今年は、ロンドンでオリンピックが開催されることで注目を集めている英国。
エリザベス女王が即位して60周年、ビートルズ結成50周年と、なにかと記念すべき年として見られているが、ロータス・エラン、MGBも同じく50周年を迎える。
現在、会社としてのMGは無くなってしまったが、
2012.5.27修正
現在は中国の上海汽車傘下となったが、MGのバッヂを冠する車はまだ販売されている。
しかも、今年度は16年ぶりのニューモデル「MG6 GT」を引っ提げて、BTCC(英国ツーリングカー選手権)への復帰を果たした。
少し”MG”の歴史を紐解いてみよう。
1910年 モーリス・ガレージ(Morris Garages)が発足し、2輪の製造販売と4輪の販売を始めた。
4輪自動車メーカー”MG Car Company”としての会社創設は1928年とされるが、オクタゴン(八角形)のMGマークは1927年から使用されていたらしい。
その後、1935年にモーリス社との統合、1938年のナッフィールド・オーガニゼーションへの編入、1952年のオースティン社を含めたBMCの発足へと進む。
そして1962年、ラダーフレームのMGAからスタイルも一新した、モノコックフレーム構造を持つ、MGBが誕生する。
当時は、モノコックフレームとオープントップという組み合わせは、あまり一般的でなかったらしいが、それまでにない軽量な車体、軽快なハンドリング、
高い信頼性、メンテナンスの容易さ等から、2シーター・スポーツカーの定番的な地位を確立する。
会社はさらにBritish Leylandグループへと発展し、MGBは総計52万台も世に送り出された。
しかし、1980年のアビンドン工場の閉鎖とともに、19年に亘る長い歴史に幕を下ろすことになる。
スペックを軽く紹介すると…
全長3893mm、全幅1516mm、全高1254mm、ホイールベース2311mmと、小柄なボデイーサイズながら、窮屈さを感じないコックピットを持つ。
オープン・タイプのボディーにはハード・トップと幌の二種類のルーフが有り、MkⅠからMkⅢのメタルバンパーから最終型の樹脂バンパー(ラバー・バンパー)へと外見は変貌。
エンジンは、シリーズを通して見かけ上大きな変更は無く、MGAの1.6Lユニットをスープアップした1.8L直列4気筒OHVのBMC Bタイプ(18G)エンジンを搭載した。
北米仕様以外のキャブレターはSUツインキャブレターを装備していたが、排ガス対策後のモデルは北米仕様と同様のストロンバーグ・キャブレターを採用する。
エンジン出力については、初期のもので95HP程度を発生していたが、排ガス対策や仕向地によって80HP以下から90HP程度まで、さまざまな仕様が有るとされている。
ギヤボックスは、4速MTミッションを標準として3速AT、OD付4速MTが仕向地や年式によって加わる。
後期のMTは、OD付に一本化されるが、操作系統が電気の油圧作動式を採用したため、メンテ・修理ともに手間が掛かり、トラブルも多いとされている。
サスペンションは、フロントにダブルウイッシュボーンにコイルスプリングの組み合わせ。リヤはリジッドアクスルにリーフスプリングを組み合わせるが、
ショック・アブソーバーはシリンダー式ではなく、カンチレバー式を採用し、前述のOD同様にメンテナンス上のウイークポイントとされている。
MGBの標準車は「ツアラー」と呼ばれるオープン・ボディーだが、兄弟車とも呼べる発展型モデルがいくつかある。
ハッチバック・スタイルを持つクローズド・ボディーの、”MGB GT”。
直列6気筒エンジンを搭載する”MGC”。
V型8気筒エンジンを搭載する”MGB GT V8”
さらに、ローバーグループから1993~1995年に2000台あまり販売された、V8エンジンを搭載の”RV8”は、各コンポーネントやパネル類をMGBから流用しているとされている。
また、MGBのボディーシェルAss’y、つまり「ホワイト・ボディー」は、英国でいまだに再生産されている。なんとも、古いものを大切にする英国らしいお話だ。
MGBの詳しい歴史などは、こちらに詳しい内容が有ります→
MGOC_Jさん
さて、同一型式の自動車としては、異例とも言える長寿の歴史を持つ”MGB”、モータースポーツの世界でも長く愛され続けているが、日本でもレース創成期から活躍がみられる。
公式な記録を紐解いてみると、日本で初めての公認レースである「第一回日本グランプリ」(1963年5月3~4日)の、B-Ⅱクラスに一台のMGBが出走し、
強豪トライアンフ勢や田原 源一郎氏(SCCN初代会長)のフェアレディー、生沢 徹氏ドライブのスカイラインSなどに交じって、5位入賞の成績を上げている。
ドライバーは、松永 正義氏で、その後も何度かJAF公認レースでMGBをドライブし、戦績を残している。
現代の日本のヒストリックカー・レースといえば、そうたくさん開催されているわけでなく、いろいろな年代や異なったクラスの車両との混走レースが一般的だが、
MGBの出られるレースの一つに、「MG-CUP」(
http://www.geocities.jp/mgcup_web/)がある。
名前の通りこのレースはMGのワンメイク・レースなので、いわゆるMGと名のつく車両なら何でも出られる。
年式や改造度合いの違う車のレースなので、勝ち負けは見えてしまいそうだが、着順だけでなく自己申告タイムとの差を競う「チャレンジポイント」という方式が採用されているため、
「速い」だけでは勝てない、面白さがあるそうだ。
とはいえ、レースなので、速く走る車を「見る」・「乗る」のが楽しみの一つであることに違いはない。
次回は、この辺のところを深~く掘り下げてみたいと思う。
