まだ
PS4を手に入れてないエルチェですが、連休中に家族が眠る丑三つ時に家を出て、襲撃した友人宅で堪能しました(笑)
ネットでは否定的な意見が大勢を占めていますが、その理由を確認できたと思います。いろいろ反論もあるかと思いますが、あくまでも個人的な感想とご理解いただいた上でお読みいただければと思います。
グランツーリスモが長年にわたり多くのファンに支持されてきた理由の一つとして、その独特な世界観がありました。実車へのこだわりが、映像の美しさや、走りと言うものの追求として現れたのだと思います。結果として、シュミレーター系ゲームの一翼を担うゲームとして存在したと言えると思います。
また、乗る喜びだけではなく、所有する喜びも得られるようにゲームが演出されていたことも忘れてはなりません。そうしたこだわりが、登録車種の多さという形であったり、音楽とカメラワークよるリプレイ映像の演出、オープニングやエンディングビデオだったと思います。
ではGT Sportはどうなの?
レーシングゲームと言うスタイルを追求しつつ、リアルなレースを体験出来るように考えられていると思います。その一つに、AIがドライブする、いわゆる敵車の動きの進化があると思います。
これまでの敵車は、レコードラインを無難にトレースするだけの車でした。ですがGT Spotでは、敵車はアグレッシブな走りを見せるだけでなく、時として失敗もします。非常に人間的です。また敵車がこちらの走りを見て振る舞いを変えるあたりも、かなりリアルな感じになったと思います。
またゲームのウリである、一から開発し直したというシミュレーターエンジンによる挙動ですが、
ネットで多く見られる評判通り納得できない動きでした。
四輪の書にあるような摩擦円の考え方は、非常に上手く働いていると思います。が、実際のタイヤは摩擦円の中であっても実は完全にグリップしてはいません。そうした挙動が全く無い、あるいは伝わってこないのです。少なくともGT6までは、そうした挙動を感じられるものがありました。特にトラクションコントロールがONになっていると、いきなりグリップを失うのでスピンを抑えることが不可能では?と思えるほどでした。OFFすると少しマシになりますが、それでも今までグランツーリスモよりタイヤの滑り出しを捉えるのが難しくなっています。実車では多かれ少なかれタイヤが常に滑っている状態ですが、そうした要件が全く考慮されていない、言い換えると完璧なグリップ走行が可能な昔のゲームの感覚でした。進化ではなく先祖返りな感じです。アシストを全てOFFにしたときには、フィーリングで走るのはかなり難しく、ゲームとして割り切ってコースに合わせて、正確なブレーキングとハンドルを行わないとまともに走りません。
オイラの運転でポン太に乗ったことのある方には、分かっていただけると思いますが、オイラは基本的にアンダーステアを気にしません。特に高速コーナーはアンダーステアのまま直線へと立ち上がることがよく有ります。オイラは直線への脱出速度重視のドライビングが好きなのです。もちろん、これはポン太の特性を知って、コントロール可能な範囲のアンダーステアを維持しているからできるドライビングスタイルです。必要であれば、いつでもアンダーステアを消してオーバーステアに切り替えることができるポン太だからこそできる芸当です(ちなみにランサーのときには、そんな走り方はしませんしできませんし、危険極まりないので別の方法を使います)。なので、オイラの隣に乗ると、全部のタイヤが滑った状態で走ることがどういうことか感じられると思います。
この芸当は、タイヤ特性によって使えるタイヤと使えないタイヤがありますので、グランツーリスモでの挙動はタイヤ特性だと割り切れば納得できる範囲だったと思います。しかし、この芸当ができるのは、路面とタイヤの状態がハンドルと視覚で体に擬似的にこそ伝わってくるからこそできるのであって、伝わってこないGT Sportではできません。摩擦円の考え方は重要ですが、実際には完全なグリップなど無いので、そのあたりのフィーリングを感じられるようにして欲しいと思いました。まあ、このへんは調整中らしいので今後のアップデートに期待されるところだと思います。
そしてVRも試しました。
第一印象は、未完成。おそらくVRで走って酔わない人はとっても少ないのではないかと思います。慣れるまでは、酔う覚悟が必要です。それと、きちんと調整しないと、ゲーム中に画面がだんだんと傾いたり、だんだんと首が横に回るようにして運転する羽目になります。オイラは首都高コースの1周目で、右方向に45度ほど向いた状態で、つまり斜めに椅子に座ったような状態で走っていました。それでも、VRの凄さは十分にあります。VRの完成度を高めて欲しいと思いました。
車種のラインナップはレーシングカー中心で、市販車もレーシングカーのベースとして用意されているのではないかと思えます。現状はほぼ市販車が無い状態なのは、デカールに代表される新しい機能がよりビジュアル的になり、そのビジュアル部分の機能対応のために時間を要しているのだと推測しています。デカールもレースをより楽しむためのカラーリング機能として設けられたのだろうと思います。
してみると、これまでのドライブ志向からレースを中心としたゲームへとシフトしたように思えます。が、もしかすると、これこそ当初から製作側が目指していたゲームだったのかもしれません。
だとすると、ネットで否定的な意見を発信している人は、製作側の意図が理解できなかったユーザーと言うことになります。
もしそうであれば、ここにひとり居ます。
それはオイラ
オイラは初代グランツーリスモから欠かさず購入してプレイしてきたユーザーです。単なるシミュレータやゲームでしたら、シリーズを追って購入し続けることはなかったと思います。オイラにとってグランツーリスモは、子供たちが欲しがる絵本と同じだったと思います。例えば「はたらくくるま」とか(笑)
これまでのグランツーリスモには、百科事典的な要素がありました。単なるレースゲームではなく、収録された車種の開発秘話や特徴などが書かれた読み物(グランツーリスモ4までは音声解説付き)でした。それまで全く興味のなかったクルマや知らなかったクルマを知る機会をくれたと思います。しかも、それだけでなく試乗してレースにまで出る(ゲームですからゲーム性があるのは当たり前ですね)ことができる、独特の体験型バーチャルな世界だったのです。大げさかもしれませんがゲームがこれまでのゲームの枠を超えて、新しいメディアになれる予感すら感じさせるものでした。そして、どんどんグランツーリスモの世界観の深みにはまったのでした。
そうした世界観はGT Sportでも一応引き継がれています。バーチャルツアー・・・新しい呼び名は
スケープスだそうですが、景色の中にクルマを置いて写真撮影をして楽しめる機能があります。これが楽しいという評判も、オイラには十分に共感できるところです。
もしグランツーリスモが単なるゲームであったら、今、
フォードフォーカスというクルマに乗っていることはなかったでしょう。それほどに情報メディアとしての役割を持っていた、少なくともオイラには毎月出版される雑誌以上に魅力的なメディアであったのです。
しかし目が覚めました。
グランツーリスモはやはりただのゲームだったのです。それ以上でもそれ以下でもなく、単なるゲームだったのです。グランツーリスモは、これまでオイラが求めてきたものではなかったのだと分かりました。
GT Sportは、ゲームとして楽しむスタイルは進化していると感じます。AIもネット対戦もVRも含めて、うまくまとめられて完成度が高いと思います。しかし一方で、他のゲームを意識しすぎたのではないかとも思います。GT Sportをゲームとして捉えるなら、
Folzaなどのゲームに明らかに勝ると思える部分は少ないし、その意味でPS4のキラーアプリがグランツーリスモであるなら、PS4というプラットフォームにも特別な意義が見いだせない今、混沌としたゲーム市場の闘いの中に飲み込まれていくのだろうと思いました。
ファンとしては失格ですが、もし制作側が目標としていたものが、クルマの楽しさをシミュレートするのではなく単にレーシングゲームであるなら、年末にPS4を買う代わりにPC買ってFolzaを始めるかもしれません。とはいえ、アップデートでどうなるのか分かりませんので、暫くの間動向を見ていくつもりです。
Posted at 2017/11/06 12:12:51 | |
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