水温の上昇に伴い、緊急停止。
「・・・この場所は確か」
ここは所沢街道沿いの、とある脇道。
「こ、こんなことって・・・」
私の背中に冷たいものが走った。
それは7月末、入院している母を見舞いに行った帰り道。
車検も無事終わり、一人、エアコンの効く快適ドライブをしていた時のことである。
夕方過ぎには少し涼しくなってきたので、窓を開けて走行していると、嗅ぎ覚えのある甘い異臭に気付いた。水温系を見ると1時を過ぎたあたりを指しているので、ただちに路肩に停止した。
ボンネットを開けるとリザーバータンク内のLLCが見事に沸騰していた。
「あらら・・」
オーバーヒート(このクルマに乗って3度目)だ。
前回のブログ
(コチラ)でモノが次々に壊れると記したが、まだ続くようだ。
エンジンルーム内を調べると、ウォーターバイパスホース下の付近から冷却水が漏れている。はじめはホースの亀裂かと思ったが、どうやらホースを結合している金具部分(ウォーターポンプインレット)から漏れているようだ。
写真はインテークパイプを外したところ
ここから自宅の武蔵野市までは約10㎞。
漏れている部分をとりあえず何かで塞ぎ、補水しながらで、休み休みであれば何とか家には帰れそうだ。
原因はわかったのでまずは腹ごしらえをし、陽が落ちてもう少し涼しくなってから作業を行うことにした。
幸い近隣にホームセンターがあったので、液体ガスケットとミネラルウォーター(2ℓ)のペットボトルを6本購入。
破損個所にガスケットを塗りたくり、ラジエター内に1.5ℓほど補水して出発。
結構な漏れ具合
ホームセンターの駐車場からすぐのところでまさかの渋滞。
水道工事によるもので、しばらくはまともに動きそうにない。
「さすがにこれは付き合ってられないな」
仕方がないので、とりあえず帰路とは正反対の所沢方面へ向かうことにする。
しばらく走っていると、ある場所で急に水温が上がった。
「マズい!!」
(片側1車線の路肩に停止では他の交通の迷惑になるので)反射的にすぐさま脇道に入れ、緊急停止。
時刻は20時半を少しまわった頃。
ボンネットを開け、煙草に火を付け一息ついた時にふと思った。
!!!
「この場所は・・・」
あれは記憶を遡ること10~15年前の真夏日。
所沢街道を埼玉方面に向かっている際に、奥方様が私より先に異臭に気付いた。
このクルマに乗って初のオーバーヒート(この時はクーリングファンリレーの故障)だった。
みるみるボンネットから白煙が出たので、すぐさま脇道に入り停止したことを思い出した。
それがこの場所だ。
寸分違わぬ、全く同じ場所で緊急停止・・・。
あえて説明すると、私はこの道(所沢街道)を通勤などで常用しているわけではない。ここのところ、母の見舞いにいくことで利用頻度は上がっているが、普段はせいぜい1~2ヶ月に1度くらいのものだ。
また、今回もここで休もうと考えた訳ではなく、条件反射的にこの場所で停止しただけである。まして、工事渋滞がなければ、反対方向のこの場所で停まることは絶対になかったと思う。
想像してみてほしい。
●一生のうちで何度オーバーヒートを経験するか?
●それに伴い緊急停止を何回余儀なくされるか?
●(日本中といわなくとも)首都圏に一体いくつの道があるか?
それらを踏まえて、まったく同じ場所で停止する(というより停まらざるを得ない状況になる)ということを・・・この確率は天文学的な数字になると思う。
これらは理屈ではなく、何か〝見えないチカラ″に呼び寄せられたとしか思えない。
それが災いをもたらすものなのか、救いをもたらすものなのかはわからない、が。
そう考えたら背筋に冷たいものが走った。
そして思った。
「・・あ、安全運転で帰ろう」
休み休み補水しながら、無事に帰宅した頃、時計は22時をまわっていた。
怪異譚(kaiitan=奇妙な話) 終
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NA6 | クルマ
Posted at
2017/07/31 06:49:08