ここ2日ばかり、
MT車について書かれているブログを上げてるみんカラユーザーさんがぽつぽつとおられまして、斜め読みながらもすべて目を通してみました。
その感想とか言いたいことは後回しにするとして、ネットでこういう団体を見つけました。
その名も
「モータースポーツバリアフリー協会」。
私も数年前に名前だけは知っていたのですが、何分
モタスポ自体があまりマスコミに取り上げられない状態であり、中でもこうした活動をされている方々まで目が向けられる事が少なく、知らない方の方が多いかと。
「身障者でもモータースポーツを楽しみたい!」という方が集まって結成された団体だそうで、文字通り
「モータースポーツのバリアフリー化と社会的認識の向上を推進し、誰もがモータースポーツを楽しめる環境作りを目指す」という方針の下活動されていて、
JAFの加盟クラブでもあります。
そこでは、メンバーさんが乗るレース車両も2台持っていて、両方とも
足が不自由な方向けの運転補助装置付きなのですが、
そのうちの1台がなんとマニュアル車なのですよ!
健常者とは違い、
何らかの障害によって足や手が不自由な方の場合、すべての操作を自由が利くもので操作する必要があります。
最もポピュラーであり、モータースポーツバリアフリー協会さんでも製作されている
「下肢障がい者向け仕様車」の場合、
両手または片手で運転するために、一連の操作を賄うための補助装置が取り付けられるわけですが、とりわけ
微妙な操作が必要となる事があるクラッチ操作が手動(手で動かすって意味ね)
で実現しにくく、ギアシフト操作の際にステアリングが手放しになる可能性もあることから、
これまではAT車がベースになっていました。
ところが、この協会では
この弱点を克服し、なんと
オール手動で操作できるMT車用補助装置を自力で開発し、
モータースポーツに実戦配備しているのです。
私もトヨペット店勤務時代にAT車の補助装置付き車両を運転したことがありますが、特に、
これまで足でやってきたブレーキやアクセルの微妙な操作を、
レバーの操作加減で再現するのって、
思っているより凄く難しいんですよ。
ちなみに、下取りや売却時の復元と、健常者でも運転できるようにコンバーチブルな作りになっているんで、簡単な操作でごく普通の操作体系に変えられるんですけどね(^^ゞ
これって、
自動車メーカーでもやってない画期的なことであり、この努力と技術力には脱帽と敬服するほかありませんが、逆に言えば、
MT車に乗れるのも五体満足な体があってこそだと改めて思い知らされます。
さて、本題に戻しますか(^^
今や
普及率がほぼ100%近くにまでなったAT車。
最近では乗用車だけではなく、バン・トラック等の商用車にまで拡がり、ミッション本体も従来型のプラネタリギアを使った有段式油圧制御タイプもさることながら、
CVTや、
従来型MTをベースに変速とクラッチ操作を自動化させた「AMT」と呼ばれるタイプまで様々となり、特に
トラックではAMTがここ10年程で一気に普及が進みました。
大型車用AMTには一部例外があるとはいえ、ここまで多様化すると
AT車とひとくくりにするのではなく、むしろ「2ペダル仕様車」と呼ぶべきだと思いますし、以降こう記述します。
その結果として、「AT限定免許」という制度が創設され、
従来の教習より時間が短縮でき費用も安いことから、ここ最近では
AT限定で免許取得する若者が増えていると聞いてます。
一方、所謂「MT車」の設定は年を追う毎に減少し、今やごく一部の車に採用されるのみです。
…尤も、
求人メディア(特にハロワの求人票)には
「AT限定不可」と但し書きされてる事が多く、特に
中小企業ではこの傾向が強くなるため、就職や転職を視野に入れれば、
いきなり取る車の免許が「AT限定」なのは正直お勧めできないのですが、「身分証明書代わり」に免許取得を目指す例もあるらしい事を踏まえれば、致し方ない面もありますかね。
「AT限定免許制度」がない頃に運転免許を取得した私はというと、
AT150カリーナとST195Gカルディナ、R31スカイラインはMT車でしたが、
ST150コロナを買って以降10年余りは、ほぼ2ペダル仕様車を所有してます。
まぁ、それまでの仕事柄MT車に乗る機会が全くないわけではなく、実際運転も出来るんですが、
一緒に住む両親が2ペダルになれきってしまい、私がMT車を所有していた頃
両親が動かせなくて、昼夜を問わず呼び出されるのが煩わしくなったというのが元々の理由です。
しかし、みんカラに加入した年に
腰椎ヘルニアを患ってからはMT車を運転すること自体が難しい状態となり、現在に至ります。
昨年まで勤めてた会社では、
会社の性格上MT車ユーザーが多く、業務上致し方なく乗ることがありましたが、その後は決まって
背骨を中心に腰の左側に痛みが走る状態で、最終的にはノーマルクラッチでもかなり辛い状態にまで追い込まれました。
こう書いてしまうと
「同情を誘って…」などと陰口をたたかれる事は承知ですし、そういう風潮になってしまったと言うことに悲しみすら感じますが、
私が現在MT車に乗れない事由をありのままに書くとこうなってしまうのです。
しかしながら、先述のみんカラユーザーさんを始めとして、ネット界隈で書き込みされるMT派の方の言い分を読んでいると、
出来るだけ客観的に読もうと努力はしてみるんですが、なんかこう
頑なすぎるというか、
妙に意固地になってるというか…。
要するに、
「同じ考え方を持つ者同士で団結し合って、他方の考えは相容れない」雰囲気を醸し出してるようにしか捉えられない内容ばかりに思えてくる。
即ち、
2ペダル乗ってる奴ぁ、人間じゃねぇ!
といわんばかりの表現になってると思うのです。
無論、書いてる方はそんなつもりはないんでしょうが…。
確かに、MTにしろ2ペダルにしろ、
それぞれに一長一短は存在します。
修理の面で見れば、
そのほとんどがクラッチのオーバーホールで済ませられ、ミッション本体が故障しても部品他院で交換が可能なMTに対し、
基本的にミッション本体Assy交換以外の道がなく、費用がかさみがちになる2ペダル。
単純に歯車のかみ合わせだけなので、クラッチ側で対応できればエンジンの出力やトルクに関しては、理屈上青天井で対応可能なMTに対し、
ミッションそのものの対応能力が問われ、場合によってはフルードクーラーやミッション本体の強化が必要という手間がかかる2ペダル用ミッション。
燃費の面でも
基本的にはMTが有利ではありますが、
使い方によってはATより劣る場合もありますし、
クリープ現象もトルクコンバータを使ってる以上は消せないものであり、トラック用AMTでは、
逆にわざとクリープを起こさせるような制御を加えているものまであります。
しかし、MT派の方が
決定打としているのが、
2ペダルでは変速操作に自分の意思が反映できない事や、
昨今急増している「ペダルの踏み間違えによる暴走事故」の件。
後者については、当事者に自覚がないとはいえ
明らかな「人為的ミス」ですし、
2ペダル仕様に乗る者にとって誰しもが事故当事者になる可能性を秘めているわけですから、これに関しては反論は不能です。
ただし、前者に関しては
反論の余地は十分にあります。
ここ10年来、車種は限られるとは言え
手動変速モードを備えたミッションが珍しく無くなりましたし、たとえ
従来型のオートマチックミッションだとしても、
O/DスイッチのON/OFFや、3または2レンジへ積極的に「手動操作」することで効果的なエンジンブレーキが得られますし、私もよくやってます。
それに、2ペダル車の変速条件は
「エンジン回転数」と
「車速」です。
基本的には、あらかじめ決められたマッピング通りに変速するわけですが、
アクセルワークの加減によってそれすら制御する事も不可能ではないのです。
確かに、MTと比べれば人間の意思を運転に反映させられる点は少ないのは事実ですが、その
僅かな意思反映手段を有効に使うことが出来れば、2ペダルでも走りを楽しめるのではないかというのが私の考え方です。
尤も、こうして偉そうな意見を言える程運転が上手いのかと問われれば、
全く自信はありませんが(^^;
私としては、
「運転する本人が楽しければ、別にミッション形式や駆動方式なんてどうでもいい」というのが基本的な考え方ですので、とやかく言うのは嫌ですし、同じ車好き同士でいがみ合うのも嫌なのです。
「お互いのメリット・デメリットを双方理解しあう」ってのが一番良いと思うのですが、
最近のMT派の方の言い分を見ていると、どうにも
違和感というか憤りを覚えてしまって、今回こうして拙い文をしたためてみたわけです。
私を含め、冒頭に紹介したように
「MTに乗りたくても乗れない」事情を抱えてる方でも、スポーツ走行を楽しんでいる方も少なからず居ると言うことを、
MT派の方はどうか忘れないでいただきたい。その上で、
どうぞ持論をどんどん展開してください。
これが、
「人にあらず」とまで呼ばれた2ペダル派の一人である、私の意見です。
最後までお読みいただいたMT派の皆さん、
どうお考えになりますか?
Posted at 2013/03/07 18:15:36 | |
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