
今、
俺は、
猛烈に、
ブルっている。(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
何故俺は、9月2日に空を飛ぶことになってしまったんだ? 空を飛ぶのは東方キャラの特権のはずでは???
手元には・・・・・・人生28年と⑨ヶ月。いまだかつて手にしたことがなかった種類の切符が。
・・・・・・・そう、ここに至るまでには、壮大な紆余曲折があったのだ・・・・・。
話は、長岡祭りの興奮覚めやらぬ頃にさかのぼる。
1章 不戦敗
あれは、いまから
一万よんせ15日ほど前の話だったか・・・・・。
あるwebで、重大な告知を発見したのだ。
そこには、絶望しかなかった。
なんで、もっと早く気付かなかったのか。
・・・・・エントリーボタンに張られた「満車御礼」の文字。それが、全てだった。
きっと、痛G―――「痛車グラフィックス」を事前に買いこんで熟読していれば、こんなことにはならなかっただろう。そして、細かく痛Gサイトをチェックしていれば、そもそも最新刊を発売したことも分かっただろうし、その後のより重要な告知を逃すこともなかった。
・・・・・・・そもそも、「細かくチェック」自体が、土台無理な話なのだ。
恨んだ。
仕事を。
一度出勤すると翌々日夕方まで帰ってこれない・・・・・・・今の仕事を・・・・・・・・・・・恨んだ・・・・・・・・・orz
ってゆーか、それ以前に
東方紅楼夢と日程丸かぶりじゃねーか! (゚Д゚#)ゴルア!
思えばこれは、その後の序章に過ぎなかった。
さらに過酷な運命に晒されようとは、思わなかった。
体力には、自信があった。
しかし、それをもっても超えがたいほどの精神的苦痛を受けるとは粉微塵にも思わなかった。
そして、舞台はコミケへ―――――――――
2章 夢の中で出会った、ような・・・・・
「全戦全勝♪」
意気揚々と戦地を引き揚げる戦士が一人。
俺ですwwwww
今日は8月11日。夏コミ2日目。ご機嫌なのにはわけがあった。目標としていた東方サークルの完全制覇を達成したから、である。
それどころか、東3ホールのチルノ島を流す余裕さえあった。当初の目標にはなかった本との出会い、サークルさんとの交流を大いに楽しみ、その中で、まだ見ぬ完全体となった愛車の姿を想像してwktkしていた・・・・・・かどうかは定かではない。
予定外に購入した本の中に、ある小説があった。ここのサークルさんは「アドチルの三次創作」といえばご存知の諸兄もいらっしゃるのではないだろうか。
俺は、このサークルが書く小説をたいそう気に入っていた。ただ単に「チルノが主役だから」って理由だけなのかもしれない。しかしその分を差し引いても、社会人になって長らくラノベから遠ざかっていた俺を小説の世界に惹きつけるには十分だった。それだけ、俺にとって魅力的な世界が本の中に展開されている内容だったということだ。
そこで、新刊情報のチェックもそこそこに、とりあえずスペースに行ってみることにした。場所は東ツ53b。
そこで・・・・
・・・・・・・・・・・手にした本は。
なんだろう、これは・・・・・・?
表紙を飾るのは間違いなくチルノ、なのだが。
何か普段と様子が違う。
背中に顕現する氷の羽は普段のそれと違い、より大きく、そして荒々しい。まるでそれ自体が武器のように見える。
服装はいつもの青ワンピースに加え、腰にベルト。どうやら剣の鞘を支持するためのもののようだ。
その剣は左手に握られていた。楼観剣?白楼剣?とにかく日本刀に見える剣を握っている。バスタードチルノソードはどうした?
というか、タイトルがアドチルじゃない。
・・・・・・・・・・妖精永紅夜・・・・・・・・・・・・・・?
ぼそっ、と。 タイトルをつぶやいただろうか。本の内容が、紅魔郷とも永夜抄とも妖精大戦争とも取れる、そんなタイトル。
そしてタイトルに加え、何よりも。
「ここん家のチルノさん、チダラマッカらねっか・・・・・・・・」(←長岡弁)
表紙の時点ですでに流血の事態である。たいへんだ。みんなのチルノがチダラマッカだ!
・・・・・しかし、当のチルノはそれをものともせず、屹然と仁王立ちしていた。
そんなシリアス全開かつ、かっけぇチルノさんをみて、俺は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これください☆
典型的な、表紙買いであった。
てゆーかさー。無理なんすよ。あの物凄い人という名の肉塊の流れの中で内容確認なんてさ。それに漫画だったらパラパラめくってなんとなく中身はわかるけど、テキストじゃ・・・・・・・・ねぇ? ここん家の小説は加えて中に挿絵ねえし(←褒めてます)10秒で中身全部分かれって無理ゲーでしょ~~~~~。
てなわけで、買って読んでみる事にしたわけだ。もちろん、既刊だから委託がない、委託があったとしても会場買いに比べてすごく高い。そして、既刊だからそのうちなくなる恐れがある、といった打算も働いた。もっともその打算は、
ノヤマコトさん(乃屋)が描く因幡てゐには、遠く及ばないレベルだが。
そんなわけで新刊の「アルバイト輝夜・椀」まだ買ってませんJ-UNITさんゴメンナサイorz
3章 さよならは、突然に
揚々と戦地を引き揚げた俺を、友人が待ってくれていた。
ここはビックサイトからゆりかもめにして2駅先、大江戸温泉物語だ。戦いを無事切り抜けた戦士たちが、ある者は足取りも軽く、ある者は疲弊しきり、またあるものは大量の戦利品に押しつぶされそうになりながら、少しづつ集まってきていた。しかしそれでも、いずれの者も一様に安堵の表情を浮かべている。大小の違いはあれど、だ。
時刻は17時台。俺は友人とともに車の中で、ナイター料金に切り替わる18時が来るのを待っていた。
この車は友人のものだ。今回、俺は車を出せなかった。車の調子が云々ではなく、自分の体調が問題だった。例によって例の如く、仕事が影響したのである。まあそれでも・・・・・コミケに2日目から参加できることが超ラッキーなのであって、今はそんなことで会社の勤務体制に文句タレてられなかった。車内で爆睡する俺を東京まで運んでくれてありがとう
真機さん。
大江戸温泉物語―――――――ここは本当にいいところだ。田舎者の基準からすれば少々料金かお高いが、それでもホテルなどに泊まるよりはよっぽど安上がり。そして今の時季は車中泊がつらい季節だが、雑魚寝とはいえエアコンの利いた屋根の下で休息が取れることは、熱中症で救急車に乗った前科を持つ俺にとっては何にも換え難いものだ。そしてでかい風呂に入れるとあれば言うことない。
18時を少し過ぎてから入場した。さもそれが当然であるかのように大混雑である。それでも、フロントに並ぶ人々の列は少しずつ、着実に流れていく。トラブルらしいトラブルといえば、後続の外国人客が土足のまま館内に上がってきてしまっていたことぐらいだ。それに気付いた日本人客が一生懸命説明を試みている。そこへスタッフがすぐさま近づいてきて、彼らを下足箱へ誘導していった。けっこう「よくあること」らしい。
風呂に入っても大混雑は相変わらずで、サル軍団が入浴しているのと大して様子が変わらない。洗い場は大行列。列の後方でなにやらぶつくさ文句をたれている一団もいる。どうやら、初めてこの時期に来たらしい。そりゃあ、開場前に並んで、シャッター前に並び、挙句素っ裸になってもまた列形成じゃ、文句のひとつも言いたくなる。あるいはコミケのことを知らずに来てしまった普通の人たちなのか・・・・・・と思っていたとき、例の一団の最後尾が言い放った一言は「最後尾こちらで~す」・・・・・やっぱり参加者だったかww
風呂上りの一杯がまた格別にうまい。牛乳でも、ビールでも、だ。きっと、「ちょっと特別な場所にいる」というプレミアム感もそれを演出している。これでもし仮に銘柄がZUNビールだったらさらに気分は最高潮であろうが、サーバーのプレミアムモルツでも十分それに資するものだ。
夕食には大盛り冷やし麺。今日あったことを二人で談笑しながら、夜は更けていった。
さて、寝る段である。この日は館内の「中村座」の全面が男性用仮眠所としてあてがわれることになっていた。女性用は別の場所。そちらは22時台にはすでに仮眠所へのモードチェンジを済ませており、静まり返っていた。
男性用仮眠所の前はというと、これまた下手すると一触即発なピリピリムードである。館内は親子連れなどが帰ったあとで、女性用の仮眠所があてがわれた今となってはいかにも「そっち系の男性」ばかりが跋扈する館内に成り果てていた。それのほとんどが中村座前に集結しているのである。それの多くは遠方から来た一般参加者と思われ、すでに3日目の入場待機列形成が始まっているかのようであった。
俺と友人は、ここに40分以上前から並んでいた。「並ぶ」というよりは「集まっている」に近い状態だが、入口のふすまの真ん前、ポールポジションとも呼べる場所を確保していた。本当は追加料金を払って男性用個室「黒船キャビン」を利用すればよかったのだが・・・そこはコミケ期間中。予約なんてものは取れなかった(キリッ
ここで待ち時間の暇つぶしに、友人はコンビニで買ったルパン三世の漫画を、俺は今日会場で買った妖精永紅夜を読んでいた。戦利品を何冊か館内に持ち込んでいたが、それの全てを浴衣の懐に入れて持ち歩くのは不可能なため、最も携帯性に優れる本として妖精永紅夜を選び、それを読み進めていた。あとの本は手荷物とともにロッカーの中だ。友人のほうはというと、そもそも漫画を一冊しか持ち込んでいなかった。
・・・・・今思えば、このときの俺はほぼ完全に無防備、無警戒だった。
常に周囲にアンテナを張り巡らし、護身用のエアガンを携え、自転車や自室にセンサライト&サイレンを仕掛けていた高校生の頃(←実話w)とは天地以上の開きがある。社会人となり、周囲の人間も分別つく年齢となり、次第に警戒は緩んでいった。
営業スマイル全開で接客すれば、相手も笑ってくれる。見ず知らずの乗客と会話を交わす楽しさを覚えるうちに、それに反比例するかのように、警戒レベルは落ちていった。周りはいい人ばかり。性善説にたった受け答え。それはまさに、俺が目指す理想のカタチのひとつであった。
当然のことであるが、落とし穴はすぐそこにあった。
23時30分。スタッフが現れた。準備ができたのだろう。諸注意を述べるスタッフ。そのしゃべり口調はコミケスタッフそのものだ。しかしそれとは裏腹に周囲の無言のボルテージはヒートアップしていくのが分かる。俺はコミケスタッフのキメ台詞「はしらないでくださ~い」をサブリミナルのように周囲につぶやく。決してツィートしてるわけじゃないぞw これは高度な情報戦だ。 しかし、初参戦の隣の友人は完全に周囲の雰囲気にのまれかけているようだ。「走んなきゃいけないの?」と訊いてくる。「いや走んなよw走らないでも安全に寝床は確保できるから・・・・・」とつぶやいておく。これも高度な情報戦だ。
今まさに・・・・・いわゆる「なのは完売」が起ころうとしていた!!
3日目ノ荒廃(眠気)コノ一戦ニアリ。各員一層、奮励努力セヨ―――――――
ふすまが開く!!先頭が脱兎のごとき勢いで駆け出・・・・・・・・・さない!!! 歩く!!しかし大股歩きだッ!
先頭が走るものだと思い込んでいた後続は面食らう。そして、高速小股歩きで中へ入っていく。とってもシュールな光景だ。だから予告しといただろ?「俺は走らない」ってwww そして、当初の狙い通り、最も奥の壁際に寝床を2つ確保した。友人は安堵の表情だ。「なッ?走らなくても寝れんだろ?」と・・・俺は得意げに言い放った。
寝床に入ってからも、妖精永紅夜を読み続けた。そのまま寝落ちする計画だ。
本の中のストーリーは最初の異変が起きていた。幻想郷の夜が明けないのだ。にもかかわらず、なぜかチルノの手持ちの時計は午前7時台を示している。
天体の運行が停まっている。日付が変わる前に停止した時計。なのに何故、チルノの時計だけ動き続けているのか――――――?
チルノは香霖堂に向かった。それと同時に、俺の中にあった眠気が一気に増大する。
・・・・・・・もういいや。続きはまた明日・・・・・
翌日、時刻は6時―――――――――
俺の携帯から「ハイケンスのセレナーデ」が鳴り響いた。去年、まだ定期運行していた寝台急行きたぐにに乗って大阪に行って以来、愛用しているメロディだ。
「やべ・・・・・・やべっ(焦」焦れば焦るほどメロディが止まらないw ・・・・・・・ふう・・・・・よーやく止まった・・・。3回くらい鳴ったかな? 仮眠所で仕切りのない雑魚寝なので、鳴り続けるアラームは超☆近所迷惑なのだ。だいたい、3回も鳴って始まらないおはよう放送ってなんなのよw 鉄分の濃い人が聴いたらきっとずっこけるに違いないw 「始まれよ!」ってねwww
さて・・・・・えっと・・・・・風呂に行こうか。なんか忘れもんないよね・・・・。タバコはあるし、うん、ライターも。チルノ仕様のZIPPOだ。携帯は今鳴ってるやつを止めたし。えっとね、あとね・・・・そう。本。本読んだまま寝オチしちゃってたみたいだね。妖精永紅夜・・・・・・・・・・どこにあんでしょ??
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
いやいやいや。
・・・・・・どこでしょーねー(ごそごそ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・
ない
いやいや、まさかww
無い
んなこたー・・・・・ねぇだろ・・・・
亡い・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・マジか?
いやだってほら、枕元において・・・・・そうそう、俺と友人の間に置いた筈なんだ。寝る前の最後の記憶が正しければ。
記憶違い?まさか、ねぇ?
ちょうど、チルノが朝起きたら幻想郷の時が止まってて、でもチルノの手持ちの懐中時計は動いてて・・・・・そんで、そう。チルノの懐中時計を含む外の世界から来た時計だけは動いてて、あとは全部、時の動きが、幻想郷の時刻の進みが止まってる・・・・・・ってとこまで読み進めたんだ。
夢じゃ、ないよね?
夢じゃ、なかった。
ロッカーにも、もちろん、なかった。
これは、現実だ。
まるで、本の中のストーリーそっくりの状況が、現実に、起きた。
自分の時間は、リアルの時間は普通に進んでいるのに、本の中の時間が止まって――――
いや、ストーリーの進行自体が、ぷっつりと、途絶えて。
つまりは、物理的に、読み進めることが不可能となった・・・・状況。
・・・・・・・こうして、
あの本は。「妖精永紅夜」は。
初めて手にしてから24時間もたたないうちに、
長岡の自宅に迎え入れることもなく、
俺の手元から
するり、と、 消えていった―――――――――――――
4章 サークル出展
8月12日、コミケ3日目、つまり最終日。時刻は9時を過ぎていた。
「わーりぃっ!またせっちもーて!!」(←長岡弁)
逆三角の下のファミリーマート前。ここに、サークル「
冥導寺」のメンバーが集結した。俺と真機さん、そしてモっさんの3名だ。
ウチのサークルにはあともう一人、和尚と呼ばれる人物が存在する。当サークルの創始者であり、実質上の中心人物なのだが・・・・仕事で今日は来ていない。・・・・・・心中お察しいたします。
サークルチケットを各自に切り分けて入場し、一路西館を目指す。少し予定時間より遅れてしまった。急がなければならない。・・・・・・・・
・・・・・・・団体行動を遅らせた張本人は、俺だ。
――――――――――時間は少しさかのぼって、大江戸温泉物語。
そこには、必死に本を捜す・・・・・・いや、半分あきらめて風呂に入っている俺の姿があった。
・・・・・・・悩んでいた。
ぎりぎりまで粘るべきか。それともすっぱりあきらめて委託を狙うか。
・・・・・そもそも、既刊だから委託は望み薄。というか、無いと思っておいたほうがいい。クッソ・・・なんでこの重要な局面で俺の携帯はスマホじゃねえんだ。次のイベント?いつだよ・・・・。それまで待たなきゃなんねーの??
呪った。自分の管理不行き届きを。他人の枕元にあって、明らかに所有権を主張しているように見えるものを持ち去る人物の存在を想定しなかった。自分の周りには他にも、ペットボトルの飲料からタオルからその他身の回り品・・・・隣の友人に至ってはスマホをパックに入れた状態でごろんと転がしてあった。財布のように見える何かも。(財布じゃないって言ってたけどね)
そんな中で、何故特定の本だけを持ち去って行ったのだろうか・・・・・・犯人は。転売厨??そんなことを考えながら風呂から上がったとき、あるものが目に飛び込んだ。
・・・・・・・・本だ。
脱衣場を出てすぐ、本が視線の中に入った。失くした本と同じ版形の本だ。小説。その本は、見ず知らずの他人に読まれていた。
「・・・・・・まさか、な」
通過ざまに、ちらりと確認する。文字がびっしり。内容の判読不能。
表紙は・・・・・カバーがかかっている。書店で買ったものであろうか。
「あのカバーをはがしてしまえば・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・まさにそれは、悪魔のささやきだった。今すぐにでもあの本を取り上げて内容を確認したい。妖精永紅夜であることを確認したい。この世に同じ版形の小説本なんてあふれまくっているというのに。もう完全にアレは自分の本だと・・・・・・・・そう・・・・・・思い込んで・・・・・・・・・・・・
「関越さん、設営ッ!!」
えっあっハイゴメンナサイデスヨッとな~、って、ああ、
あの、スイマセン。ぼっけっとしとりましたスイマセン。
設営を急がなければならないのですぃた。やべえな俺ww
ふう、もっと早く来れればとっくに設営が終わって、西のシャッターが閉鎖される前に東へ出撃している手筈だったのですが。「2日目全戦全勝のお兄さんに任せなさい!」(←夢喰いメリー、光凪由衣さんのキメ台詞アレンジ。最近はまった口癖w)とか大見得切った手前、撃ち漏らしは許されんのですぞ。
気合を入れなおし、チル法被を羽織る!背中に輝く⑨!!(←昨日の某企業ブースで買ったw)
「いってきゃっす~」
「いてら~誤武運を~間違えた御武運を~」
「誤武運てw」
シャッター前に陣取る。時計の時報が・・・・・・
今鳴った!10時!沸きあがる拍手!!脱兎の如く東館へむか
「走らないでくださ~い!!」
・・・・・・高速歩行で、東館へ向かった!!
5章 落涙の上越新幹線
「真機さんごめん・・・・・電話までして確認したのに」
「いいてことよ~。おらの分はちゃんとあるから(・∀・)bビシィ」
時刻は16時を回っていた。ビックサイトを撤収し、秋葉原へ向かう車中。
狙っていたガソリンスタンドがまさかの日曜休業だったり、首都高の渋滞に巻き込まれたりしながらも、車はおおむね順調に秋葉原へ向かっていた。
買うほうの戦果はほぼ問題なかった。しかし、細かい部分でミスが出てしまっていた。新刊セットを2セット買うべきところ、1セットしか買わなかったりといった凡ミスだ。精神的なダメージはこんなところにも出るのかなあ・・・・とか思ったり思わなかったり。
サークルのほうはというと、こちらは可もなく不可もなくといった感じだった。販売方法の一部に課題を残したりもした。まあ、ひと言で言うなら、
完売への道って、険しいね☆
って感じか。
さて、俺のほうはってーと・・・ちょいとゆっくりしてらんなくなってきた。この日は出勤だったのだ。夜から。したがって、最悪でも20時までには長岡にいなければならない。
でも・・・委託も気になる。手元からなくした本がもしかして秋葉原にあるのでは・・・・?そんな一抹の期待から、最低でも委託があるというメロンブックスにだけは立ち寄ろうと思っていた。そうなるとどんなに高速をぶっ飛ばしたところで20時に長岡なんて着けやしない。そうなると、頼みの綱は・・・・・うん、新幹線だ。他の2人を俺のスケジュールに無理に合わさせるのもかわいそうだしな。ぜひアキバでの買い物を楽しんでほしい。
「そのまままっすぐ・・・・・・浜崎橋は直進ね。汐留もとりあえず道なり」
職業柄、首都高を使うことが多い俺がナビを担当していた。しかし、八重洲線が長期通行止めに入ってから始めて利用したため、渋滞に関しては読みきれない部分があった。
「そこ、右降りて・・・・・・・本町」
いよいよアキバは目の前だ。それと同時に俺の時間の猶予も減っていく。なんとしてでも、上野を18:38に出るMAXとき341号に乗らなければならない。と、その時・・・・・・ドライバーの友人がぼやく。
「うわ、UDX満車・・・・・・」
うげぇ、まじっすか!?車内を絶望みたいな空気が支配する。そんな・・・・首都高渋滞を切り抜けて、やっとここまで来たってのに!!もうこうなったら・・・・・
「俺、メロン行く。駐車場決まったらあとで電話して」
そういい残し、俺は車を降りて徒歩でメロンブックス秋葉原店へ向かった。
・・・・・・結果から言うと、アキバへは無駄足だった。知る人はよくご存知であろう、コミケ直後の2回戦会場と化した店内には、新刊の「アルバイト輝夜・椀」は陳列されていたものの・・・・・そのほかの既刊はなかった。もちろん妖精永紅夜もだ。
まあ、俺の気持ちを静める効果はあったと思う。「もしかしたらアキバに・・・」という気持ちを引きずったまま仕事に入っても、精神衛生上よい状態とはいえない。
さあ、ある意味勝負はここからだ。電話が来る。内容は「石丸本店そばのタイムズに停車」。
駐車場に急行し、仕事に絡む荷物だけを受け取る。そのほかの戦利品は友人に預けたまま、車で長岡まで持ってきてもらう算段だ。
時刻はすでに18時を過ぎている。秋葉原駅まで猛然とダッシュする。もうここでは「走らないでください」とは言われない。人ごみが開けるたびにダッシュをくり返し、京浜東北線に乗り込んだ。
上野でドアが開くやいなや、またもダッシュ。新幹線ホームは地下深くに設けられているため、普通に歩いていたのでは乗り換え時間は10分を越える。時刻は18:12を過ぎた。目標の列車はすでに東京駅を発車している!!
「ピンポ~ン」「係員のいる改札口へお回りください・・・・・・・」
何でこんなときに改札機が開かねえんだ!!! 有人窓口に今すぐに自由席に乗りたいことを訴えると、乗車駅証明書をくれた。これをもって着駅で清算を行うのだ。とにかくホームへ向かえ!!長いエスカレーターを駆け下る。幸いにして、他の乗客はそのエスカレーターに乗っていなかった。いまなら・・・・・間に合う!
そして、・・・・・・・俺と、MAXとき341号は、同時にホームに滑り込んだ。
大宮を、出る。
下りの上越新幹線MAXとき341号の車内で、おれは、昨日と今日あったことを一人、思い返していた。
まず、さっきの改札突破。アレはいただけなかったな・・・・・。
実は、モバイルSuica特急券を買い忘れるという凡ミスをやらかしてしまっていたのだ。最悪でも、京浜東北線の車内で携帯電話を操作する猶予はあったはずだ。人生で初めて、切符を持たないまま新幹線に乗ってしまった。今は、上野駅でもらった乗車駅証明書が切符の代わりだ。長岡駅の出口改札で、余計な手間をとらせることをわびて現金清算しよう・・・・・・そんなことを考えていた。
そして・・・・・・・・・・・・・・あの時。
やっぱり声をかけるべきだったのではないか。
そんなことを思っていた。
大江戸温泉物語の脱衣場出口で、本を読む男性を見かけたときだ。
結局あの時は、自分からは何もしなかった。
遠巻きに様子を伺うだけで、精一杯だった。
というか、
・・・・・・・
・・嫌だった。
ハナっから人を疑って声をかけるのが。
アレが違う本だったとして、その後をどう言い繕うのか。
そして、タイトルが合致したとして、それが自分の所有物だと、どう証明するのか。
・・・・・・・・・・答えが、出なかった。
適切なアフターフォローの言葉を、紡ぎ出すことができなかった。
人の気分を害することなく、調べ物をすることのなんと難しいことか。コナン君を見習いたいものである・・・・・・まったく。
最終的にどうしたかって言ったら、撤収の進む仮眠所を覗いて、忘れ物の中に本がないことを確認し、最後にフロントで失せ物をしたことを申告し、紛失届けを提出するのが関の山だった。
窓の外を、ぼんやり眺めていた。
夕日に浮かぶ富士山のシルエットが、はっきりと見えた。
列車は、本庄早稲田を通過する。
高崎を出て榛名トンネルに入ったとき、俺はおもむろに携帯を引っ張り出した。みんカラのマイページを開き、何シテル?に文字列を打ち始める。・・・・・・・しかし、あっという間に文字数制限をオーバー。よっぽど書きたいことが多かったらしい。すぐにブログに切り替え、書き続ける。
おもむろに、列車にブレーキがかかる。
中山トンネルのR1500を160Km/hで駆け抜けていく上越新幹線。
しばらく携帯に向き合い、書きあがる頃には、大清水トンネルも終盤だった。書きあがったのが・・・・・・・そう、この直前のブログである。
もはや、あの本が自分の手元に戻ってくることはないだろう。願わくば、今現在、所有権を主張する人物の元で、大切に扱われていることを願うのみである。
今回の一件でのこちらの経済的損失は微々たるものだ。しかし、精神的損失ははかりしれないものがあった。正直なところ、盗難だとは思いたくない。それは、自分と同じ・・・・・・・東方好きの中に犯人がいるのかもしれないと疑うことに繋がる。だから、自分の管理不行き届きということにして、自分を納得させようとしているのだ。だから、再び自分の旅費をかけて、大阪遠征を構想したのである。
列車が越後湯沢駅に到着した。ここで後ろ8両、切り離しだ。
・・・・・・・・・・・・・携帯の、決定ボタンを押す。
越後湯沢の駅名票が、少しにじんでいるように見えたことだけ、覚えている。
~中締め~
なんかラノベ風になってサーセンです。
気付いたら、こんな風になってましたwwwwww
ブログがラノベ風になっちゃうなんて、よっぽど悔しかったんだろうと思います。
だれか、俺を止めてくだしゃいwwww
いちお、話には続きがあります。そうでないと、序章?のJAL2251便に続かないので。
もちろんノンフィクションですwwwwww
次回!「夢もキボーもありゃしねえ!!」
つづく・・・・・・・・のか??
(8月24日、加筆修正)