2013年11月13日
「伝え方」の問題
お寒うございます。
昨日の朝バイト先から連絡があり急遽連休になっちゃいまして、半ば途方に暮れかけている今日この頃(^^;
いかがお過ごしでしょうか?
さて、ご存じの方も多いと思うんですが…。
ここ最近、「自動ブレーキシステム」付き車両が増えてきてるわけですが、先日、とあるマツダディーラーの試乗会で痛ましい事故が起きてしまいました。
…ということで、この装備について、以前から思ってたことを書いてみようかと。
正直言うと、「自動ブレーキ」って言うのも、個人的には余り使いたくないですし、システムの根幹というか、そもそもの役割から考えたとき、この呼称(俗称)にはどうしても違和感を覚えます。
だって、抑も、ドライバーの技量の限界を超えた部分を補助する過程における機能の一つが「自動的にブレーキを掛ける」事であって、本来なら「運転支援システム」と呼ぶべきものなのですから。
勿論、運転支援システムの技術自体にケチをつけるつもりは毛頭ありません。
考えてもみてくださいよ?自動車が自ら考え、判断し、危険を回避するのを手助けしてくれるわけですよ。
そして、このシステムの先に見えるのは、やはり「自動運転」だと思いますし、腕時計型の端末使って呼べば飛んでくるような車が登場するのも、最早夢物語ではなくなろうとしています。
…ボタン一発でジャンプするところまでいくかどうかはわかりませんけど(笑)
世に自動車というものが誕生してからかなりの年月が経ち、恐らく、自動車工学的見地から見れば、これ以上、新機構なり改良する要素は見当たらないだろうという思えるほど熟成しきったと考えますし、中でも安全面において、これまではどちらかというと「パッシブセイフティ」、つまり「被害軽減」策がメインでありました。
その最たる一例のエアバッグも今から10年ほど前頃から装備され始めましたが、今じゃ「一台の車にどんだけ付ければ気が済むんよww」って言うぐらい、あちこちに張り巡らされるほどになってます。
その反面、「アクティブセイフティ」(事故予防・抑止)面においては、おざなりとは言わないまでも立ち後れていたという感は否めない状況ではありましたから、ここ最近の「運転支援システム」装備車の増加は、今後の自動車技術のメインコアになってくるであろう事は間違いないところでしょう。
しかし、問題は、この画期的な装備の「伝え方」にあるような気がしてならないのです。
まずは、運転支援システム装備車のCMの一例をご覧いただきましょう。
大体、どのメーカーも同じようなフォーマットで作られていて、普段なら気にもとめないかも知れませんが、何かお気づきになりませんか?
つまり、「この装備は凄い!素晴らしい!」ってところばかりに注目が集まるばっかりで、肝心の注意点、即ち、「こういうときには、この装備の効果が得られない可能性がありますよ?」って部分が申し訳程度にしか流されていない。
同じように注意喚起が促されるCMに医薬品のCMがありますが、抑も「この薬は使用上の注意を云々」なんていう文字数どころの騒ぎじゃないわけですし、フォントサイズも大きく表示されるわけでもない。
しかも、表示されるのもせいぜい2~3秒程度。
これじゃ、注意喚起なんてレベルじゃないですし、どう見たって利点ばかりがクローズアップされてるだけの印象しか与えられないと思うのです。
じゃあ、「詳しいことは販売店側でフォローするのか?」と言われれば、実際自動車の販売現場にいた自分から見るとそいつは甚だ疑問ですし、新車や新装備が出た時点でそれなりの教育というか研修は各ディーラーで行われているとはいえ、実際の商談でそこまで言及するセールスが、果たして居るのかどうか。
それが、中古車販売専業店ならなおのことでしょう。
加えて、いくら取説に注意事項が記載されているとは言え、新車なり中古車を買ったときに、取説を真剣に隅々まで読んでくれるユーザーなんて、まず皆無です。
私も、これまであまたのクルマ達を見てきましたが、どんなに年式が古くとも、取説だけはほぼ新品同様だったってのは珍しい話ではありません。
故に、「運転支援システム」のメリットばかりではなく、あえてデメリットを全面に出したCMなり広告なりってのもあっても良いと思うんですね。
さらに、もっと言えば、
この装備は、こういうときには大して効果どころか役に立たないけど、それでも良ければどうぞ
ぐらい言い切れる気骨のあるメーカーが一社ぐらいあっていいと思うんです。
メリット・デメリット、長所・短所があるなんてのは機械に限った話じゃない。
まして、完全無欠な人間がいないように、世の中に数あまたある機械のどれにも「欠点」は存在します。
どんなに斬新、かつ、高機能なものでも、たった一つの「スタートボタン」がなかったばっかりに不評を買って、アップデートで追加を余儀なくされたOSがあるぐらいですから(笑)
「何処の何」とは言いませんけど(笑)
だけど、どんなに素晴らしい機構や機軸を持ってきたところで、殊更に「良い点」ばかりを拡げてしまうと胡散臭くなるばかり。
だからこそ、あえて欠点を公開するって事が重要であり、逆に信頼性が増すのではないでしょうか?
そして、それが出来るのは、この素晴らしい装備を世に送り出したメーカー自身で有り、いわば「作り上げた者の使命」です。
もうちょっと言えば、メーカーが公開した部分でも足りないところをフォローするのが、所謂「モータージャーナリズム」の仕事であるとも言えます。
何も、決して「恥ずかしいこと」ではないのですし、それらみてをどう判断するのかは、ユーザーにゆだねれば良いのです。
そりゃ、すべてのドライバーが、いかなる状況においても冷静・確実に危険回避が出来るようになれればそれに越したことはないわけですし、本来なら、実技教習の過程に置いてしっかり教え込み、確実に身につけさせてから免許を与えた方が良いわけで有り、今のような「金さえ出しゃ馬鹿でも取れる」様な教習のあり方じゃ意味がなさすぎる。
しかし、実際はそうではないわけですし、所謂「プロ」と言われるF1ドライバーでさえ事故で死んでしまう事があるのに、自分を含め、その辺のド素人ドライバーに「危険回避」なんて唱えても、咄嗟に出来るようなもんじゃない。
そいつを少しでも補おうとするのが、「運転支援システム」が担う役割なのですから。
実際に、こうして事故が起きたり、不具合事例の報告例があるわけですから、せっかくの装備を無駄にしないためにも、メーカーにはもっと努力と知恵を絞っていただきたいものです。
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【元】車屋のへっぽこ整備士、かく語りき | クルマ
Posted at
2013/11/13 18:46:03
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