「高速無料化」遠のく　補修費３兆円捻出へ

　国土交通省は高速道路会社の債務完済の時期を大幅に延長する検討に入った。2050年の予定を10～20年程度延ばす案が有力だ。10年延長すれば３兆円程度の財源の捻出が見込める。山梨県の中央自動車道トンネル事故などを念頭に、老朽化している道路の維持・管理費を確保することを目指すが、50年に利用を無料化する目標は大きく後退する。

　国交省は新政権と調整したうえで期限延長の本格検討に入る。有識者の意見も聞いて、早ければ来年に「道路整備特別措置法」などの関連法改正に着手。14年にも改正案を国会に提出する。

　現在は独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」が高速道路の資産を保有し、高速道路６社が道路を借りて運営している。道路会社は料金収入を原資に50年までに約40兆円にのぼる債務を返すことになっている。返済期限を延ばせば１年に借金を返す額が減り、維持費により多くのお金を使える。10年延長なら約３兆円、20年延長すれば約５兆円の財源捻出が見込める。

　これまでは道路会社が債務を完済する予定の50年に利用料金を無料にするとしていた。だが、国の税収減や道路の老朽化が深刻であることから方針を転換する。

　高速道路の維持・修繕費は年２千億～３千億円程度と高速道路会社の費用の１割強を占める。安全確保のために、自動車が通ったことで表面が削れた道路の補修や強度が落ちたトンネルの整備が不可欠だからだ。このほか、壊れたり老朽化が進んだりしたために道路を造り直す「更新」が必要になるケースもある。

　高速道路は現状でも築30年以上が４割近くを占め、その維持費は今後さらに増加する見通しだ。高速道路会社の返済期限の延長はひとまず一定期間にとどまるとみられるが、将来は再延長される公算もある。

　国交省はさらに、14年春に期限切れを迎える高速道路料金の割引制度も見直し、新たな割引を始める考え。平日昼間の３割引きなど現在の割引制度の財源が13年度末で底をつくためだ。返済期限の延長によって捻出する資金の一部を財源にする案が出ているが、「バラマキだ」との批判が出る可能性もある。

　高速道路の民営化や債務の返済方法、50年の無料化などは自民党政権下で決まった。無料化時期の変更を巡っては新政権との調整に時間がかかる可能性はある。ただ民営化の枠組みなどが現行のままなら、中長期的な補修費捻出のためには返済期限を延ばす以外の手法は難しいと国交省はみている。


…まぁ、中途半端な部分無償化で地域格差を作ってしまうよりは一斉に無料になる方がいいんだけど、渋滞とか考えるとあえて、値上げがいいのではないかと思ってしまう。でも、値上げは流通業にダメージを与えてしまうから、やっぱり現状維持かな。夜間半額とか交通量が少ない時間の有効利用を活用すればかなり割安だしね(´・ω・｀)