・私がなぜ４５６GTを買ったのか・ボンネット/バンパー

４５６のボンネットはハニカムコンポジット製です。
これは、普通ではあり得ません。
超大変ですから。
しかも超大型！！
おおよそ２ｍ×２ｍ
バカでかいです。
しかも、これを作るのはものすごい大変なのです。
その辺のアフター物のカーボンボンネットや、RTM製法のカーボンと同じにしてもらっては困ります。
こいつはF1レベルなのです。
このボンネットを整形するにはまず金型（これもコンポジット材。なぜなら伸縮率を製品と同じにしないといけないから）にプリプレグファイバー材を貼り込み、これを何層も方向を変えながら行い、その上にアラミド繊維を貼り、その上にノーメックスハニカムを貼り込み、そのまた上にまらアラミドを貼って、ファイバーを貼って、その上にビニールバッグを型とバッグの間を年度で留めながら貼って、ホースを繋いでポンプで真空状態になるまで吸引し（これにより余分な樹脂を抜き取り究極的に軽量化と高剛性化する）そのままの状態でこの巨大なボンネットが入るオートクレーブ（圧力釜）に搬入し、加圧しながら加温し、数時間硬化させ、固まったらバッグを取り型から脱型し、バリを取って、仕上げをして、塗装をする。
ハッキリ言って量産で採用するものじゃありません。
釜も完全にF1用です。

この製法のちょっと簡単にしたやつで車を作ってるパガーニなんて億します。

そして、ただのFRPだと思われているバンパーもただのバンパーではありません。
このバンパーの中もハニカムが入っていて表と裏の二重構造になっているのです。
この手法はポルシェの９５６/９６２のボディーパーツで使われた手法です。
これにより厚みがあるので、剛性があるのに軽量なカウルを製作することができたのです。
ポルシェではレーシングカーに使う製造方法を量産ロードカーに採用している訳です。
生産数が少ないからできる事ですが、他のメーカーからしたら正気の沙汰じゃありません。

こんな手間と技術が詰まったバンパーやボンネットなんて、４５６以外ではあり得ません。
フェラーリもイヤになったらしく、４５６以外ではこの製法は全く使われていません。