ブルーバード 910型(1979)
1960年代に「510」で輝きを放ったニッサンの“青い鳥”は、その後、さしたるヒット作を作ることができずに低迷を繰り返す。1970年代にはサニーに加えて、さらに“中間機種”のバイオレットが自社ブランドとして出現。それもあってか、ブルーバードは単なる中級車を超えようと、豊かさや豪華さをテーマにクルマ作りをした。
ただ、バイオレットもそうだったが、その際に用いられた曲面多用のデザインがいまひとつ冴えず、また、さして長くない全長でそれを行なうと、厚化粧の印象だけが際立ってしまうことがある。さらには、ライバル・メーカーによるコロナとコロナ・マークⅡの両面作戦に惑わされていたかもしれない。
そんな“混迷の70年代”を過ごしたブルーバードだが、ようやく1980年を目前にして、迷いを吹っ切ったような新型車を呈示。デザインは曲面から直線構成へ。ミドルクラス車としての原点、エンジンは4気筒のみに。マークⅡのことはローレルに任せて、豪華さよりも“ブル”としてのクリアさやスポーツ性を重視。それが6代目として登場したブルーバードの「910」系だった。
果たして、このモデルは販売面でも大成功。かつての「510」を思わせる直線&水平のシャープな造形をマーケットは好感とともに受け入れ、この「910」は、ブルーバードの歴史に残るヒット作となる。
この「910」は、ブルーバードとしては最後の「FR車」。以後のモデルでは同車はFF化され、さらには、それをベースにフルタイム4WD仕様が加わる。その4WD車はラリー・フィールドでも活躍し、1980~90年代のブルーバードは、ミドルサイズ・スポーツ車として確固たる地位を築いた。そんな同車の歴史は、やはり、この「910」の成功がその基盤となったものだ。
(ホリデーオートBG 2000年3月より加筆修整)
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00年代こんなコラムを | 日記
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2016/10/21 16:51:05