いやはや…(^^;
昨日は、名目上「休日」ではあるんですが、半ば在宅勤務状態になっておりました。
…というのも、現在勤務先でヤフオクに出品してまして、その対応のために、ほぼ終日PCとにらめっこしておりました。
その出品物の出元となったのが…、
「まな板の上の鯉」ならぬ、リジットラックの上のこのMR2。
実は、ウチの会社のデモカーだった車両です。
私が聞いた話を総合すると、元々はお客様が所有していた車だったのですが、不慮の事故で前後を潰してしまい廃車になるところだったのを会社で引き取って、抹消登録してデモカーに仕上げたのが数年前だったとのこと。
「サーキットで勝てる仕様にする!」というコンセプトのもとに製作したため、一度車体をバラバラにし、潰れてしまった前部は修理して、後ろは何とカットした上でパイプフレームを組み、そこにインタークーラをマウントするという技を駆使しています。
勿論競技車両でよく行われる「アンダーコート剥がし」はもちろんのこと、運転に最低限必要なもの以外は全て取り払い、前後隔壁を貫通するロールゲージを組んでいるため、車内はいわば「ジャングルジム状態」になっています。
無論、エンジンから足回りに至るまで、デモカー専用の特注品を含めすべてに手が入っており、会社で展開するオリジナルパーツも全て装着済み、でした。
実際、
道内のサーキットで行われたレースにも参戦して実績も挙げた車だったのですが、やはり昨今のスポーツカー離れが影を落としてしまったためなのか、最近ではあまり表に出る機会も少なくなり、一度完成形のままでヤフオクに出したらしいのですが買い手がつかず、今回
「パーツ単位で出そう」ということになったのです。
youtubeにもウチの会社のアカウントで走行時の動画を数本アップしてますが、私が入社したときにはカーカバーにくるまれた状態で会社の片隅においてあり、実際にエンジンをかけ走らせる場面を見たのは、
分解のため工場に入れる時という、なんとも皮肉な状態の時だけでした。
こうして先週初めから店長が主体となって分解作業を開始。エンジンも2日目にはこんな感じで降ろされ、翌日にはほぼ作業完了。
ところで私はと言うと、
取り外したパーツを洗浄してデジカメで撮影して梱包し、出品に向けての準備と実際のアップロードを担当。
気がつくと30点余りになった出品パーツを、都合3日かけて順次出品していきました。
そして昨晩、第1日目に出品した物が一斉に終了を迎え、次々と落札されています。
幸い、入札されていないものを数えたほうが早いぐらいの状況です。
週明けにも終了を控えているものがあり、加えてエンジンやミッションも同じく週明けに出品する予定ということもあって、しばらくは多忙な日々になりそうな気配です。
ただね…。この場を借りて本音を言いますと、
正直複雑な心境なんですよ。
威張れるほど経験豊富ってわけじゃない上に、
所謂「チューニング」というものに関してはただの「頭でっかち」でしか無く、これから勉強と修行を積み重ねなければならない身でもあり、ましてデモカーの制作にはこれまで一切関わったことがない私が言うのも何ですけど、デモカーって「製作したショップやメーカーが持つ『モノづくり』に対する考え方」を反映しているものだと思うんです。
即ち、
製作元を知ってもらうための大々的な「プレゼンテーションツール」ではないかと考えます。
所謂ショップさんやパーツメーカーさんって、その規模の大小を問わずデモカーを作ることが多いですよね?
みんカラでもそういう話をよく目にしますし、製作記を見ていると勉強になる事がホント多いですし、なんだかワクワクしてくる気持ちを抑えられなくなっている自分がいます。
会社のMR2もそうですけど、その会社の持てる力と考え方の究極形がデモカーであり、ありとあらゆる方法を駆使し、具現化していきます。
それはMR2と同じくサーキットなどで究極に速い車にするとか、いい音で楽しんでもらうためにオーディオを組むとか、見た目重視でとことんまで仕上げるとか、方法は様々でしょう。
そのためには、特注品やワンオフを駆使し、
切った貼ったや塗った塗られたなんてのは当たり前にやります。
ですが、それって目指すところは
「自分たちを知ってもらって、その技術や考え方を見てもらおう、知ってもらおう」ってことだと思うんです。
それに、デモカーの製作過程で得た事柄を、
実際にお客さんの車へフィードバックすることも出来ますし、パーツメーカーさんなら、それこそ
マーケティングの格好の材料にもなります。
しかし、ただ作っただけではお客さんなんて来るわけはなく、
「自分たちはこういうことができます」ということを知ってもらわなければ何も始まりません。
自分たちの考える究極の形を作り、それを見てもらって自分たちを知ってもらい、製作の過程で得たことを惜しげもなく提供し、同時に自分たちのレベルアップも図れる。そのきっかけとしての、デモカー。
先に「大々的なプレゼンテーションツール」と書いたのは、このことからです。
…ですがね。製作の過程には、いろんなドラマがあるんですよ。
デモカーのMR2を例にとると、
社長と店長がそれこそ数日徹夜してまで端正込めて作ったのが、このクルマだったという話を聞いています。
デモカーの分解やってる時も、常連さんがチョクチョク来店されてバラしてるのを見ると、
「え~っ!デモカーバラしちゃうの!?もったいね~」
なんて話してるのを、何度か私もそばで聞いてました。
そんな私といえば、以前あった北海道ローカルの車雑誌である
「auto one」誌上で、うちの
会社の名前だけは知っている状態でしか無く、今、こうして縁があって会社の一員として迎えていただけたのは、ある意味奇跡だと今でも思っています。
つまり、今年創立20周年を迎えた会社の歴史の中で自分が知っているのは、
おそらく「数千万分の1」でしか無いってこと。
無論、今回のデモカー製作時には、私は会社にはいなかったわけで…。
確かに面接の時、
「今はこういう時代になってしまったけど、必ず『スポーツカーって面白い』『車で走ることが楽しみ』って思える時代が戻ってくるし、俺らが本気になれるクルマが必ず出てくるだろう。そうなったら、またデモカー作ってサーキットに戻るつもりでいるから、力を貸してくれ!」とは言われておりますが…、
「会社の財産とは言え、こうした背景を全く知らない私がオークションの推移をネタにはしゃぎまわるのは、いかがなものか?」
と、出品以来考えていて、最近では会社への報告も最小限にしています。
だって、折角作ったクルマを、止むに止まれぬ理由で分解しているんですから、実際に作った社長と店長の心境を思うと、ねぇ…。
なんだか、考え過ぎなのかなぁ。
余談ですが、元オートワン編集部員で、現在、道内に於いて唯一の車遊び情報源となった「オートナビ北海道」を主宰する「よっしー」氏と私は、実は高校時代の3年間、同じ学校で同じクラスだったりします(^^ゞ
…結構びっくりしますよ。知ってる人間が雑誌に出ていて、しかもそこの編集やってるなんて知ると(笑)。
当時の読者の方はご存知かと思いますが、彼が乗っていて紙面にも登場していたトゥディは今も健在で、時々それに乗って会社に来ていますし、ウチの会社に引きあわせてくれたのは彼のおかげでもあるのです。
先述のように、来月頭にかけて多忙な日々が続くと思いますが、社員の一人として、オークション担当者として、最後の最後まで見守っていこうと思っています。
さて、今日はエクセルで収支報告書のフォーマット作っておくか…。