御前城（さくら市・旧氏家町）

御前城は鎌倉時代初期、氏家氏初祖の氏家公頼の築城と推定されています。中世初期の城館は、その地域の統治の中心で、農業のために水利のよい、わずかに小高い所に築かれた土塁と堀をめぐらした単郭の平城が普通でした。
大正12（1923）年氏家小学校の新築移転により、城郭の大部分は破壊されましたが江戸時代中期の絵図によると、南に高い張出部、その東側に大手口があり、南北100余間（180m）、東西80間（144m）の土塁とその外側に水堀がありました。
室町時代、特に南北朝から戦国時代の激動期になると、城は川に臨む崖の上や山頂などに軍事的拠点として築かれるようになり、氏家でも勝山城が鬼怒川の崖を利用して築かれました。しかし、御前城も防御のために張出を造るなど、戦乱の時代に対応した様子がうかがわれます。
氏家小学校の北東部角にわずかに残る土塁が御前城の唯一の遺構であり矢板市の御前原城、那珂川町の神田城などとともに栃木県の代表的な中世平城でした。

Photo Canon EOS 5D MarkⅣ
R4.12.28
住所: 栃木県さくら市氏家２４９１