。
ただ、M850iは元々パワーがありますし、僕はサブコンも導入しているので、何とか許容できるレベルに収まるのではないかと楽観的に考えています。


デメリット③ スピードメーターに誤差が発生

一般的には、これこそが最も注意しないといけないポイントでしょう。
前回のブログの通り、タイヤ径を変更するとスピードメーターが狂います。
とにかく保安基準(車検合格)の範囲内に収まっていないのはダメです。
(今回はギリギリ大丈夫そう、というのは前回説明した通り。)
また仮に収まっていたとしても、スピードメーターと実際の速度に乖離があることは常に意識しながら運転しないといけませんね。


デメリット④ タイヤハウス干渉の可能性

シャコタンの求道者でもない限り外径を小さくする人はいないと思いますが、大きくするとインナーフェンダーやナックルに当たる可能性があります。
なので、大きくしたとしても10mmぐらいに留めておく方が無難でしょう。
ツライチにするならなおさらです。
(トレッドを拡げると転舵時に当たる確率がさらに上がりますので。)
今回僕は異例のサイズに挑戦しますが、それもこれも前回のブログの通り、海外の情報も含めて調べまくって、同じサイズ(外径)で「No poke, No rubbing (ハミタイなし、コスリなし)」が確認できたからに他なりません。
実はそれでもまだドキドキしています。


デメリット⑤ ロードノイズ増大の可能性

外径を大きくするとタイヤとインナーフェンダーが近くなる(タイヤハウス内の空隙が減る)ので、ロードノイズが減衰しにくくなります。
僕のG15にはフォーカルの「調音施工」を施工済みとは言え、本格的なデッドニングとは異なりますので効果は限られます。
もちろん全ては「反響×共鳴×減衰」の兼ね合いで、空間体積や固有振動数など個別の要素もあるので一概にこうとは言えないですけどね。
M8やアルピナB8のレビューを見ていると、ロードノイズを指摘している記事も少なくないですし、これが目下のところイチバンの心配だったりします。


デメリット⑥ 重心高アップによるロール特性の変化

タイヤ径を大きくすると車高が上がり、同時に重心位置も上がります。
でもまあ、僕はサーキットをゴリゴリ走らせるつもりもないし、ハイリフト化したSUVのようにガッツリではなく、10mmちょっと上がるだけなので大きな影響は出ないのではないかと。


デメリット⑦ ダウンフォース低下の可能性

これも⑥と同じ理由で車高が上がる(地上高が増える)ことによって、フロア下のベンチュリ効果が弱まる可能性があるということ。
ただ、今回は10mm強ですからね。こちらもほとんど影響はないでしょう。
それこそ、アルピナB8なんて25mmも車高が上がってるけどフロア下の設計はほとんど同じだし。(もちろん前後のスポイラーは専用だけど…)



…と、思いついたメリット/デメリットをつらつら書いてみました。
いつもながら長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

【関連ブログ】
ノーマルサス戻し その1 【検討編】 → こちら
ノーマルサス戻し×禁断のインチアップ その2 【検討の続き】 → こちら
ノーマルサス戻し×禁断のインチアップ その3 【ホイール編】 → こちら
ノーマルサス戻し×禁断のインチアップ その4 【作業編①】 → こちら
ノーマルサス戻し×禁断のインチアップ その5 【作業編②】 → こちら
ノーマルサス戻し×禁断のインチアップ その6 【まとめ】 → こちら

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Posted at 2023/07/24 19:22:43

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この記事へのコメント

2023年7月25日 10:57
メリットとしてキャリパーとディスクの大型化にできますが
しないと中がスカスカに見えてしまう事がデメリットになります
極力純正に近い大型が優しい
話は変わって出張にはキャリーケースよりも婆ちゃんのカートの方が優秀だったw
コメントへの返答
2023年7月25日 13:13
確かにそれもデメリットの一つかも知れませんね(笑)

M850iの標準ブレーキローターは前後とも直径400mm弱とデカいので、21インチに変更しても、まあ何とか「見た目」は保てるかと。
標準21インチのアルピナB8もブレーキは形式、サイズは同じでローターにディンプルが入るだけ、M8はキャリパーこそ異なりますが、むしろリアはM850iよりも小さい380mmですしね。
2023年7月30日 6:48
はじめまして。
17年乗っているIS350をカスタマイズして、僕もミシュラン信者なのでPS4Sをインチアップして履いております。

タイヤの大径化についての記述、とても分かりやすくて、すごく勉強になりました。

大径化にともない路面からの突き上げ感はどうなんでしょうか。ホイールも軽量化したので、純正から比べると路面からのダイレクト感といいますか、突き上げ感が明らかに増えて、自分はイイ感じと思うのですが、一般的にはちょっとかなと思いました。
コメントへの返答
2023年7月30日 11:49
はじめまして。
コメントありがとうございます。

MONOさんがどのようなサイズ変更(インチ、タイヤ幅、偏平率)をしたのか不明なので一般論しか言えませんが、単純な「インチアップ」と「バネ下軽量化」だけなら、いずれもダイレクト感は増す=乗り心地は悪くなる方向かな、と思います。

https://minkara.carview.co.jp/userid/676444/blog/46276972/

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「BMW Road Map JAPAN Live 2025-2が出たけど、それよりワシはリモートエンジンスタートが欲しい。」
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