
おまたせしました、
続きです!

滑り易い一枚岩のトラーバースを慎重にクリヤーしていよいよジャンダルムへの登攀を開始します。

かなりの岩の急斜面ではありますが、ここまでクリヤーしてきた斜面に比べたら難易度的には普通のレベルです。

手足を使い急斜面を登り切ると、正面にはあの見覚えのある物が視界に入ってきます。

薄らガスに霞むジャンダルムの天使さんです!

9:45
標高3,163m
ジャンダルム登頂!
ついに登頂する事が出来ました、昨年9月の奥穂高山頂から見たこのジャンダルム、
絶対に登頂するぞ!と誓って約1年毎日欠かさず今日の日のためにトレーニングを行ってきました。
長かったようで、早かったようで・・
そして今日、その念願叶い無事に登頂する事が出来ました!
そもそも、ジャンダルムって何?山の名前しにては変な名前・・って思われている方がほとんどだと思いますので下に名前の由来を載せときますね。
「gendarmeはフランス語で憲兵の意。主峰を守るかのように山稜上に立ちはだかる塔状の岩峰をいう。日本では穂高岳(奥穂高岳)のジャンダルム,劔岳(つるぎだけ)三ノ窓チンネのジャンダルムが有名。」
(株式会社平凡社百科事典マイペディアより)
そんなジャンダルムですが、今回は全くガス(雲)に閉ざされて全貌を伺い知ることが出来無いので昨年の9月に私が奥穂高岳山頂から私が撮った画像を幾つか載せておきますね。

画像中央のこんもり丸いドーム型のピークがジャンダルムです。

遙か遠く雲海から少し頭を出しているのが御岳山
次に大きく裾野を広げている山が乗鞍岳
そしてその手前にある頂上が茶色い山が活火山の焼岳
焼岳から手前に向かって高度を上げてくる緑色の稜線が西穂高岳からこちらまで繋がっている縦走路のある稜線です。
今回はそのルートを進んで来ました。
この画像を見るとかなりの標高差があるとが分かりますね。
しかもその間何度も登り下りを繰り返しているので累積高度(トータルの登り高度)はかなりの物だと思います。

中央のこんもりしたピークがジャンダルム。

望遠での画像。
ピークに立つジャンダルムの天使さんが陽の光に照らされているのが分かります。
次はこのように晴れ渡った時に登頂したいな・・・
以上、昨年9月のジャンダルムの画像でした。

で、現在のジャンダルム山頂に戻ります・・・
比較的平らな山頂は何人かは同時に腰を下ろしてゆっくり出来るスペースはあります。
私もこんな天候で無ければ、ザック下ろして景色眺めながら登頂の達成感に浸りたい所ですが残念ながら、雨が体を濡らしています。
これ以上強い雨になってきても嫌だし、これからもまだ奥穂高岳山頂に到達する間で難所と言われる箇所が2カ所あります。
ロバの耳、馬の背・・
なんか名前は優しい感じですがね・・・
そんな状況なので写真撮って手早くSNSにアップだけしてすぐさま下山します。

ジャンダルムと奥穂高岳との分岐のある縦走に戻って来ました。
最終目的地の奥穂高岳へ向かう為、目の前の岩壁に取り付けられた鎖を頼りに滑り易い岩の壁を登って行きます。

ジャンダルムの信州側の袂をトラバースして、進んでいきます。
危なっかしい岩のやせ尾根ルートが続きます。

・・・う~ん・・
この画像、登りなのか下りなのか・・
記憶が・・
無い・・・汗
この辺りになってくると早く雨の当たらないところで休憩したい一心で歩いていました。

この鎖場も結構難易度が高かった覚えがあります。
この辺りがロバの耳と言われるとことなのかな?
この鎖場以外でもこの付近の下りで「何故ここに鎖がない?!」って言うようなハイレベルな降下箇所があった記憶があります・・・、
が、そんな所はもう写真も撮る余裕無く、夢中で下っていました、本当に命の危険を感じる様なところがあるのですよ、大袈裟じゃ無くね・・

そんな、寿命が縮まる様な思いをしながら一歩一歩歩みを進めると・・
目の前に恐ろしく尖って天に伸びていく峰が微かにガスの中から姿を表します。
来たぞ・・・・
心の中でそうつぶやきます・・・
あの尖った峰のてっぺんまであの細~い岩の急斜面を登るのです。
通称「馬の背」
って奴ですね・・・
この西穂から奥穂の縦走路のボスキャラです。
ここを越えなければ奥穂高岳山頂にはたどり着けません。

馬の背へ恐る恐る近づいていきます。

鋭利に尖った尾根の岩壁にペンキで書かれた「ウマノセ」の文字・・・

矢印書いてありますが、登山道はどこですか?
まさか・・汗
はい、その「まさか!」なのです。
およそ人が歩けるルートが存在するとは思えない光景目の前に広がります。
あそこを歩けるのは日本カモシカか翼のある鳥類しかあり得ないような岩壁です。
そんな、絶壁にいよいよ手を掛けてよじ登っていきます。
・・・・・
・・・・・

馬の背一番の危険地帯は通り抜けて安定して立つことの出来る場所まで登って来ました。
上の画像は登って来た馬の背を振り返って撮った画像です。
さすがに馬の背の核心部で写真撮影をする余裕はありませんでした・・(^^;)
本当はSONYのウェアラブルカメラを持ってきてはいたのですが、この雨とガスの
中ではわざわざザックから出して撮影する気になれませんでした・・
って事でなんとか無事馬の背をクリヤーして奥穂高岳山頂へ向かいます。

馬の背の核心部をクリヤーしてもまだまだ気の抜けないやせた岩の稜線が続きます。
ガスのおかげで先の見通しが利かない中を進んで行きます。
「いったい何処までこの不安定で危険なルートが続くんだ・・?」
そんな出口の見えないルートを不安な気持ち一杯で進みます。

ルートは少し歩きやすい感じになってきました。

やっと奥穂高岳の山頂が見えてきました。

見覚えのある山頂の祠が見えてきましたよ~!

ついに来ました~!
10:45
標高3192m
奥穂高岳登頂です!
西穂高山荘を3:30に出発して約7時間15分、ゴールの奥穂高岳まで無事歩き
通すことが出来ました。
漆黒の暗闇の中の独標までのルート、幾度か歩いたことのある西穂高岳までのルートも濡れた岩、見通しの利かない濃いガス・・
西穂高岳からは濃いガスに加え時折振ってくる小雨と濡れた岩、崩落した危険な岩場の通過・・
ジャンダルム山頂からは雨も本降りに変わり、ロバの耳、馬の背、の通過は本当に命がけという表現がぴったりな感じでした・・

誰も居ない奥穂高岳山頂から今来たジャンダルム方面を振り返って眺めて見ます。
全く展望はありませんね。
あのガスの中から人が歩いてくることも想像出来ません・・
我ながら良く無事にここまで歩いてこられたものだと感心します・・・

写真だけ撮ったらすぐに奥穂高岳山頂から本日宿泊予定の穂高岳山荘に向けて歩き始めます。

穂高岳山荘まで約20分。
ここまでの行程で考えたらもう目と鼻の先にある穂高岳山荘。
しかしここから山荘までのルートも気が抜けないルートなのです。
山頂から暫く歩くと「間違い尾根」と名の付く分岐があります。
主に冬場の積雪時によく間違って進んでしまう場所だそう、しかし無雪期でも濃いガスに包まれると方角も見失いやすいので油断は禁物です。
そして最大の難所は山荘を眼下に見ながらのほぼ垂直の絶壁下り。
勿論、鎖や梯子は設置されていますがこの雨の中のです、通常より難易度は上がります。
と言うことで決して油断することなく引き続ききを引き締めて山荘へ向かいます。
ちょっと長くなってきたので続きはVol.6でお伝えします。
続く