こんにちは~
先週末、遅ればせながら映画"Ford v Ferrari"を観てきました!
約10年前にA.J.ベイムの著作「フォード vs フェラーリ 伝説のルマン」が出版されてから、幾度となく映画化されるらしいという情報のあった本作ですが、ようやく2019年にアメリカで公開され、1/10から日本国内でも上映が始まりました。
国内でも公開前からクルマ好きの間で、大好評とあって期待度も高くだいぶハードルが上がった状態での鑑賞となりましたが、予想以上にマニアックで結果的には大満足の内容でした♪
というのも、単純にカーレース映画、ルマンを題材にした映画という意味でも、もちろん見ごたえがあったのですが、レプリカKitcarファンからするとニヤリとしてしまうKitcarがそこここに登場するのだから、面白くないはずがありません^^;
ここでは"Ford v Ferrari"に出てくるレプリカKitcarを、いちKitcarファンとして"あ~でもない、こ~でもない"と考察していきたいと思います。
※ここでの考察は単なるKitcar好きの妄想に基づくため、事実と異なることがあることをご了承ください!笑
まずはのっけから、マット・デイモン扮するキャロル・シェルビーが"Porsche 356 speedster"でLAを疾走するシーン。
ワイパーアームの締め付け部にナットが見えることから、"speedster"の設定されていた"356A"以前ではなく"356C"もしくは高年式のVW用であることが判ります。
空冷VWのFLAT4を搭載したPorscheのKitcarは、日本国内においても最も馴染みのあるKitcarの部類に入りますね。
続いて、フォードのリー・アイアコッカ(Lee Iacocca)がフェラーリ買収を目論んで、マラネッロへ乗り込むシーン。
"スクーデリア・フェラーリ”のファクトリーでは、珠玉の跳ね馬たちが並ぶ壮観な光景の中に注目のKitcarが目に止まりました。
"Ferrari 250 GTO Replica"
※2000年代中盤に神奈川県内の某中古車屋にて撮影。
元ネタはもちろんFerrari 250GTシリーズにおいてFIAの公認(ホモロゲーション:イタリア語でオモロガート)を採るためだけに39台が造られた"250GTO"↓です。
※2005年にサンマリノ共和国 ”Collezione Maranello Rosso”にて撮影
劇中の"250 GTO Replica"はおそらくS30型の"フェアレディZ"をドナー車にしたKitcarで、日本国内にも少数が存在しています。国内の"250 GTO Replica"はロッソコルサがほとんどですが、これを御殿場の松田コレクションにあったペールグリーンやブラウンの'62タルガ・フローリオ仕様などにモディファイしたらカッケーだろうなぁ~と未だに憧れているKitcarの1台です♪
ちなみに、2001年に公開されたトム・クルーズ主演の映画"バニラ・スカイ"のなかでも、S30Zベースの紺色の"250 GTO Replica"が"夢の中のクルマ"として登場しています。
マラネッロのシーンでは、エンツォ・フェラーリのオフィスへ向かうシーンでも、注目のKitcarが登場しています。
こちらは"Ford v Ferrari"のパンフレットにも記載があったので間違いないと思いますが、建物の前に置かれた2台のFerrari。シルバーの1台はオリジナル(本物)の"275GTB"だそうですが、その横に置かれていたロッソコルサの"250 GT Spider California"。
これがModena社のKitcar"Modena GT Spyder"↓です。
※写真はネットからの拾いものです。
こちらも前述の"250 GTO"と並んでクラシック・フェラーリのKitcarとしては2大巨頭といえるクルマですが、このKitcarはドナー車はなく"Beck 550 spyder"などと同様に鋼管スペースフレームにFRP製のボデーカウルが載せられています。
エンジンは、FordスモールブロックなどのアメリカンV8がチョイスされることが多いようです。
ちなみにオリジナルの"250 GT Spider California"はこちら↓
※2009年にマラネッロの"Museo Ferrari"にて撮影
もし"Modena GT spyder"を手に入れる幸運に恵まれたなら、ハードトップを製作して"250 GT Berlinetta tdf"↓を気取るのも良いですね♪
※2011年にマラネッロの"Museo Ferrari"にて撮影
そして、本作の主役である"Ford GT"。
流石に主役級のクルマだけあって手が込んでいます。
まず最初に登場するのは、このノーズ下に2つのドライビングランプを配置したテストカー↓
一般的に広く知られる"GT40"とは形状も異なるため、出来の悪いレプリカか?と思われた方もいるかもしれませんが、これも初期の"Ford GT"のテストカー↓の趣を良く再現してあってマニアックです^^;
※写真はネットからの拾いものです。
そして、いよいよ舞台はクライマックスの1966年ル・マン サルテサーキット。
前年の屈辱を晴らすべく4.7リッターから7.0リッターに拡大されたV型8気筒OHVエンジンを搭載した"GT40 Mk.Ⅱ"が登場しています。
Kitcarで良く見かけるのは、1968年と1969年にル・マンを2連覇したガルフカラーの"GT40 Mk.Ⅰワイドボデー"に準じた仕様の個体ですが、そうした既製品のKitcarで誤魔化さずに"Mk.Ⅱ"仕様を再現しているところに、この映画の拘りを感じます!
対するスクーデリア・フェラーリ陣営。
1965年シーズンを戦った"330 P2"は、前年ル・マン優勝の"250LM"の流れを汲む"330P"↓の改良版でした。
※2014年にマラネッロの"Museo Ferrari"にて撮影
"330P"から"330P2"への外観的な変更は、空力付加物やリヤカウルの形状にとどまりますが、1966年に登場した"330P3"ではドライビングランプが丸目2灯から丸目4灯に変更されて、印象が大きく変わります。
"Ferrari 330P4"
※2005年にサンマリノ共和国 ”Collezione Maranello Rosso”にて撮影
写真の個体は1967年シーズンを戦った"330P4"です。ルマンでは物量作戦のフォードに後塵を浴びせられましたが、1967年デイトナ24時間レースでの1-2-3フィニッシュが印象的なクルマで、Kitcar界でもとても人気があります。
有名どころではイギリスの"Noble社"↑や"Foreman社"からKitcarが販売されていました。
対して"330P3"は"330P4"の陰に隠れて薄い印象があります。というよりも"330P3"は、1967年シーズンには"330P4"仕様のカウルにアップデートされた"412P"としてプライベーターに託され、スクーデリア・フェラーリの後方支援を行った背景もあり"330P3"仕様で生存している個体が少ない事情もあるのかもしれません。
幸いにも"330P3"と"330P4"の外観上の違いは、リヤエンドの開口部形状やフロントエアアウトレット内の出っ張りなど最小限のため、本作の舞台は1966年シーズンですが"330P4"仕様のまま撮影されています^^;
また、オリジナルの"330P4"やオリジナルに忠実な"リクリエーションモデル"ではリヤカウルはコクピット後方を支点とした後開き↑ですが、"Noble P4"をはじめとしたKitcarの"P4"はリヤオーバーハングを支点とした前開き↓を採用しています。
※写真はネットからの拾いものです。
劇中の"P4"も、クラッシュで横から突っ込まれてリヤカウルが前開きに開いていたり、ピットでリヤカウルが開いているシーンでも徹底して"前開き"で統一されていることからKitcarベースの車両であることが判ります。
ちなみに本作では、貴重な"Noble P4"や"GT40"のKitcarを惜しみなくクラッシュさせているわけではなく、映画撮影用にアメリカのRCR(Race Car Replicas)社が28台ものレプリカ車を新たに製作して提供したようです。
Race Car Replicas社のwebページは、関連情報URLに貼っておきます。
実は映画を観ながら貴重な"Noble P4"が何台か失われたんじゃないかと心配していたので(笑)レプリカKitcarファンとしても一安心です^^;
そして本作では半ば"クラッシュ要員"的な、ちょっとかわいそうな役回りの"Ferrari 275GTB/C"風↓のクルマ。"275GTB"のKitcarは、あまりメジャーではありません。
ブログの最後に上げている"Ford v Ferrari"のトレーラー動画で、赤×青の宙を舞った"275 GTB/C"が地面に激突する際に、まるでミニ四駆のようにシャシとボデーがまず最初に分離していることから、Kitcar用の鋼管スペースフレームに"275GTB"っぽいフォルムのワンピースボデーを被せた撮影専用車のようにも見えます。
そのほかにも、レースシーンではちょくちょく"Beck 904 GTS"的な佇まいの"Porsche 904"や"Porsche 906"のKitcarも登場するので、ポルシェファンとしても見ていて面白い映画でした♪
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