BP/BL前期 マッキントッシュシステムのホームオーディオ化 vol.3(スピーカー確認)
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
初級 |
作業時間 |
30分以内 |
1
レガシィ マッキントッシュ サウンドシステムのホームオーディオ化ですが、前回電源投入が済み、無事に仮スピーカーでの音出しまでいけました。
これから本格的にスピーカー補修を進めていきますが、その前に樹脂ブラケットを取り外し、スピーカーの状態や構成をよく確認してみる事にしました。
15年以上前の廃車外しスピーカーなので個人備忘録にしかなりませんし、かなり私の独りよがりな私見(妄想)が入っておりお見苦しい内容ですが、投稿してみます。
勝手な事を言っていますので閲覧注意でお願いします。
2
まずはフロントスピーカーです。ウーファー、スコーカー、ツイーター×2個の計4セットですが、ツイーターはモノもハイパスも同一でしたので、システムとしては3wayと言えます。
振動板材質はポリプロピレン(PP)で、マグネットはおそらくフェライト、スコーカーとツイーターにはハイパス用の電解コンデンサが備え付けられていました。
3wayのシステムですが、パワーアンプの出力が5ch(FR、FL、RR、RL、SW)しか無いため、フロントには左右2ch分しか与えられません。そのため、左右それぞれ、1chで4個のスピーカーを駆動させる事になります。
スピーカーをよく見ると配線色が2パターンあり、ウーファー&スコーカーとツイーター×2個でそれぞれ分かれていました。つまり、そのペアが直列接続されていて、更にそれぞれが並列接続されていたのだと思われます。
インピーダンスの合成は、8Ωのスピーカーが直列2個の接続で16Ωに上がりますが、更にそれら16Ωを並列2ペアの接続とする事で合計は8Ωに戻り、パワーアンプの仕様(8Ω)に合致します。
以前からレガシィのマッキントッシュシステムについて、なんでフロントツイーターが2セットも付いているんだろう?と不思議でしたが、音質の理想の追求というよりは、パワーアンプ1ch使用で3wayを構築する際のインピーダンス合成のためにツイーターが追加されたものと思われました。
(単純な8Ωの抵抗でなくコストをかけて8Ωのツイーターを追加している点で、音質の理想を追求されたとも理解できます。)
3
さて、廃車外しのスピーカーが抱える課題ですが、ツイーター以外全て、ウレタン系素材のスピーカーエッジが経年劣化で朽ちていました。触ると崩れます。皆さん悩まれるレガシィ マッキントッシュシステムの持病です。
エッジ材質について、ウレタン系が特に車のドアパネル内のような悪環境で低寿命なのはよく解っている事で、技術者の方々はよく議論されたと思われますが、マッキントッシュ側の意向なのか、新車ファーストオーナー様に最高の音質を提供する事が優先されたのだと妄想します。
ごもっともな選択だと思います。私のような7年落ち中古オーナーが聴いていたマッキントッシュは、実は新車時とは少し違う音だったのかもしれません。。
とにかく、エッジ張り替えは必須なので、頑張ってトライしていきます。
4
ここからは各スピーカー個別で、パッシブネットワークなどの詳細を見ていこうと思います。
まずはウーファーです。ローパスも何もなくフルレンジでの接続でした。というより、その先でスコーカーに直列接続されるため、ローパスは入れられないという事だと思われます。
(ローパスを入れるとスコーカーの中高域がしぬため)
一般的な3wayではスコーカーが最も重要ですが、このシステムではウーファーがかなり重要な役割を担っているようです。
そして、これ、限られたコストの中でとてもいい造りをしてると感じました。フレームこそ高級機のようなアルミダイキャストではなく鉄板プレスですが、剛性感はしっかりとありますし、フェライトマグネットはずっしりと重く磁力も強力です。ウレタンエッジこそ頼りないですが、PPの振動板はペーパーを思わせるような拘った造りになっていて、良い音を出しそうです。
製造はマレーシアでした。
5
続いてスコーカーです。こちらも製造はマレーシアで、振動板サイズに匹敵するほどの大きなマグネットで、いい造りをしています。
パッシブネットワークは6.8μFの電解コンデンサが直列に1つだけでした。8Ωなので4kHzのハイパスでスロープは-6dB/octです。
(電解コンデンサの容量をテスターで測ったところ7.2μF、7.4μFとなっており経年劣化があるようです。フィルムコンデンサに交換したいと思います。)
スコーカーは600〜1.2kHzくらいのハイパスとして主要な帯域を持たせるのが一般的だと思うので、割と立派なサイズのスコーカーの割に低クロスツイーター並みの高いカットオフに少し驚きました。フルレンジのウーファーとの重なりを極力避けるため高いカットオフなったのだと想像します。
それが結果として、スコーカーに無理をさせない高めのハイパスとする事で、振動板のストローク量が極力抑えられて、高域側の解像度や美しさが生まれ、それがこのシステムの評価に繋がっているのかも知れません。
現代的なマルチシステムや高価なバイアンプシステムとすれば3wayの構築も単純ですが、十数万円のメーカーオプションとしてのコスト制約のもと、1chで複数個のスピーカーを駆動させる事で生じるインピーダンス合成やカットオフポイントの制限の中、普通には無い発想でシステムが上手くまとめ上げられており、大変興味深いシステムで大いに感心させられました。
ショップの100万円のシステムよりも音が良い!との声も少なくなく、純正オーディオの中でも評価の高いこのシステムですが、それは、物量がモノを言うオーディオの世界において、スバルとマッキントッシュの技術者の「腕(=設計、調整)」によるところが大きいのでしょう。ガチなプロの仕事だと思いました。
6
続いてツイーターです。こちらは中国製造でした。
2つとも同じ電解コンデンサが直列に1つづ付いていました。容量の表示がなかったためテスターで測ったところ1μFでした。カットオフ周波数20kHzのスロープ-6dB/octです。
ツイーターは6k〜12kHzくらいが一般的だと思うので、こちらも想像以上に高くスーパーツイーターと言えるカットオフでした。前述のスコーカーの高域の減衰に対応させたものと思われます。
1ch多スピーカー接続でのインピーダンス合成のため追加されたと思われるツインツイーターですが、高いカットオフで損なわれてしまう高域の量感みたいなものが、ツイン化で丁度補われる効果もあると想像します。
ただ、スピーカーの製造国や造り、高すぎるカットオフ周波数を見て感じましたが、このシステムの主役はやはりウーファーとスコーカーなのだと思います。
7
フロントから変わって次はリアスピーカーです。こちらも中国製造でした。
リアはシンプルで、左右2ch出力がそれぞれコアキシャル式スピーカーに接続される構成です。
よくある市販のコアキシャルスピーカーはフェイズプラグの位置からツイーターが反り立っていますが、このシステムでは樹脂製のフレームにツイーターが固定されています。
位相特性が悪くなりそうですが、どうせリアシートの足下に設置されるものなので大きな影響はないと思われます。
しかし、フロントのウーファーやスコーカーと比べると、やはり造りが劣っているのを感じます。このシステムは運転席、助手席に最高の音響を創るもので、後部座席はあくまで補機的な扱いなのだと思わされます。レガシィはドライバーズカーなので、ごもっともだと思います。
8
最後にサブウーファーです。こちらは製造国の表示はありませんでした。と思ったらフレームの目立たないところにマレーシアとありました。
サブウーファーは、シンプルにパワーアンプのサブウーファー出力に接続されます。パッシブネットワークは無いので、ヘッドユニットの方でデジタルで(あるいはパワーアンプ?)ローパスがかけられているのだと思われます。
1ch多スピーカー接続となっているこのシステムのスピーカーは基本的に8Ωですが、サブウーファーだけは4Ωとなっていました。12V電源でサブウーファーを駆動するには流石に電流が必要で4Ωの選定となったと思われます。
4Ωでサブウーファーを駆動できる事から、このシステムのパワーアンプはそれほどヤワではないと思われます。
レガシィのマッキントッシュシステムについて、スピーカーの構成を改めてじっくりと見て考えてみましたが、一般的なセオリーとは違う独特な構成になっていて大変勉強になりました。
新車の音をホーム環境で再現できるよう、コツコツとスピーカー補修を頑張っていきたいと思います。
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