M・T氏との逍遥(第四回)
投稿日 : 2010年10月25日
1
良き先輩でもあり、良き友人でもあるM・T氏と、都内をぶらりと散歩(すなわち、逍遥)する試みを始めて、ちょうど一年ほどになる。
先だって、四回目の逍遥を楽しんできた。
毎回、異なる風景・異なる出来事が折り重なり、本当に楽しいなと思えるひとときである。
今回の出発地点は地下鉄東西線葛西駅に隣接した、地下鉄博物館から。
ここは実際の画面を使った運転のシミュレータもできるし、かつての運転手の方が運転方法を指導してくださったりもする。往年の車両もあり、車内に入ることもできるので、当時の雰囲気を感じたり、懐かしんだりすることもできる。
撮影はすべて自由という解放感も良く、シミュレータを体験したM・T氏ったら、高揚しきってしまい「これは欲しいな」と逍遥のっけから、テンションが非常に高い。
地下鉄・鉄道好きでなくともおすすめ。
2
葛西という街は江戸川区という東京で一番東南に位置しており、お隣はディズニーランドを擁する浦安の街がある。葛西臨海公園が著名な観光スポットかもしれない。
街並みに目を見張るきらびやかさはないけれども、空間がゆったりしていて過ごしやすそうな街。
なお、観察眼が独特なM・T氏は葛西地域に接骨院が多いことを発見。たしかに言われてみればそうで、私は「昔、ほねつぎに携わる人たちが集ってできたんですかね」とかなり適当なこと応え方をしたのだけれど、いつもながら視点が独特で鋭い。
『接骨院の街 葛西』なんてフレーズが頭の中を駆け巡る。格闘家が集いそうである。
3
西葛西駅まで歩いたのち、都営バスに乗り、西の江東区まで行くことを提案。江東区に行くには河川超えをする必要がある。
江戸川区と江東区を隔てる荒川放水路(土地の人は単に「荒川」という)というのは非常に川幅が大きい。
実はこの放水路は昭和のはじめに隅田川の洪水を防ぐために人工的に作られた巨大河川なのだ。
軍艦一隻買うほどのコストがかかったとか。
境川バス停にて下車。
この辺りに越中島貨物線というのがあり、貨物運送も廃止され、JR東日本の社内用務のためのみに運行しているそうだが、詳細はわからない。
「一日に数回程度ディーゼル機関車が走っているみたいですね」なんて話していたところ、目の前に線路が現れ、ディーゼル機関車が登場。
さすが強運の二人。めったに拝めない秘仏を見ることができたような感じを受けたが、M・T氏がどのように感じたのかはわからない。
東京モンにとって、ディーゼル機関車というのは非常に珍しいのである。言うなれば、自宅の隣によしながさゆりが引っ越してくるようなもんか。
いや、そこまで珍しくはないが。
4
東京23区の都市の雑踏に現役として残っている非電化単線の路線。非常に貴重である。
一時期はLRT(すごくおおざっぱにいえば路面電車)を走らせる計画があったり、京葉線の越中島駅から総武線の亀戸駅までつながる路線を利用して、旅客化しようなんて話もあったが、立ち消えになったようだ。
5
物悲しささえ感じさせる線路。
「徒然草」の筆者の吉田兼好が好きそうな空間だが、むろん彼が鉄道のことを知っているはずもない。
さて、実は越中島貨線よりも、もっと都心方面(晴海や豊洲)に行く鉄道もあった。
東京都港湾鉄道という。
昭和の終わりとほぼ同時期くらいに廃止されたが、まだ微かに線路が残されていたり、往年の雰囲気をとどめているという。
その残滓を見てみようということで、ひとまず貨物線路をひしひしと眺めながら、歩を進める。
6
越中島貨物駅のお隣には、東京メトロ東西線車両が収納される深川車両区があり、私なぞは十代のころ、ごくごく普通にこの風景を日常にしてきたのだが、M・T氏は「こんなところがあったのか」と驚かれた様子。
それにしても沿線にマンションや宅地が増えた。
この辺りはまさに陸の孤島(埋立地で運河に囲まれている)だったのだが、「よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し」(方丈記)のように刻々と変わるものだ。
7
越中島貨物駅を高架橋から眺め、日も暮れかけてきたので
早々にビールが飲みたい。
ただ、東京港湾鉄道の残滓らしきものは見たかったし、終端フェチの私としては線路の終点を見てみたかった。
現在のところ、貨物駅からわずか500メートルほどのところで線路は切れてしまっている。
空き地の都有地が向かい側にあったので、その辺りに港湾鉄道は走っており、ごく近年まで線路だけでも残されていたはずだ。
8
さみしげな路線の終端を見たのち、
門前仲町に向かう。
高架線は首都高速9号線(深川線)。
このすぐ近くに大規模なイトーヨーカドーがあり、店内をショートカットして門前仲町に向かう。
港区東部在住のM・T氏は、この辺りにもよく買い物にくるそうだが、ここのイトーヨーカドーへの来訪は初めてらしい。氏の趣味であるゴルフに係わるグッズが豊富に備わっているお店もあるので、今後は足しげく通われるのかもしれない。
M・T氏はお店を選ぶ眼も肥えていて、サザエや焼き鳥などを七輪で焼いて楽しみながら食べるお店を見事に探し当てた。
氏は酔いが早めに回ってきたそうだが、私は相変わらずのハイピッチ。
お会計は割り勘ではなく、M・T氏のご馳走である。
いつもご馳走をしてくれて、大変ありがたいなと感謝しつつ、たくさん食べたり飲んだりしてます(笑)
次回の逍遥はどこになるのだろうか。楽しみだな。
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