最近ちょっと思うことがある。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、会場が多い東京を中心に、近郊ではいろんな対策が始まっているみたいですね。
訪れた観客が、複雑に書かれた駅の乗り換え掲示板や出口看板を見て迷うのではないか?
非常口や温泉マークなどのマークが外国人の感覚と合わない…
そんな理由から、地下鉄の通路の看板が簡略化されたりしていて、慣れていない人にやさしい都市に生まれ変わろうとしている。
しかしどうなんだろうね?
改革・改善は大賛成だけど、変わることが良いことばかりではない気もする。
非常口マークや温泉マーク、喫煙所にトイレの男女など、日常的に目にすることの多い簡略化されたマークは、「ピクトグラム」と呼ばれ、1964年の東京五輪の際、日本のデザイナーによって作られ、海外にも波及していったといわれる。
日本国内では、その後の改善を経て、JIS 日本工業規格に登録されて、現在に至っている。
ですからね、老若男女、日本に暮らすひとなら誰でもその記号の持つ意味を理解できると思うし、軽度から中度の視覚障害を持つ人たちにとっても、現状のマークは重要な道しるべなのかも…
それを急に、「2020年を境に変えよう!」というのは、ちょっと残酷ではないかな?
日本と世界の基準が異なると、少数派の日本の基準は、「ガラパゴス化してる」とか言われて、さも悪いことをしているかのように言われる。
前職の建設機械業界でも、凄くドラスティックなやり方で、規格の変更がなされたことがある。
通称「ユンボ」とか「ショベルカー」と呼ばれる油圧ショベルのバックホゥは、自重500キロくらいのちっちゃいのから、550トンの超大型機まで、みんな左右2本のレバーで走行以外の操作を行なうんだ。(もっと昔は4本式もあったけど…)
当時シェア・ナンバーワンの方式は日立や小松などが採用していて、国内の8割近い機械がその操作方法だった。
海外ではすでにISO 国際標準化機構が制定した規格を定めていて、国内ではクボタなどが同様の方法を標準仕様として採用していた。
その他のメーカーは、受注の際にオプションでその方式に変更が可能だったり、いくつもの操作方法を切り替えるマルチレバーを付けたりしていた。
こいつをISO=JISとして国内統合し「JISレバーを標準とすること」みたいな規定が作られた。
理由は、慣れない機械に乗って事故を起こす可能性がある?から、国内でも一種類に統一しようという話になったからだ…
その後、公共工事やゼネコンの発注する現場では、JISレバー以外は出禁で使えなくなり、資格取得の現場でも新レバーで教習が行われるようになった。
僕はね、納得いかなかったなー。世の中に一番で回ってる方式が標準にならないことがすごく不自然で理不尽だと思った。
実際H式レバーで乗り慣れて、その後JISレバーはちょこっと乗っただけだから、今の機械じゃまともに掘れない(^^;;
だってさ、旋回操作が感性に合わないんだよ!
右旋回は自分が乗ってる場所が前に進むんだぜ。だから左レバーは前に倒すのが正解、やっぱ縦旋回だよ。(^^;;
レースの場合、コース上での情報伝達には「旗」が用いられ、これもFIA 国際自動車連盟のモータースポーツ規則で決められた掲示方法がとられる。
モータースポーツは外国から"輸入"されたものだから、日本国内ではJAF 日本自動車連盟がその規格を和訳して使用しているので、ライセンスの取得の際、講習で習うわけだ。
だから、先日のベルギーの耐久レースに行ったときも、ブリーフィングの英語が分からなくたって、コース上では基本的に困ることはない。
フラッグ代わりのLEDパネルの区間は、最初ちょっと戸惑ったけどね…
初日、黄色の点滅 = 黄旗振動だと思っていたが、黄旗振動はLEDパネルの半分づつが交互に点滅することが二日目に分かった。(^^;;
建機のレバーの問題もサーキットでのフラッグ・サインも、資格取得の際に「教習」する期間があるから、使いにくかろうが分かりにくかろうが、そこで基準が擦り込まれる。
ピクトグラムについてはどうだろう?
「分かりやすさ」ってのは、多数決になってしまうのかな?
外国から輸入した機械の取説や、レーシングスーツなんかのタグを見たとき、ピクトグラムの分かりにくさに戸惑ったことなんて無いですか?
分かりにくいものや不便なものに、なんでいつも多数決で合わせなきゃならん?
日本にやってくる外国人に、「これが日本の伝統のピクトグラムだぜ!」って見せてやることも大切なんではないかと…
どうしてもわかりにくいと言うなら、"いつもの温泉マーク"の下に「ONSEN」って入れてやれよ(^^)
自分たちのやってきたことに、自信を持とうぜ!!
Posted at 2016/11/13 21:26:01 | |
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