今回はブレーシングのお話です。
ギターは耐久性を維持しながら良い音質にするため、色々工夫がなされています。
それがブレーシング(=力木)です。
ギターの表板は厚さ約3mmの単板スプルースを使っています。
何も補強が無ければ張力70kgのスチール弦に負けて変形してしまいます。
そう言う目的でマーチンは以下のようなXブレーシングパターンを採用しています。
本来は表板が自由に振動した方が良いので振動をできるだけ制限しないように、Xの交差点
Aはサウンドホールの端から1インチ下に、トーンバーは棒の中央部分を削ったスキャロップトタイプ
Bになっていました。
しかし、大きな音を出すためより一層張力が強いヘビーゲージ弦が普及した1940年中頃、表板耐久性強化のためXの交差点をさらに0.5インチずらし(=1.5インチ)、トーンバーを削らない方式を採用しました。(1944年 #89926より)
ブリッジプレートの補強材(写真のエンドピン付近)も大型化し、材質もメープルからローズウッドに変更されました。
そして、これが標準となりました。
(Non-Scalloped Standard X bracing)
いりあんの1972年製造D-28はこの標準ブレーシングです。
この標準ブレーシングは低音振動が弱くなるそうです。
ところがマイクの性能が向上したためか、ヘビーゲージ弦は下火になってきたので、旧タイプのブレーシングを採用したモデルが出てきました。(1976年 HD-28が最初)
いりあんのD-45VもD-18GEも旧タイプのブレーシングを採用しています。元々はこのタイプが使われていたんですが、その後出てきたのが標準ブレーシングと呼ばれたため、
Foward Shifted Bracingと呼ばれるようになりました。
現在も標準モデルはNon-Scalloped Standard Bracingです。
、、といりあんの蔵書
"Martin Guitars:A Technical Reference"には記載されていたような気がします。
さて、音質ですが、D-28よりもD45V/D-18GEの低音は良く出ていますが、同じグレードで比べないとチョット、、、、(^^ゞ
Posted at 2017/01/14 07:03:26 | |
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