国交省、JR北に初の監督命令 数値改ざん、告発も検討
2014年1月21日11時50分
JR北海道のレール点検数値改ざん問題で、国土交通省は21日、JR会社法に基づく監督命令と鉄道事業法による事業改善命令を同社に通知した。安全部門トップの解任や今後5年間の監査の継続なども公表した。野島誠社長ら経営陣の続投は当面認めた。
太田昭宏国交相が閣議後の会見で「鉄道事業者としての資質を一から問われており、自助努力による改善が難しい」と指弾。刑事告発に向け、北海道警に相談を始めたことも明らかにした。昨年9月の函館線脱線事故現場の検査データ改ざんでは、現場社員の関与に加え、上部組織の函館保線所の所長、助役の指示、本社での改ざんも確認した。
鉄道事業法では、輸送の安全確保の責任者である「安全統括管理者」が職務を怠った場合に国が解任を命じられると定めており、問題を見過ごした豊田誠・常務取締役鉄道事業本部長を同管理者から解任する。
http://www.asahi.com/articles/ASG1P0GD0G1NUTIL05X.html
…ということで、
あのJR北海道にとんでもなく重い処分が下ることになりまして、これに伴ってかなりの人数が社内処分されるそうな。
「JR」という組織の成り立ちから考えれば必要なんでしょうけど、
「JR会社法」なんていう法律があったんですね~。
昨年の貨物列車脱線事故から様々な問題がが明るみに出てきたというのが一般的な見方でしょうが、
石勝線で特急列車を丸焼きにした辺りでこうした処分が下されていたら、今とはもっと違う結果になってたかもしれないですな。
まぁ、同じ思いは、数年前に起きた尼崎市での列車事故の時にも思いましたし、いわば
結果論であり、
「たられば」話にしかならんのですがね…。
こんな事がある一方で、現在建設が進んでいるのが
「北海道新幹線」。
その北海道側の入り口となる
函館側の停車駅名をどうするっていう論争が起きてる事に、
ものすごい温度差というか「他山の石」っぷりが見えますね。
そりゃ新幹線も必要なんでしょうけど、
鉄道って走らせるだけじゃ済ませられない訳で、当然、
車輌や線路の「保守管理業務」ってのが付きものの筈。
外国から
「日本の鉄道は時間が正確だ」と評価されてるそうですけど、それらを支えるのも鉄道会社としては当たり前な話であって、今回の一件が片付くまで、
新幹線の建設を一時凍結するぐらいはやっても然るべきだと思うんですけどね~。
…何かって言えば「目先の利益」しか追っかけられない道民気質じゃ無理か(笑)
ただ、同時に思ったのは、同じ運輸業界というか「輸送手段」を扱うという点から見たとき、自動車整備業界と比べると、処分の仕方に随分と
温度差を感じるんですが、その前に、
自動車整備事業者の種類をここでおさらいしてみましょうか。
車の整備といってもいろいろあるわけですが、その中で自動車の基本的な性能や機能部分、つまり
「走る・曲がる・止まる」に関わる部分は
「重要保安部品」という位置づけになっていて、それらの
修理や交換などの作業に関しては
「分解整備」という作業に当り、基本的に
有資格者でなければ「触っちゃダメ」なところになります。
具体的な部分を説明するのは面倒なので(笑)、
詳しくはこちらを見ていただくとして、これらの作業を
事業として
請け負う場合は、各地方にある運輸局から
分解整備事業者として「認証」してもらう必要があり、これが整備工場としてのファーストステップとなります。
整備振興会との「ただれた関係」の始まりとも言いますが(^^;
即ち、
認証を受けてない事業者が、
整備作業を「事業」(工賃と部品代が発生し、それを収受する)として行った場合、当然
厳しく罰せられます。
そして、認証工場の内、
自社工場で自動車の検査が出来る体制なり機器なりを備えた上で、運輸局から「指定」されるのが
指定工場、所謂
「民間車検場」です。
たぶん、整備工場に行くとこの看板を見たことがあると思うんですが、
これは、いわば
「国からもらった整備事業者としての証」という訳なのです。
一見全部同じように見える整備工場ですが、法律的にはこの2種類があって、ざっくり言ってしまうと
「自社で検査が出来るかどうか」が区別するポイントとなります。
勿論、
認証・指定工場に対する「処分」というのも存在します。
国交省のサイトにある統計を見てみると、年々数は減ってきているようですが、それでも、毎年、全国で何らかの処分が下っていますし、私が現場に居た頃もしょっちゅうその手の話は聞いてました。
その中でも、一番重いのは
「取り消し」関係。
認証工場だと、本来であれば運輸支局の検査場に持ち込まなければならないところを指定工場に検査を依頼すると、それだけで
一発取り消しです。
また、指定工場も取り消しがあって、例えば、
違法改造車や違法改造状態にもかかわらず「保安基準適合章」を発行したり、所謂
「ペーパー車検」をやった場合は
取り消しになることがありますね。
ここまで来ちゃうと大ゴトでして、
指定工場で検査を行う「自動車検査員」はすべからく解任されてしまいますから、民間車検場としてのメリットどころか、整備工場としての存在すら無くなってしまうという、時代劇に例えると
「お家断絶」的な処分となるんですね。
これ以外にも様々なパターンがありますんで、詳しくはググってみてください(^^ゞ
無論、例え
ディーラーだろうが専業工場だろうが関係なく処分されますし、恐らく、規模が小さくて体力の無いところになると、それだけで吹っ飛んじゃうこともありますな。
ただ、何度も同じようなことやってる割には、全然懲りてないってところもありますけど。
ABとかSABとか自働後退とか(禿笑)
確かに影響を考慮すれば、
公共交通機関でもあるJRだと
「営業停止」とか
「会社取りつぶし」って訳にもいかないってのは理解出来ますが、今回のJR北海道に対する処分内容を見ると、
「整備業界と違って随分と甘め」って気がしますね。
運輸関係の一番トップのクビを切る割には経営陣を刷新する訳でもないし、会社としても存在できるってのは、なんだかねぇ…。
これまで
「業務改善命令」を受けても改善しなかったものが、今回の処分でどうなるかは結果は見えてるような気がしてならないのですが。
尤も、JR系と旧国労系を合わせて4つの労組が混在し、しかもお互いいがみ合っている状況で、
大問題が発生する度にお偉方が「自殺」という名の内ゲバで海に浮かぶ会社ですから、何も変わらないような気がしますが(笑)
ん?私、何か言いすぎまして?(^^;
Posted at 2014/01/21 18:09:10 | |
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