寂夜onBP3.0Rのブログ一覧

愛車セカンドカーのR1-Rを売却しました。18年落ち・13万km走行の軽自動車です。一般には「中古車は年式と走行距離で価格が決まる。また10万km超の軽は買うな。」と言われているけど、実際はどうだったのかの実録記録です。



クルマはスバル最後の軽乗用車（R2、R1、ステラ）の中のR1。グレードは「R」でNA・DOHC16バルブ・FF。Gooネット中古車で見ると売値(総額)は17～75万円。お店の利益(人件費・店舗代・場所代・車検代・・・)を20万と考えれば、買取価格は0～55万円。但し、走行13万km以上だと販売17～40万円となって買取0～20万円となる。そこで軽く一括買取サイトに出したら(サイト利益・査定員費用・業者オークション費用を引かれるので)1～5万円でした。



そんな価値と言われるのは心外です。R1は、同じアンドレアス・ザパティナスがデザインした、アルファロメオ147を踏襲したリアデザイン。リアコンビネーションランプやリアガラス＆ゲート、インパネや全体のデザインフィールなど、アルファロメオ147の二人乗り軽自動車版と言った車種。荷室底が高く積載量は少ないが、前席から荷室に置いた旅行鞄を無理なく開けられる等々、汎用性には目もくれず、スペシャリティに徹したイタリアン・デザインの作品です。



アルファロメオ147もNA-4気筒-DOHC-16バルブの、良く回り音質の良いエンジンでツインスパーク、対してR1はツインスパークの代わりにポルシェ・バリオカムプラス型の高性能カムを採用したNA-4気筒-DOHC-16バルブのEN07D型エンジンです。当初の「R」モノグレードだったのも、名門・アルファロメオの伝統を正当に受け継いだ結果だったと想像します。この美しい造形には私的には武骨で品位に欠ける「S」のエアインテークは似合わないと思います。
https://www.kahan-design.com/automotive-design/cardesign/michelin/023/index.html



そんなR1-Rですが、私は4年前に街の中古車屋で9万km・車検2年付・25万円で買い、すぐディーラーに持ち込み、ディーラー管理車として10万kmリフレッシュメンテナンス・タペット調整・ブッシュ類交換等々で120万円掛けて「初期状態に近い状態」に維持して来ました。車高調サスやローダウン、社外ホイール、社外オーディオヘッドなど一切無しで、メーカーオプションとディーラーオプション（ストラットタワバーとトランクバー）だけの無改造・純正車です。（エンジンルームは手付かず。スピーカー交換＋サブウーハー設置、外付けナビ設置、上質な革製シートカバー設置は行っています。）



そのお陰か、私のR1-Rの質感は高く、良く走り・良く曲がり・安定で・路面からの衝撃も割と上手くいなします。アイドリングではほぼ無音・無振動、低速域では若干堅めですが静か、70km/hくらいからの乗り味が楽しく、高速域ではDOHCサウンドが心地よく、110km/hからの加速は遅いですが140km/hでも安定性が損なわれないのには驚かされます。高速道路の120km/h巡行に何のストレスもありません。軽規格以下の短い車長はドライバーを車の中心に座らせ、自分を軸にしてコーナーを回る独特の感覚と、細くくねった林道でも難なく分け入って行く機動性が有ります。



そこでこのR1-Rはヤフオクに出展する事にしました。ヤフオクでの車両出典は他の商品とはルールが異なり、出品料4,000円と落札料4,000円が掛かりますが、支払いはYahooかんたん決済だけでなく銀行振込や現金なども使えます。落札者削除・早期終了の権利もあり、メッセージ版取引ナビで落札者との意思疎通も長く出来ます。私はこれらの権利を行使して「最高額入札者＝落札者とはしません。質問欄に投稿頂く、現在の愛車とR1-R入手後の維持管理方法を評価させて頂きます。」と商品説明に記載し、私のR1-Rを大事に飼って頂ける方にお譲りしたいと考えました。むろんディーラー整備してきた内容等を明記して、開始価格は19.8万円、即決価格なし、最低落札価格なしでの出展です。



その結果、アクセス数7125回、ウォッチリスト登録187名、質問42件、入札107件となり、既にR1をお持ち方には「このR1-Rをお買いになるより、既にお持ちのR1をリフレッシュメンテナンスして頂いた方が、日本に程度の良いR1が1台増えるので嬉しいです。」と申し上げ、入手後の維持管理を投稿されなかった最高入札者様と次点入札者様を削除し、入札順位3位の方に36万円でお譲りする事になりました。掛けて来た維持費の1/3にも満たない額ですが、シボレー・トレイルブレイザー4.2Lを20年間維持されて来たクルマを愛する事が出来る方に、私のR1-Rの今後を託すことができました。引渡し前に当方負担でガラスコーティングを掛け、ディーラーにお願いして「お嫁入り整備」（ロアアームブッシュとデフシール新品交換、機構部スチーム洗浄と下廻り防錆処理）をして貰い、私の娘R1-Rは一番綺麗な姿で嫁いで行きました。



ヤフオク出展への質問と回答では（初めは金額に関するものもありましたが）、この子に興味を持ち惹かれて、今の愛車への想いやこの子の整備方針に関して、とても真摯なやり取りが出来ました。10台以上維持されていてR1も既に2台お持ちで程度極上車を探されてる方、フェラーリをお持ちでR1も1台お持ちの方、沖縄までのフェリー代を負担しても欲しい方、VivioRX-R S1をずっと維持されてきて他責事故で無くされた方、イタリア車ばかり乗り継がれていて軽ではR1しか買いたくない方・・・。R1を10台以上試乗された方を含め現車確認・試乗された3名様は皆「期待以上です、すぐ売ってください」「 これだけ手を入れられたR1は滅多にないと思います、今までで一番状態が良い」「 大変すばらしいいR1に触れさせていただき感謝します」と言って頂きました。本当にクルマを愛し「買う」ではなく「飼う」意識をお持ちの方とやり取りが出来て、素敵な体験をさせて頂きました。まだまだ日本には年式や走行距離ではなく、そのクルマをどれだけ大事に飼ってきたかを見られる方々がいらっしゃる事を知り、嬉しく思います。



今回のヤフオク出展で感じた事は、(1)中古車店での特徴説明に多い「車高調、ローダウン、社外マフラー、社外ハンドル、社外ナビ」等の改造を好まず、純正・無改造のR1-Rを求める方が多い事。(2)現車確認・試乗されずに入札される方が多いが、本気で落札したい方はやはり現車確認・試乗に来られる事。(3)既にR1を所有されていて、それをリフレッシュメンテナンスするか、程度極上のR1を買い増すかで考える方も多い事。(4)下廻りやオイル管理(私は4,000km毎にディーラーで純正オイルに交換)を気にされる事。(5)オリジナルデザインを壊さぬよう純正最終型オーディオヘッド＋ダッシュ上ナビが好評だった事。です。



また、リフレッシュメンテナンス前のR1-Rで現車確認・試乗に来られた方のR1-Rにご厚意で試乗させて頂きましたが、私のリフレッシュメンテナンス済R1-Rとは次の点が違いました。未リフレッシュメンテナンス車は、(1)アイドリング時のエンジンが煩く振動も多い。(2)中低速でのトルクが薄い(最高出力は差を感じない)。(3)ハンドリングが緩く少しグニャとする。(4)コーナーでのライントレースの挙動が違う。(5)路面の継ぎ目でのショックが大きく収束も遅い。(6)キツメの車線変更での揺れ収束が遅い。(7)クルマの剛性感は変わらず高い。でした。
以前、R2ですが車高調サスに変えられ・ローダウンされたクルマにも乗せて貰いましたが、ロールの少なさや回頭性は良いものの、路面荒れ・ギャップ通過時のショック過多、しなやかにいなすフィーリングの消失などで、私の好みではありませんでした。やはり純正・無改造・リフレッシュメンテナンスはクルマのトータルとしてのバランスに優れているように感じます。



2024年3月4日に新オーナー様とアルファロメオ・オーナーがオーナーシェフを務めるイタリアン・レストラン「ドルチェヴィータ」で会食（美味しく綺麗なおまかせランチ・コースが2,700円で食せます）し、ひと時のクルマ談義の後で書類一式とキーをお渡しし、我が娘「R1-R」は、「大切にします」とのお約束を頂き、新オーナー様との新生活に入って行きました。新オーナー様とこの子の未来に幸多かれと祈ります。