2011年03月21日
この記事を作る直前に、youtubeでこの動画を鳥肌全開で見ておりました。
まだ、少々震えが止まらず、手に汗握っているのですが…。
ちなみに、海上保安庁の巡視船が、福島県相馬市沖合5kmにて地震発生当日の15:50頃に撮影したものだそうです。
さて、あの地震から10日経過しようやく救援物資の輸送が本格化してきたところですが、被災地での喫緊の課題が「燃料の不足」であります。
これは、日中の気温がようやくプラスに転じるようになったとはいえ、夜間は未だ氷点下になることが多い北海道在住の身としては決して「他人事」で済ませられない話ですね。
暖房用はともかくとして、一番深刻なのは物資輸送などで車を使いたくても燃料がない!ということにつきます。
聞いた話ですが、ある地方ではレギュラー単価が200円になっているとか!
こういうアホ業者は、ほっといても自滅するのが世の常。ここは生暖かい目で見ておきましょう(-_-;)
まぁ、こういう状況下であっても補助金ごときに踊らされた超情弱なエゴイストなエコカー乗りが鬼の首を取ったかのように大騒ぎしていないのは実に喜ばしい話ですし、外国メディアが言うところの「辛抱強く、規律を守る日本人」という評価に繋がっているのかもしれません。
尤も、表面化していないだけでしょうし、もしいたとしても血祭りにされるのは必定ではありますが、そうならないように今のうちから釘を差しておきたいところですが。
ところで、石油製品を身近なところまで運搬するのは、タンクローリーが主役になります。
確かに貨車やタンカーで拠点間の輸送は可能ではありますが、流石に小売拠点までそのまま持っていくわけにもいきませんから、当然陸送が必要となります。
ただ、今回の地震ではかなりの数のローリーとドライバーが被害に遭い、現地ではこれらの確保が難しいという報道がなされています。
「んじゃ、バイトでも雇えば…」という、今の私の立場から見れば気になる話になるかと思いきや、調べてみると「選ばれし者の為の乗り物」ということが見えてきました。まずはそこからお話しします。
タンクローリーというと、一般的には石油製品運搬用というイメージになると思いますが、実は液体やガス輸送の為のタンクを架装した車両全般と言うのが定義となります。
つまり、ここ北海道でも割合見かける牧場から牛乳を運搬する「ミルクローリー」やLPガスや液体酸素を運搬するもの等もタンクローリーになります。
このため面倒なので、ここでは石油製品運搬用のもので進めていきます。
乗務経験がある程度必要というのは言うまでもないところですが、運転に必要なのが免許ですね(^^ゞ
車両の架装状態や車両総重量等にもよってきますが、普通免許以上を取得してればとりあえずはOKと思います。
ただし、タンクには消防法の規定で厚めの鋼板などを使用しますし、荷降ろしの際に使うポンプなども装備されますから、必然的に車体が重くなる傾向にあります。
このため、灯油配送などでよく使われる「2tもしくは3tベース」、例えばエルフとかダイナ、トヨエースベースの車両ですと、現行の免許制度に照らすと「中型免許」(限定中型免許含む)以上が必要かと思います。
しかし、これだけじゃ済まないんですよ!
なにせ、積んでいるのは石油です。下手すればこんなことにも成りかねないわけで…。
正直、少々極端な例ではありますが(^^ゞ
ちなみに劇中では、「10KLのガソリンを満載してる」と言うことになっています。
(youtubeで全編アップされてますので、気になる方はタイトルで検索を…)
故に、運転免許の他に「危険物取扱者」資格が基本的に必要となります。
尤も、ローリーのタンク容量などにもよるみたいですし、有資格者が同乗すればドライバー側に資格の有無は問わないと規定されていますが、運搬するということは当然積み下ろしもあるわけですから、ドライバーが有資格者であるほうが合理的と言えます。
では、実際の運転やメンテの部分ではどうか?といいますと…。
以前、ディーラーメカやっていたとき、2tベースローリーの車検整備をよくやってましたが整備に関しては、ごく普通のトラックとさほど変わりません。
しいて言えば、荷降ろし用のポンプと、緊急時に石油の荷降ろしや流出を止めるためのバルブ機構のグリスアップが必要なくらいで、バッテリーの点検なんかはトラックより容易だったりします。
ただし、キャビン背後にタンクがあるため後ろが全く見えません!
また、タンクをカラにしないとリフトアップできない(リフトアップ能力が足りなくなるため)ので、乗るときは空荷の状態ではありますが、タンク内に内容物の波打防止の機構があるはいえ、ある程度入っている状態でブレーキ踏むと、おそらく「揺り戻し」はあるんじゃないかと思います。
これはトラック全般に言えますが、つまり急には止まれません!ということです。
ですから、ローリーの目の前での急な割り込みや急ブレーキ、まして追いかけるというようなことは危険過ぎるので、止めるのが文字通り身のためということですね。
ついでに、ガソリンのお話を少し。
夏場、給油中の様子を見ていると、給油口から陽炎が立ち上っているのを見たことがあると思います。
それに、セルフスタンドで給油する際、タンクキャップをかけると「シュッ!」と音がしますね。
ガソリンって、揮発性が非常に高く、静電気でも結構簡単に火がつきます。
その昔作業中にガソリンを頭からかぶったことがありますが、着替えた後も恐ろしくてタバコに火をつけられませんでした(笑)。
よくスパークプラグやイグニションコイルを「点火系」といいますが、ガソリンエンジンの場合ある程度温度が低くても火花さえ飛んでしまえば燃焼できます。
つまり、それだけガソリンって火が付きやすいということなんですね。
加えて、ガソリンの恐ろしいところは、液状になっている時もさることながら、気化した状態でも簡単に火がついてしまうというところ。
ですから、ガソリンを保管する場合はポリタンクではなく金属製の「携行缶」を使用することが法律で定められています。
また、最近ではスタンドで車検整備などを行うことが多くなりましたが、リフトや検査機器もスタンド専用の「防爆仕様」というのがあって、それを使わないとアウトだったりします。
それに、ローリーから荷降ろしする場合にもポンプ等を使わず重力によって行いますし、車の燃料ポンプも火花が飛ばないように対策がされています。
よくスタンドに「給油中エンジン停止」の看板があると思いますが、あれは安全対策の一環であり、セルフでも静電気を逃してから出ないと給油できないのはこのためなんです。
たまにセルフで、エンジンかけっぱなしで給油していたり、くわえタバコで給油(!)ってのも見たことがあって、真夏でも背筋が凍る思いをしたことがありますが、はっきり言って自殺行為です。
下手すると殺人未遂で警察に突き出されかねませんから、やめましょうね。
命あっての車生活なんですから。
Posted at 2011/03/21 01:07:25 | |
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【元】車屋のへっぽこ整備士、かく語りき | クルマ