
例年にない始動の遅さ。
雪の降る時期はともかく、4月と5月に動かなかった記憶はありません。
この北海道もGWに訪れる予定が、仕事の関係で6月半ばの代休までずれ込む始末。
溜まり続けたストレス発散のため、今回の予算は無制限です。
そして内容的にも集大成といえる旅。
あらゆる意味で失敗は許されないのに、出発前になって不確定要素が出現してしまいました。
旅の日程に合わせたが如く、前線を伴う低気圧が北上。
もはや雨が降るかどうかといった話ではなく、どのタイミングで台風並みの大雨・暴風に捕まるかが焦点となりそうです。
1日目 … 6月12日(水)
17時に自宅を出発。

淡路島北端、大観覧車のある淡路SAで夕暮れを迎えました。
こんな時間に出発したのには理由があります。
新日本海フェリー 舞鶴港フェリーターミナル [
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初日の最終目的地に到着。
もちろん飛行機という選択肢もあったのですが、自分の車で北海道を走りたい願望が勝りました。
舞鶴~小樽航路の「はまなす」です。

旅客定員746名と余裕があるものの、乗用車の上限は65台。
連休等は早期の予約が必要になります。
23時30分から一般車両の乗船が始まり、定刻の23時50分に出港しました。
小樽までの
20時間を船内で過ごします。
往路、復路ともに「ツーリストS」を予約。

運賃は通常と繁忙期で変わりますが、最も安い期間Aのため16,340円(※旅客のみの場合)でした。
ただ、狭さはともかく予想よりも薄暗い。
本当に寝るためだけのスペースといった感じです。
カーテンのみで施錠が出来ないため、プライバシー確保も最低限といったところ。

これはこれで趣がありますが、復路はちょっと考えてみよう。
2日目 … 6月13日(木)
意外なほど揺れず、体に伝わるのはエンジンの振動ぐらいでした。

オープンデッキから眺める海と空。
これぞ船旅の醍醐味。
続いて船内の散策です。
浴室は出港後の約1時間と、翌日の8時~18時まで利用可能。

時間外に撮らせて貰いましたが、写真のように結構な広さがあります。
この「ツーリストA」は、共有の部屋内に上下2段ベッドという構成。

占有スペースはカーテンの中だけですが、最も安価な9,970円(※旅客のみ)で乗船可能です。
左舷側後方のレストランは朝食、昼食、夕食の各1時間に営業。

ビュッフェではなく、盛り付けられた料理を選んで取るスタイルで、左のプレートが600円、パンとコーヒーが各200円でした。
味は十分に美味しく、船上というシチュエーションでさらに美味しさ倍増。
右舷側後方にはカフェもあります。

15時15分からの約1時間、
MIX JUiCEというユニットによるヴァイオリンとピアノの生演奏を楽しみました。
20時間もあると退屈するかと思いきや、あっという間に夕食の時間です。

ビーフシチューが700円、ライスとサラダが各200円だったかな。
新潟~小樽航路の姉妹船「らべんだあ」との接近イベント。

程なくして神威岬が見えました。
微妙な天気ですが、21時15分に到着なのでそれほど問題はないかな。
ホテルノルド小樽 [
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下船後すぐのチェックインは、やはり無駄な感じが否めません。
理想を言えば早朝の到着が望ましいですが、こればかりは仕方がないですね。
小樽運河

どうせ無駄に泊まるのならば…と、目の前が小樽運河という絶好の場所を選びました。
2014年のGWでは駐車場に空きがなく、周囲をぐるぐる回った末に諦めたのを思い出します。

小樽運河の全長は1,140mで、元々の幅は40mもあったそうです。
現在は半分の20mが道路と散策路に埋め立てられ、小樽市を代表する観光資源になっています。
散策路に並ぶ63基の街灯は、電気ではなくガス灯。

北海道に来たという実感が湧いてきました。
3日目 … 6月14日(金)
3日目ですが実質的には初日です。
ノルド小樽は満足度の高いホテルでした。
運河を見下ろせる部屋はもちろん、スタッフや食事も文句なしです。
毛無山展望所 [
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最初に訪れたのは小樽市を見下ろす展望所。
標高500m程にあり見晴らしは良いのですが、元気に育った草木が撮影にはちょっと邪魔かな。
再出発後は国道393号を終点まで走ります。
交通量が少なく天気も良好。

羊蹄山が見えてきました。
ここからは羊蹄山の撮影スポットを巡りながらの進行です。
川西ビューポイント [
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標高1,898mのほぼ完全な円錐形で、蝦夷富士とも呼ばれるそうです。
現地で眺めるには、このポイントが最も見応えがありました。
ニセコ宮田ビューポイント [
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麓も含めた写真を撮るならば、このポイントが良いかもしれません。
ここより西のポイントは望遠がないと厳いかも。
きじひき高原 パノラマ展望台 [
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場所は一気に飛んで、北斗市の高原に到着です。
標高550mの展望台は360°のパノラマ展望で、写真と別方向には新日本三景の大沼も見渡せました。
この写真の大野平野で弧を描いているのは、北海道新幹線の高架のようです。
素晴らしいスケール感。
遠くに見える山は北海道駒ヶ岳かな。

既に日常には戻れない気がしています。
七飯町城岱牧場

きじひき高原から東に進み、城岱スカイラインを走ると多数の牛さん出現。
城岱牧場展望台 [
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ここから望む大野平野と函館山は「裏夜景」と呼ばれ、函館山から見る夜景の対極として人気のようです。
興味はあるものの、夜景に関しては2014年のリベンジを優先します。
ウイニングホテル [
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2014年の旅で一番評価のホテルに再訪。
そして今回の旅でも一番評価のホテルでした。

ベイエリアの望む抜群のロケーションです。
八幡坂 [
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ロープウェイの山麓駅を目指し、今回も八幡坂を歩いてみました。
奥に見える船は青函連絡船の摩周丸で、現在は博物館として展示されています。
漁火公園

ロープウェイで函館山山頂に到着。
ここからでも良いのですが、どうせなら一番高い展望台ですよね。
函館山展望台 [
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そうそう、この景色ですよ。
日没時間が近付くにつれて薄暗くなり、街の灯りが徐々に増えていきます。
それにしても人が多い。

たぶん8割ぐらいはアジア系の外国人。
日没後の夜景を撮影。

函館市は、市街地の両側が海という珍しい地形。
それによる明暗のコントラストも「100万ドルの夜景」と評される一因だそうです。
素晴らしさの反面、過剰人気による不便もあります。

平日の夜なので少ないかと思いきや、とんでもない状況でした。
再びの八幡坂を下ってホテルに帰還。

本当に絵になる街です。
4日目 … 6月15日(土)
渡島半島の南東から北上し、札幌市がゴールの一日です。
朝のテレビニュースで、本州各地の大荒れ模様を映していました。
いよいよ覚悟が必要かもしれません。
道の駅 なとわ・えさん

個人的には、北海道は都市部よりも道東や道北の雰囲気が好みです。
しかし初めて走った亀田半島には、そのどちらとも違った魅力を感じました。
恵山道立自然公園 [
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前述の道の駅からも見える恵山は、標高618mの常時観測対象活火山。
複数箇所から噴気が出ており、濃い硫黄臭(正確には硫化水素)が漂っています。
入山禁止かと思いきや規制はなく、山頂まで1時間ほどの登山道は、初心者でも変化に富んだ景色を楽しめるそうです。
半島の道の駅巡りが終わると、道央自動車道で一気に北上。

この頃から本格的に天気が悪化。
最悪のケースが脳裏をよぎります。
このまま札幌、そして稚内まで雨雲と一緒の北上だけは御免被りたい。
2日後に予定している旅のハイライト。
その失敗は、旅そのものの失敗に直結します。
昭和新山 [
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ところが予想外の青空にニンマリ。
ここも2014年の訪問時は霧に覆われ、ロープウェイを回避した経緯があります。

有珠山は洞爺湖の南に位置する標高737mの活火山。
約30年周期の噴火を繰り返し、世界的に見ても活発な部類に入るそうです。
1944年(昭和19年)に麦畑が隆起してできた昭和新山。

こうして上から見ると、まるで地球のニキビのよう。
そして洞爺カルデラ内に出来た湖が洞爺湖。

この一帯は地質学的に極めて貴重で、日本で初めて世界ジオパークに認定されたそうです。
有珠山火口原展望台

有珠新山を誕生させた1977年の噴火口。
道中は長い階段が続きますが、山頂駅から片道7分程度なので訪れる価値があると思います。
のぼりべつクマ牧場 [
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次はハイドラ的に重要な場所で、いわゆる有料CP設置の難所です。
お値段は入園料金2,600円+駐車場520円と割とお高め。
クマ山は標高550m(温泉街との高低差は300m)で北海道の山ということもあり、徒歩での獲得は現実的ではなさそうです。

お馴染みの物凄い霧が現れやがりました。
山頂駅から出てすぐの子グマ牧場。

ヒグマも子供ならカワイイですね。
メスばかりの第2牧場では、餌を投げ与えることが出来ます。

餌を貰おうと片手を挙げてアピールしたり。
寝そべってアピールしたり…って、おい野生はどうした?

なんかここ、めちゃくちゃ楽しいんですけど(笑)
登別の温泉街に戻ると、次は道道2号でオロフレ峠を越えます。

濃霧によりオロフレ峠展望台は残念無念。
その後の道中も諸事情(涙)によりカットです。
プレミアホテル 中島公園 札幌 [
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特に問題はないのですが、ウイニングホテルの2倍以上の金額に相応しいかというと、正直なところ微妙な感があります。
この日の最終イベント、藻岩山の夜景は断念しました。

今回の旅で狙っていた函館山、藻岩山(札幌)、天狗山(小樽)の夜景。
「北海道三大夜景」の制覇は、次回以降に持ち越しです。
5日目 … 6月16日(日)
朝食の美味しさでプレミアホテルの評価は上昇。
我ながら単純だとは思う。
さっぽろテレビ塔

まあ朝から雨ですね。
まあ風も相当強いです。
でも、移動がメインの日なので我慢できます。
なにか問題があるとすれば、明日乗船予定の本日便が
全便欠航なことぐらいかな。(死活問題)
北海道博物館

道中に見覚えがあると思ったら、北海道百年記念塔の近くでした。
その百年記念塔は老朽化が進んでいるため、解体が決定しているそうです。
ここから先、2014年は日本海側を北上したのですが、今回は内陸部を走って稚内を目指します。
道の駅 びふか [
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北海道のドライブは爽快にして豪快。
深川市から国道275号へ進むと、美深町までの約100km区間はほぼ単独走行でした。
「乗れている」と実感し、目の前にクリアな道さえ続いていれば、少しぐらい天気が悪くてもそれは至高のドライブ。
音威子府から先も国道275号を走り、オホーツクの海岸を宗谷岬まで北上します。
なんか必要以上に心配していたけど、この感じだと杞憂に終わりそうかな。
宗谷丘陵 [
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5年ぶりの宗谷丘陵。
控えめに言っても滅茶苦茶である。
ワイパーが追いつかない雨と、車が引っ繰り返るんじゃないかと心配になる突風。

過去の台風時の走行でも、こんな怖さを感じたことはなかったです。
風が吹き抜ける地形だからだろうか。
宗谷岬 [
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降りようとすると風圧でドアが開かない。
開いたら開いたで、今度は一気に持って行かれそうになる。
この写真もモミュメントを中央に写したはずが凄いズレてる。
寒いし冷たいしでもう無理でございます。
天然温泉天北の湯 ドーミーイン稚内 [
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稚内ではドーミーインで2泊します。
温泉で体を解凍して、ようやく一息付けました。
部屋の窓から港方面を眺めてみる。

明日の
利尻島~礼文島は、もはや天に祈るしかない。
6日目 … 6月17日(月)
5時30分に公式サイト更新のはずが、サーバーダウンで全く繋がりません。
仕方がないので、直接フェリーターミナルへ確認に行きます。

終わりである。
予約していた3つの便。
赤色の2便が欠航で、礼文島から戻りの1便だけが運航。
2つの島を走り抜けるため自分の車で来たというのに、この仕打ちはあんまりだ。
代替えプランは用意していません。
もう何もかも終わりである。
一応、臨時便が出るらしい。

礼文島を諦めて、利尻島だけなら行けなくはない。
ただ、利尻島~稚内の戻りの便は17時45分発。
到着が15時だから現地滞在は
実質2時間程度?
大時化の海を往復し、悪天候の利尻島での僅か2時間に約5万円を払う?
さすがにそれはない。
(後編に続く)