
本文と写真はあまり関係がねぇっすw
まず始めに、
先般、私が運転していたバスに、車両故障発生時点でご乗車だった9名のお客様と、途中停留所でお待ちだったお客様に、ご不便とご迷惑をおかけしたことを改めてお詫び申し上げます。
なかなかレアケースに遭遇してしまったので、今後の参考のための記録として覚え書き程度に書き記しておきたいと思います。また、「俺ならこう対処してた」的なコメントも歓迎です。
なお、地名等は伏字としていますが、地元の人は一発で分かっちゃうかもwww
13:40、N駅発B駅行き、定刻より2分遅れて発車。乗降輻輳と雪による道路混雑で多少の遅れを出すも「この程度なら停留所間が開く田んぼ道区間で十分回復できるレベル」ということで、特に何事もなくいつものように走っていました。
道中、信号待ちで両替を始めて、青になったのになかなか席に戻らないご年配の女性客に「危ないので席についてください。今日は雪で道が悪いですし、降りるときにゆっくりこちらに来ていただいて構いませんから」的な会話のやり取りをします。降車停留所が近づくと、なるたけ早く降りようとして、運賃箱付近にしがみついて立っていようとするお年寄りは多いですwww 他のお客さんに気を遣っているんでしょうけど、お年寄りにそれをやられると車内事故防止のために超低速運転をせざるを得ず、むしろ迷惑です・・・
(^_^;)
そんなことがありつつ、旧国道が現国道に合流する交差点に差し掛かり、赤信号で停車。左折の矢印の現示とともに発車しようとしたとき・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・
それは起きました。
シフトレバーをいつものように2速に突っ込むのですが、
・・・・・・・あるぇ?ギア入んなくね???
(; ̄Д ̄)?
この時乗っていたのはいすゞのフィンガーシフト車です。フィンガーシフトってーのはシフトレバーはいわばただの電気スイッチで、車両後方の変速機に指令を送るだけの代物。いわば変速指令器。実際のシフトチェンジは空気圧で行っています。
そして、シフトチェンジが完了すると「スコンッ♪」という軽快なエア音とともにレバー位置が固定され、手ごたえでシフトポジションがわかるようになっています。また、インパネにはシフトインジケータも付いていて、視覚的にもわかるようになっています。
シフトミスすると、レバーがニュートラルの位置に跳ね返ってきます。
そのシフトレバーが、はいらない。
何をどうやってもニュートラルポジションに跳ね返ってくるのです。しばらく無理やり2速位置に押し込み続けても、変速完了の手ごたえが来ない!さぁ困ったぞ!!
(;゜∇゜)
クラッチをあおる、だめ。
他のポジションは?
3速から5速まで全部試したけど、だめ!!
1速は・・・・・?
「がごんっ」
入った!とりあえず発車!!
国道に出たところでシフトアップを試みる。・・・・・が、
やっぱり2速以上のギアに入らない!!!なんでーーーーーーーー!!!!(Σ(´□`;)
クラッチを切っているから速度はどんどん落ちてくる。
タイヤが回っていると1速に入らないので、ハザード出していったん停車。一速に入れたまま、どうにか次の停留所に滑り込み客扱い。
お客様に状況を説明。どうやら車両故障らしいこと。とりあえずバイパスの外に出ることなどをアナウンスした後、1速とバックにしか入らなくなったバスを無理やり前に進めることに。お客様に、ほかのバスに乗り換えていただくにしても、降雪で路肩の狭くなったバイパス途中の停留所での移乗は危険だと、とっさに判断したのです。
この時私は、1速にさえ入らなくなって、全く身動きが取れなくなることを最も恐れたのです。とりあえず低速でもバスが前進するうちは「鉄の暴風吹き荒れるバイパス本線上から脱出しよう!」ということです。
高速のIC下を、エンジン全開時速20Km/hで亀のように進むバス。後続車の皆様ごめんなさい。このハザードランプに気付いたら状況を察してさっさとぶち抜いちゃってくださいorz
こりゃーもう、だめだな・・・・・バイパスから出たところで代車の手配執ろう・・・・・・orz
もっとN駅寄りの市街線だったら、5分とか10分とか待てば後続のバスが来るのですが、ここは典型的な田舎路線。次のバスなんて待っていたら日が暮れる。代車のほうがよっぽど早いとの判断です。
そんなわけで、どうにかバイパスを出て最初の停留所。通常、1分半程度で駆け抜ける区間にたっぷり5分近くを費やしてしまった・・・・・。
お客様に「代車の手配を執ります。携帯電話を使用させていただきます」と断り、営業所にSOS。
さて、これで終わりでしょうか?
まだだ!まだ終わらんよ!!(゜Д゜)クワッ
折しも、バスはN-TOWNの中心部に差し掛かっていました。おそらくこの街の中で降りたいお客様もいるでしょう。
・・・・・・判断基準は、ただ一つ。
「お客様の利便の損失を最小限に食い止めるには、どうしたらよいか?」
バス会社側の勝手な都合で、お客様の大切な時間を一方的に奪っているわけです。
安全さえ確保できるのであれば、少しでも前に進みたい!
かくして、
N-TOWN中心部に、エンジンの轟音も勇ましく、自転車にさえ追い越されそうなバスが、トロトロとやってきたのです!←オイw
お客様を不安にさせてはいけません。そこで決まり文句発動「行けるとこまで行きます!」
某紅い跳馬の逝っとけダイヤかっつーwwwwこれ書いてる今だから笑ってられるけどwwwww
適宜放送「代車の手配が取れました。今営業所を出発してこちらに向かっているとのことです」
「途中で落ち合うことができたら、移乗していただくことになります」
「お急ぎのところ誠に申し訳ございません。只今○○分遅れております」
等々・・・・・
途中停留所でお客様一人降車。やはり、バスが動くうちはどうにかして前に進めることが必要のようです。
お客さんのことを必死に考えるあまり、もはや後続車の迷惑なんて考えちゃいないwww
バスの変速機が1速固定などどいうあまりのレアケースに、後続車もどうしていいかわからず、じっと我慢してついてくる車が多くいました。ずっとハザード出して路肩を走ってたんだけど・・・・・・(滝汗
そのたびに車外マイクで「このバスは故障しています!スピードが出ないので追い越してください!!」と呼びかけるのだが・・・・・伝わったのかどうか。たぶんバスのエンジンの爆音にかき消されているんだろうな。
むしろ、除雪作業中の沿道住民の皆様のほうがよく反応してるwww
この時ほど、後部方向幕に「故障」と表示できると助かるなぁと思ったことはなかったwww
しまいには、状況を察したダンプがはるか後方から捲ってくる始末・・・それを見て恐る恐る追い越していく普通車。
そろそろ限界か?
街を抜け、田んぼ道を走り切り、次の村の入り口まで来たところで、停留所にバスを一旦停めます。お客さんには「エンジンを休ませます」とかそれっぽいことを言って。
本当は、本格的にダメになった場合に備えて、赤色旗の用意をしたかったからです。うちの会社では、赤色旗を運転席側面窓から右側に掲出して故障車表示とする決まりになっています。後続車がこれに気付いて状況を察してくれれば、そしておそらく正面からやってくる代車が故障車を簡単に判別できるように・・・・・
準備ができたところで再び発車。
いつものクセでなんの気なしに2速に入れた途端
「すこんっ♪」
・・・・・・・え、いまギア入った!?
(; ̄Д ̄)?
恐る恐る発車。
速度計は久しぶりの40km/hを示した!
しばらく2速で引っ張り、試しに進段操作をしてみる。
「すこんっ♪」
5速入った!!
普通は2→5なんて操作しないが、とにかく変速回数を減らしたかったの。
その後は・・・・・・・
それまでの異常っぷりがうそのように快調に走ったのですよ・・・・ええww
あまりの快調ぶりに、「このままではやってくる代車の『狙い』が狂ってしまうな・・・・」と心配して、営業所に電話で状況と現在地を報告したくらいです。
そして最終的に、代車の姿が後方に見えたころには、終点B駅が目前に迫るという状況でした。ここでお客様に移乗していただくとむしろ時間がかかると判断。バスが順調なうちは、そのまま終点まで行こうと。
終点には35分遅れで到着。めでたしめでたし。
で終わりではなかった。
終点まで乗ってきたお客様のうち、一人が「迎えが行っちまったよどうしてくれるんだよ」的な苦情を言い始めたのです。
もうこればっかりはバス会社側の手落ちなので平身低頭平謝り。
もう一人の女性客がそのお客さんを「まぁまぁ」となだめてくれています。あなたは天使か(いやマジで
代車に乗ってきた先輩運転士とともに、3人がかりで、微妙に回りくどい言い方をするそのお客さんの言い分の解読作業にかかりました←失礼
要約すると、「迎え」というのは家族が迎えに来るとかそういうことではなく、市が計画して別の観光バス会社が受託して走らせている、B駅からY駅に向かって走っているローカルコミニュティバスのコトらしいことがわかりました。
そこでその時刻を確認。うん、見事に終車が行っちまってる。てゆーか14時台で終車ってなんなのさ←完全にお年寄りの通院買い物用ダイヤ
電車のほうは・・・・・・うわぁ、1時間半以上次が来ないぞ。
そこで、先輩運転士が電話で所長と協議。
結論。救援にやってきた代車で、そのお客様をY駅まで送ることになりました。
代車を頼んだのが無駄足にならなくてある意味良かったw
最後に、
一人残った最後の女性客との別れ際、
「営業所、転勤になるんですってね」と、声をかけられました。
んん??どこでその情報を???
「他のウテシさんがそう言っていた」んだそうでwww
というか、その方はこの路線を走る運転士の名前、ほとんど知ってたwww
たしかに、車内には乗務員氏名札を掲出して走りますが・・・・みんな覚えてたんだ。
「なんか波乱万丈のラストランでしたけど、異動先でも元気でいてくださいね」と、
・・・・・・・なんか・・・・うん、ありがとうございます(´;ω;`)
そう。ラストランだったんですよ。転勤先の営業所ではこの路線走らないので。
この女性客がいなければ、こんな波乱の故障話、ブログに書いてなかったと思います。
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・
ご乗車、ありがとうございました。
歩いてゆく女性客の後ろ姿に、私は深々と頭を下げて。
・・・・・・変速機に爆弾を抱えたバスを、おっかなびっくり車庫に戻しましたとさw