2013年09月26日
車はどこまで欠陥か?
5年前にアメリカでトヨタのリコール報道が大変加熱し、ここぞとばかりトヨタバッシングに精を出すとともに、アメリカでは、GMやフォードが、トヨタ車からの乗り換えに補助金を出すなど、携帯電話みたいな商法で、シェア回復を図ったことがありました。
それでは、実際車が暴走するのか、ブレーキの利きが悪くなることがあるのか、私自身いくつか経験をしたことをお話ししてみたいと思います。
最初に、車が勝手に暴走するか、ですが、欠陥でなく起こった事例について触れてみます。
クルーズコントロールが登場した初期に散見された事例ですが、そもそもクルーズコントロール、セットした速度を自動的に保つためのものなのですが、盲点として、停止状態でセットした場合どうなるかです。
これ、疑問に思ったので、初代のソアラと2代目フェアレディーで試してみたことがありますが、セットした速度まで猛然とダッシュしました。
ただ、この例、結果を予想して試してみたからダッシュしたわけで、ブレーキを踏んだり、所定の操作をすればその時点でリセットされますから、何もしないでそのまま暴走させるのは余程のアホか、パニックに陥ってアクセルを踏んだかだと思います。
むしろ、最近よく起こっているのは、お年寄りがブレーキとアクセルと踏み間違える例で、これは、車には罪がありません。
しかし、運転歴41年超、走行80万キロを超え、アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリスでも運転した経験のあるベテランの私ですら、10年に1回ぐらい踏み間違えることがあります。
冷静に、ああ、自分でもこんなミスをするんだと自覚しましたから大事には至りませんでしたが、普通の人はブレーキと信じて踏んでいるわけで、たいていの例は、焦ってさらに踏み込んでしまうようです。
お年寄りだからぼけたんだでは済みませんから、自戒する必要はあるでしょう。
トヨタで問題となったフロアマットですが、これこそ言いがかりみたいなもので、備え付けのマットの上に分厚いマットを重ねて突っ込めば、ペダルに干渉することぐらい、自明の理です。
それでも問題になっただけ、アメリカでは重ねる人が多かったのですが、私自身の経験としては、純正マットの上に、雨でも大丈夫とのうたい文句の水を通さないビニールマットで、四方が立ち上がっているものを敷いたところ、アクセルが十分踏み込めなくなったことと、ブレーキペダルにも干渉して効きが悪くなったことがありました。
当然、即刻原因解明を図って対処しました。
この辺、自分で対処せずに人の責任にするのがアメリカ流と言えます。
大体、トヨタはまじめにリコールしていますが、GMにしてもフォードにしても、もっとひどい欠陥が発見されてもリコールしていないのが実態で、トヨタだけが叩かれるのは、半分やっかみなのでしょう。
面白いにはベンツで、以前Cクラスステーションワゴンで経験したのですが、後輪のディスクブレーキの金具の形状に問題があり、ダストがつまってブレーキを引きずる欠陥があったにもかかわらず、勝手に改良して済ませ、現オーナーはおろかディーラーにさえ知らせなかったのです。
私、たまたまどうも後輪がひきずるような気がしたのでヤナセに持ち込んだらこのことが判明したのですが、ヤナセのサービスマンですら、本国に問い合わせて初めて知ったというのですから、無責任です。
欠陥とは言い切れませんが、特殊な例としては、足の大きな人が、ブレーキとアクセルペダルの間に足を挟んで、両方のべダルを思いっきり踏み込んだ状態になることがあります。
これ、足自体は26.5センチながら、幅が広い私の息子に当時妻の車だったBMW318を運転させたら起こった事故で、幸い助手席に座っていたのが私だったので、即座にシフトをNに入れるとともに、エンジンを切らせて事なきを得ました。
息子は、自分ひとりだったら何が起こったかわからないでパニックに陥って暴走したかもしれないと怖がっていましたが、欠陥のないと思われる車でも、暴走する要因はあるわけです。
その後、ニュー・プリウスのブレーキの効きが悪いとの記事がありましたが、同車種をレンタカーで乗った経験から言うと、回生ブレーキの取り扱いミスだと思います。
プリウス、ブレーキのエナジーも電気に変えて有効に回収しようと、本来のディスクブレーキ以外に、モーターを回転させることで、発電し、その負荷がブレーキとして作用する回生ブレーキを搭載しています。
特に、ニュー・プリウスのブレーキと回生ブレーキ間の協調制御の素晴らしさは、流石は日本のトヨタ、おそらく他のメーカーではここまで見事に制御はできなかったであろうと思うレベルです。
しかし、報道では滑りやすい路面で効かなかったとされていましたが、私自身、回生ブレーキのみを作動させていた局面で、マンホールの上を通過したら、突然滑りやすい(低ミューといいます)路面となったせいか、スポンと回生ブレーキが抜けたことがありました。
路面の摩擦が少なくなり、回生モーターにかかる負荷も弱まったため、作動が停止しただけで、それをブレーキのせいにするのは間違いで、ちゃんとブレーキを踏んでやれば、ディスクブレーキが作動して止まってくれますから、なんということもないはずなのです。
しかし、プリウスに乗るような人ですから、妙にエコ意識を発揮して、回生ブレーキを有効に使って発電させようとブレーキを弱く踏む癖がついていると、低ミュー路面では止まらない感覚になってしまったのではないかと解釈しました。
このことは、私自身レンタカーでも実感しましたが、車の責任なのでしょうか。
踏めば止まりますし、人為的ミスでしかないと思ったのですが。
最近の車には、ABSが進化して、VCS(ヴィイクル・コントロール・システム)ともいうべき、アクセル、ブレーキ共働制御の姿勢安定システムを搭載したものが多くなってきました。
なんじゃそれはと言われそうですが、簡単に言えば、雪道等の低ミュー路でも、スリップしにくく、スピンしにくくさせるためのシステムなのです。
ABS同様ドイツのボッシュ社が開発しているものが有名なのですが、確かにこのシステムを搭載したBMWで、左右のミューの全く違う路面を走ると、オフにすると見事にスピンするのに、オンにすると何事もなかったかのように直進してくれます。(ボッシュの技術者に同乗させてもらって実際にスピンする体験をさせてもらいましたが、見事でした。)
じゃあ、雪道でも大丈夫かといえば大きな間違いで、私、同じシステムを搭載したBMWで見事にスピンした経験があります。
所詮、タイヤに摩擦がある範囲で制御するだけで、完全な凍結路面で摩擦が確保されなくなったら、いくら制御しても効果はなく、慣性の法則にしたがって車は進んでしまうわけです。
ちなみに、その時何が役立ったかと言えば、純粋なテクニックでした。
制御不能になってスピンしつつ、谷に落ちるか、山に突っ込むかの究極の選択で、山にノーズを向けつつ、思い切り逆ハンを切って立て直したら、なんと後ろ向きになった状態で50メートルぐらい走りつつ、ガガガッとABSも目一杯作動して、どこにもぶつからずに止まってくれたのです。
私は、免許取り立て2年間で、よくぞ死ななかった、それ以上によくぞ大きな事故にならなかったと自分の幸運を呆れるぐらい無茶な運転をして、極限状態で車をコントロールできるテクニックを磨いており、BMWの好意で参加させてもらえたドライバー・トレーニングでも優等生だったのですが、時としてそんなテクニックが必要になることを実証してしまったわけです。
車に責任をなすりつけるよりも先に、毎日始業点検しろとまでは言いませんが、自分の車の状態は把握しましょう。
そして、自分のテクニックを再確認しましょう。
私自身、もうこんなテクニックが必要となる運転自体をしないようにしています。
少なくとも、ブレーキを思い切り踏める訓練ぐらいはしておくべきです。
ちなみに、一度ボルボに試乗してみたら、セールスマンにどうぞ急ブレーキを踏んでみてくださいと言われたのですが、公道でやることではないので、遠慮させていただきました。
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Posted at
2013/09/26 14:09:28
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