
さて、今回は
「グランツ」をややマニアック風味に語ってみようかと。
グランツと言っても、最近、
総額30万円台の良質な物件がポツポツ出てきて、
ちょっと食指が動きかけているセドグロのでも無ければ、
BFファミリアや初代MPVにあった特別仕様車の話では無いですよ(笑)
先日最新版が発売になったばかりのプレステ用ソフト
「グランツーリスモ」シリーズのことであります。
しかしまぁ、早いもので「無印」発売から
今年で15年ですか…。
あの日も、寒くて雪が多かった12月のことでしたなぁ。
今から15年前の私はというと、トヨペット店退職目前を控え、当時の勤務先の近くに部屋を借りて一人暮らしを始めて2年目を迎えた頃。
当時の先輩から、その頃はまだ車検可否がグレーだったEP82用のTEIN製車高調を組んで車高を落としたカローラII(EL45)に乗り、家に帰れば、プレステとセガサターンに加え、発売されたばかりのWin98へのアップグレード権付きで購入したPC98-NXで、夜な夜なダイヤルアップモデム使ってネットに接続する傍らでアマチュア無線に興じるという、ある意味
健全な(?)「アラサー男子」でした(^^;
当時よく読んでたのは、ファミ通と
電撃G'sマガジン(まだメディアワークス名義だった頃ね)でしたので、
大体どんなジャンルやってたのかは容易にご想像いただけるかと(笑)
その昔、家庭用ゲーム機が任天堂の天下だった頃のカーゲームといえば、
LOとHIの2段変速しかなく、オーバルコースを必死に走るF1ものが関の山でしたが、やがてプレステが登場し、ナムコが「リッジレーサー」を移植した辺りには
変速数も6段にまで発展しただけでなくATまで登場していました。
ただ、登場当初のATは、
ただひたすらシフトアップしていくだけという単純なものでしたが、グランツの少し前に発売になった
「レイジレーサー」でついに
「キックダウン制御」するまでになり、ようやく実物に近い変速が可能となったわけですが、ここまで登場するのはいずれも
「架空の世界でのクルマ達」であって、走りこそ本物同様となった割には、リアリティという部分には到底及ばないもの。
そんな頃、ファミ通の発売予定の告知記事で知ったのが
「グランツ」でした。
ヴァーチャルな世界だとは言え、無印だけでも
100車種ほどの実物の車が実名で登場するだけでも「売り」ですが、それだけでなく、それらを
チューニングやモディファイできる。
1995年7月の「黒船来航」から数年を経て、メーカーやディーラーも「カスタマイズ」に寛容になりつつある一方で、それまで「完全御法度」であったカスタマイズに対し、どう対処すれば良いか手探り状態であったのも確か。
無論、商標とかイメージ戦略の問題もあるわけですが、そういった面倒なこと抜きにして、国内外の多くのメーカーが一本のゲームソフトのために集結し、「お好きなようにどうぞ」と言っていただけたこと自体が、今にして思えば
大事件だったのです。
そして待ちに待った発売日。
すでに予約済みだった私は、残業帰りに車を走らせ、部屋の近くにあったゲームショップで引き取って一目散に部屋に帰り、目にしたのがこのムービーでした。
今見ると、正直
「15年の歳月」を感じるフルCGのムービーですよ。
ポリゴン(多角形)の処理もカクカクだし、
背景に車が浮き上がって見えてしまう違和感とかは否めない所ですが、
セガサターンと比べてお世辞にもグラフィック性能が高いとは言えないプレステとしては、
かなり頑張ったレベルだと思います。
毎回プレイする度見入ってしまうムービーですし、こうして今見返してみても全然飽きさせない内容ですね。
実際のプレイもわかりやすいインターフェイスで、ゲーム上ですぐに買った
MA70スープラでサンデーレースに出場して優勝して、
賞品の
初代デミオのマツスピバージョンを売っては資金にするって言う「錬金術」をやってました。
試しに、このデミオ使って、
ポート研磨とフルバランス取り、NAチューンの「ステージ2」ぐらいに加え、サスペンションキットまでチューンを施してみたんですが、これがまた
恐ろしく遅いというかまるっきり「意味が無い」ことが判明し、愕然としたことがいい思い出です(^^;
その後、第二弾として発売になった
グランツーリスモ2を購入し、
あの
「初期不良頻発」だった初期ロット物の本体をひっさげてプレステ2が登場。
…えぇ。私が持ってたのも初期ロット品ですよ(泣)
そんで、プレステ2用として登場したのが
グランツーリスモ3。
これに加え、専用オプションとして同時販売になったのが、
PC周辺機器メーカー「ロジクール」製のコントローラー
「GT Force」。
ソフトと2つ合わせて
1.5万円ほどの出費となるんですが、当然買いました(^^ゞ
このコントローラー、「フォースフィードバック」機能という、実車同様に路面からの反動をステアリングに伝えられるという代物で、起動時には動作確認として
独りでにグルングルンと動くというキモさ(笑)
このコントローラが登場してから、より実車感覚に近づけるべく
「自作コックピット」を作る本格派な方が続出し、ゲーム雑誌だけで無く、当時の
オプションやCB誌の読者コーナーでも度々紹介されてました。
結局、公式グッズとして、
スパルコとコラボした「コクピットキット」まで販売されてました。
確か、
モノホンのスパルコ製フルバケシートを豪勢にセットされたもので、お値段も10万ぐらいだったかと(^^;
しかし、ステアリングにアクセルとブレーキペダルという実車と同じコントロール環境だからやりやすくなるのかといわれれば、これが
実に違いすぎる…。
まぁ、とにかく
加・減速時にかかるGとか左右へのロールを感じないだけでこんなに「運転」しにくくなるもんなんだろうかと。
…要は「ド下手」なだけなんですが(笑)
結局、当時の経済的な事情でプレステ2本体ごと売り払ってしまい、以来、ゲームからすっぱり足を洗い(笑)、現在に至ります。
こうして、前半のみとはいえシリーズ全般を通して、このソフトの魅力というか人気の秘訣を考えるならば、
「車好きが作ったから」という部分に尽きるんじゃないかと考えます。
無印からプロデュースを続ける山内一典氏自身が
根っからの車好きで、発売元の
ソニー入社時から暖め続けてきた企画こそ、この「グランツ」で有りました。
所謂「カーゲーム」って、
「速く走った人がエライ!」っていうレースゲーしかない状況だったのが、車好きなら誰もが考える
「いろんな車を所有して、自分好みに仕上げる」楽しみと、それを通じて広がっていく
「クルマ遊び」の世界を体験してみたいという思いを、仮想現実の世界で叶えたのが成功の秘訣だと思うんですね。
15年前と言えば、今では一般的になった
「サーキット走行会」とか
「草レース」の人気に火がつき始めた時期でもありますし、システム的にもレース一本で突き進むだけでなく、いろんな車を所有して弄って楽しむも良しって言う
懐の深さもある。
それに、例え
自動車免許が取れない年齢のユーザーでも楽しめるし、それが
将来車を所有できるようになる時期に達したときへの橋渡し役としての役割も担えるそうした「クルマ対人」のインターフェースとしても最適なソフトでもあるのではないかと。
これって、
車に興味のある人間じゃないと思いつかないアイディアなんじゃないかって気がするんですね。
実際に無印プレイして、
実物のプリメーラ買ってみたり、その流れで、

プリゴン買っちゃった私みたいなのも居るでしょうし(笑)
あれから15年。
「クルマ離れ」と言われている昨今において、ゲーム業界もまた、ソーシャルゲームの人気や携帯型ゲーム機への移行を元とする
「据え置き型ゲーム機離れ」が起きているとの話も聞こえています。
確かに、スマホや小さなゲーム機本体を必死の形相で睨み付け、一心不乱に操作している姿を至るところで見かけることが珍しく無くなり、公園で子供が集って遊具で遊ぶのかと思えば、東屋に固まってゲームやってるって言う光景も見るようになりました。
それが果していいことなのか悪いことなのかについての論議はさておき、こうした状況下で
「クルマへのインターフェイス」としてのグランツはどのような役割を果たしていくのか、興味がありますね。