マニアックなネタながらも地味に続けているブログ、”LCV(Light Commercial Vehicle=いわゆる小型商用車)が好き”シリーズ。
欧州からの”気になる商用車ネタ”を見つけては書き続けている記念すべき第20回目は、節目に定番の欧州でのマーケットシェアを元にしたベストセラーをピックアップしたいと思います。
過去第10回目の節目でベストセラーをピックアップしたのは2017年3月でした。
(データは2015-16年のICCTまとめから引用)
その時はフォードトランジットが圧倒的なシェア(12.5%)にてダントツの第1位、続けてメルセデススプリンター(5.4%)、フィアットデュカート(4.9%)、シトロエンベルランゴ、ルノーカングーというランキングでした。
果たしてあれから5年、ステランティスの誕生など業界再編も行われている中で、果たしてモデル別のLCVマーケットは変化があるのでしょうか。
早速、同じICCTの2020-21年データを元に探ってみましょう!
まず第1位は、やっぱりLCVの王様フォードトランジットです。
欧州マーケットシェアはなんと13.2%と5年前よりもさらに伸びています。フルゴネットから中型まで様々なボディタイプによるバリエーションの多さがまずは選択肢として優れていることが、コロナ禍におけるデリバリー需要に応えているということでしょうか。
次に第2位、こちらも5年前と変わらずのメルセデススプリンターです。
欧州シェアは約5.8%、しっかりとマーケットを維持し続けています。
前回からの期間にてフルモデルチェンジを遂げたスリーポインテッドスターの大型商用車は、やはり信頼性と使い勝手の良さが支持されているということでしょうかね。
さて3位からは少し変動がある興味深い展開。
次にランクインされたのが、ルノーカングーです。
調査データは新型登場の境目のものとなるので、シェアの伸びは新型効果というわけではないと考察しますが、やはりオンライン販売が台頭する中でのラスト1マイル(家庭や職場にデリバリーする最終キャリヤ)を担う小型商用車の代表格として支持されているのでしょうね。
続く4位は、こちらもルノーから、大型モデルのマスターです。
5年前はシェアトップ10圏外だったモデルですが、メルセデススプリンターを追うようにシェア(4.5%)を伸ばしているようです。
第5位は欧州シェア4.0%にて2台のモデルが挙がっています。
1台目はVWトランスポルタです。
フォードトランジットに並んで売れて当然と思いがちなVWのデリバリーバンですが、実は欧州全体ではそんなに浸透している訳ではありません。
前回の2016年データだとようやくトップ10に入るような状態でしたが、絶妙なT6.1に進化したことがランキングを押し上げる結果となったのでしょうか。
そして同率5位となるのがフィアットデュカートです。
前回2016年はトランジット、スプリンターに続く3位にてシェア4.6%でしたが、今回のデータでは4.0%と落としています。
車格的には完全にルノーマスターに代替されているという構図になるのかと思いますが、その要因はなんでしょう?
なかなか商用車の欧州でのマーケット状況を調べるのはここ日本からでは骨の折れることではありますが、こうしてファクトから見る分には、カングー、マスター、そして6位に入ったトラフィック(3.9%)と、ルノーのLCV戦略には何か秘訣があるようです。
もしかしたら電動化(Z.Eモデルの導入)が効き目あるのかもしれませんね。
そうそう、もうひとつのトピックは我らがシトロエン のLCV動向。
2016年時点でシェア4位にてカングーとのフルゴネットバンクラスでの直接的シェア争いを制していたシトロエンベルランゴですが、2020年は第9位にてシェアも-1.2%と落としています。
こちらもルノーが制したことになり、やはりルノーには何か効果的な拡販要素があった事が想像できますね。
ということで、20回記念の欧州LCVランキング、いかがでしたか?
陸路での移動が重視される欧州においては、乗用車と同じくらい商用車も活躍し、マーケットにおいても確立した存在です。
さらには電動化のニーズを受けて乗用車陣よりもラインナップ的にはこちらのLCVのほうが充実しつつあるだけに、ますますマーケットは賑やかになってゆくものかと思います。
(欧州LCVの電動化花盛りについては過去の"LCVが好き"を読んでください)
一方で私たちの住む日本では相変わらずハイエース1強にて、他には登録車がNV350、NV200、そして軽バンのラインナップと相変わらずな感じで面白みありません。
せめてディストリビューターとして力のあるメルセデスやVWが商用車領域に参入するとかあればいいのに…なんて叶わぬ期待をしてしまいます。
まあ日本はともかく、やっぱり気になるのはヨーロッパの動向。
今は欧州を旅することがなかなかできなくなってしまい直に見聞する事ができなくなりましたが、やっぱり実はLCV好きとして、これからもウォッチしていきたいと思います。