
みんカラでは、車の話と絡めていこうと思っていますが、今回は車とは離れた話です。娘が受けているモルディングヘルメット治療についてちょっとお話しさせていただきます。
モルディングヘルメット治療を一言で説明すると「
酷い絶壁頭を矯正する」治療のことです。
赤ちゃんの成長とともに頭蓋骨も育ちます。生まれたばかりの赤ちゃんには、ペコペコと呼ばれる大泉門という隙間があるのをご存知でしょうか。泉門と呼ばれる頭蓋骨の隙間は、赤ちゃんが狭い産道を抜けるときに頭蓋骨を細長く変形させて通り抜けるために必要な隙間で、そのうち一番大きなものが大泉門と呼ばれています。泉門が閉じるまでの間は比較的変形しやすい状態で、寝癖などで変形して絶壁頭になるのもこのころです。
頭蓋骨内部には圧力がありますので、風船が丸くなるように頭蓋骨も丸くなろうとします。なので寝癖に気をつけて、首が据わってしばらくすれば徐々に丸みを帯びていくのが普通です。
問題は子宮内で圧迫されていたために頭蓋骨が変形してしまったり、水頭症などで異常な内圧によって変形してしまったような場合、変形の度合いが強すぎて自然に丸くなる事は望めません。特に斜頭症と呼ばれる状態ですと、左右の耳の位置が違う事から、音に対する判断能力やバランスなどの運動能力の遅延があるというレポートもあります。そのため斜頭症の治療として、ヘルメットで頭蓋骨矯正を行う方法がアメリカで開発されました。
矯正治療と聞くと、歯列矯正が思い浮かびます。しかし歯列矯正が外圧をかけて治療するのに対して、モルディングヘルメット治療は外圧をかけたりはしません。四角いスイカを作るのに似ていると思います。つまり理想的な形状の型を頭にかぶせて、大きく育つのを待つのです。ですから歯列矯正とは違い、痛みはありません。実際、うちの娘はヘルメットを嫌がる事はありませんでした。
ヘルメットの中で育つのを待つ訳ですから、育つ時期が一番効果的に治療できる期間ということになります。その時期は、首が据わってから大泉門が閉じるまでの間になります。首が座らないと治療開始できないのは、ヘルメットの重さを首が支えられないからです。ヘルメットは非常に軽い素材でできていますが、赤ちゃんにとっては重いものであることは間違いありません。また、誰でも治療できる訳でなく、頭蓋骨の状態によっては治療不可能な場合もあります。なので、治療前にレントゲン撮影を行うことになります。
治療可能と診断されれば、光学式3Dスキャナーで赤ちゃんの頭を数値化します。このデータをもとに、可能な範囲で理想の頭の型を制作し、それに合わせてヘルメットが作成されます。すべてオーダーメイドで行われるので、オイラがラリーで被っていたレース用のヘルメットの数倍、約40万円の値段になります。治療費は保険適用されますが、現時点ではヘルメット自体には保険適用は無いのでヘルメット代金は全額自費になります。また現時点では医療器具としての扱いにはならないので、医療控除の対象にもなりません。これが高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれですが、オイラは手間をかけてアメリカで製作され日本で調整する事を考えると妥当だと思います。ちなみに
アメリカでは約3,000ドル(約25万円)ぐらいのようです。
ヘルメットですが、外側は柔軟でありながら衝撃で凹んだりしない固さを持った材質で覆われ、内側は比較的柔らかなフォーム材で覆われています。ヘルメットは、一日中つけっぱなしということではありません。1日のうち1時間ほど外します。外す理由は、赤ちゃんをお風呂に入れるためで、その間にヘルメットの消毒などのメンテナンスも行います。
夏場は、通気性の悪いヘルメットなので、汗疹との戦いになります。しかし汗疹ができても、手で掻いたりすることはできないので、悪化する事はほとんどありません。が、汗疹になるとヘルメット治療を中断しなければならないこともあり、中断の期間が長引くと、その間に頭が成長してしまい、ヘルメットの調整だけでは対応しきれないとヘルメットを作り直す事にもなりかねません。夏場は、ワイフのケアが素晴らしく、ほぼ23時間着用でいきました。数時間ごとに外してケアを繰り返したワイフには脱帽するとともに、本当に感謝しています。
通院は、特に問題がなければ1ヶ月に1回。そして治療期間は3ヶ月から6ヶ月ほど。ヘルメットは6ヶ月を超えて使う事はできないので、6ヶ月を超える治療の時や成長が著しいときには、途中で新しいヘルメットを作る事になるそうです。
治療効果が大きく望めるのは、斜頭症や短頭症の赤ちゃんで、うちの娘のような長頭斜頭症は効果を得るのは難しいそうです。それでも少しでもゆがみが取れればと思い、治療を始める事にしたのが生後6ヶ月の半ばを過ぎようとしたころのことでした。治療開始できるぎりぎりのあたりです。もっと早く治療について知っていれば、と思う事はあります。
上の写真は治療をするかどうか悩んでいたときに、相談するために撮影したものです。赤い線は両目を結んだ線で、矢印は耳の位置です。平行四辺形状に頭蓋骨が歪んでいてい、耳の位置もずれているような状態です。そのために顔も歪んでいるように見えました(過去形)。原因は、子宮内で圧迫されつづけたことによるのではないかと産科医に言われました。周囲の者に相談すると「大丈夫そのうち奇麗になるよ。これくらい普通だよ。」と励ましの言葉をもらうだけでした。治療方法があることを知らないので、優しい言葉をかけるだけになってしまうのは仕方がありません。
そんなある日、オランダでヘルメット治療を行っている方のブログを見て、斜頭症を知り、同時にヘルメット治療なるものが日本でも受けられる事を知りました。費用面で悩みもしましたが、しないで後悔するよりは、無駄骨に後悔するかもしれないことを選びました。そして後悔はしていません。
今の娘はというと・・・大分改善できたと思います。下の写真は7月末、治療を始めて1ヶ月半ほどした頃のものです。最も変化した時期です。
結論から言えば、この治療をやって良かったと思います。知らないで悩み続けるよりかは、治療を試みることができただけでも良かったと思っています。もう少しの間、ヘルメットを被っていられるので、その間にできるだけ歪み取ってあげたいです。
治療するかどうかという以前に、治療方法を知らず後悔するのは悲劇としか言いようがありません。後に「あの時知っていれば」と後悔するのだけは避けて欲しいと思うのです。なので多くの人に
頭の歪みを治療する方法があることを知ってもらいたいと思います。
現時点で初診受付を行っているのは、
西宮協立脳神経外科病院だけですが、もっと多くの病院で治療できるようになってもらいたいです。
つたない文章に最後までおつきあいくださいまして、ありがとうございます。
追伸:
イイね、ありがとうございます。
Posted at 2011/11/21 17:43:29 | |
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