デフ脱着の忘備録(ドラシャのアウト側を外さない場合)
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
中級 |
作業時間 |
3時間以内 |
1
初めてデフキャリアを脱着して失敗と気付きがあったのでメモです。
このメモはドラシャのアウトボード側をハブキャリアから外さないやり方を想定しています。
サービスマニュアルに従ったやり方ではないため、真似される場合は自己責任でお願いします。
2
ドラシャをデフキャリアから外したり、逆にデフキャリアに装着するにあたっては、ハブキャリアが自由に動かせるようになる必要がありました。
私はそのためにラテラルリンクとトレーリングリンクをハブキャリアから切り離し、ラテラルリンクに関しては一番内側のボルトを残して全てのボルト(画像の赤丸のボルト)を全て外しました。
画像は右サスペンションですが、左サスペンションも同様です。左サスペンションに関しては、レベライザーのセンサーの取り外しておくのがよいでしょう。
こうしておくことで、ドラシャをデフキャリアから外す時にも、逆にドラシャをデフキャリアに取り付けるときにも、ハブキャリアをどこにも干渉させずにスムーズに作業できるようになります。
これは特にドラシャをデフキャリアへ取り付けるときに重要で、取り付けの際にドラシャのインボード側のスプラインについているCリングのテンションを押し切るために力が必要になるのですが、車の横からハブキャリアごと押し込めればラクに押し切ることができます。
例えばドラシャのシャフト部分を直接持って押し込むようなやり方の場合、Cリングのテンションを押し切るにはスペースの都合もあり困難を伴うでしょう。
3
次に、ドラシャのインボード側の先端のCリングの結合を解除します。
(この作業をスキップしてもデフキャリアからドラシャを外せなくもありませんが、その場合はジョイント内部を痛めたり、最悪の場合はいわゆる脱臼を起こす恐れがあると思いますので、スキップはおすすめしません。)
画像の赤矢印の起点にある溝にSSTまたはそれに似た機能を有するもの(バールやタイヤレバー、大きなマイナスドライバー等)を当てがい、矢印の先へ、車の水平方向に真っ直ぐに力がかかるようにハンマーで力を加えることで解除します。
ただしこの溝は浅いため、タイヤレバーなどでは上手く引っ掛かからず滑ってしまいがちだと思います。上手く引っかからない場合は青線で示しているところに引っ掛けてもよいと思いますが、その場合はダストカバー(青線のすぐ左に見える銀色のパーツ)を破損させないように注意が必要です。ダストカバーは柔らかいアルミ合金のようで、ちょっとした入力で簡単に変形してしまいます。
最初は力加減がわからず躊躇しましたが、Cリングが抜けまいとテンションをかけているため、割とガッと力を加えてやる必要がありました。
Cリングの結合を解除できれば、あとは手の力で優しくドラシャを引き出せるようになります。無駄にハンマーで叩き続けるとドラシャが痛むだけで意味がないため、Cリングの結合が解除されたのを見極めるのが地味に大切だと思います。
4
デフキャリアからドラシャを抜き出すためには、ハブキャリアを車の外側・上側へ持ち上げる必要があります。
サイドシールを再利用するつもりであれば、デフキャリアからドラシャを抜くときにサイドシールに引っかけないように注意します。
この際、ハブキャリアの角度は走行中はあり得ないものになりますので、ブレーキラインや車速センサーが傷んだりしないよう気を払うとよいでしょう。
バックプレートが歪んだりしないようにもご注意。
5
デフサイドシールの打ち込みについて。
このシールは、画像のようにデフキャリアの面に対して真っ直ぐかつツライチになるようにインストールする必要があります。
ハンマーとポンチのような工具を使って、叩く位置をずらしながら少しずつ打ち込めば問題なくインストールすることも可能だと思いますが、ポンチのような先端が尖った工具を使うとデフサイドシールの表面が凹みやすいため、できれば治具を用意したいところだと思います。
6
デフサイドシールの治具を当てたい(と私が考える)部分の内径は56φで、ちょうど86BRZのハブ径と同じです。
続く
7
つまり、デフサイドシールに86BRZ用のハブリングやワイトレスペーサーのセンターリングを重ねるとピッタリとハマるんです。
デフサイドシールに重ねてハンマーで叩くのに都合がいいです。
続く
8
これはワイトレのセンターリング(外径73φ)を、デフサイドシール(外径70φ)の上に重ねて横から撮影したところです。
重ねる治具の外径がデフサイドシールより大きければ、デフサイドシールをデフキャリアにツライチになるまで打ち込んだところでそれがストッパーとして機能し、デフサイドシールの打ち込みすぎを防止できます。
続く
9
ワイトレのセンターリングを重ねただけではハンマーで叩きづらい形状をしているため、さらにハブリングと、プリングルズの底蓋を載せてみました。
デフサイドシールの上に、ワイトレのセンターリング→ハブリング→プリングルズの底蓋と重なっています。
あとは適当にテープなどで養生すればハンマーで叩きやすいかと。
デフサイドシールの打ち込み用の治具についての参考情報は以上です。
10
デフサイドシールを打ち込むときは、シールするデフキャリア側の側面の錆や汚れをきっちり落としておきましょう。
わずかな隙間があるだけでも、時間が経てばオイルはジワジワと漏れてきてしまいます。
画像に写っているのは爪に少し引っ掛かる程度の錆ですが、この程度でもオイルは漏れてきました。
ペーパーを当てて落とす場合、面が均一でなくなってしまうことでオイル漏れを起こすおそれもあるため、やりすぎに注意です。
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よく、ドラシャの脱着で失敗してデフサイドシールがやられるという話を見聞きしますが、私はどういう風に「やられる」のかわかっていませんでした。
画像に写っているのはデフサイドシールで、指で押さえているところにバネがハマっています。これが開口部を締め付けるようにすることで、オイルが漏れずシールとして機能するそう。
ドラシャの脱着時にこのバネを引っ掛けてしまうと、伸びてビロンビロンになってしまうわけです。
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こちらがビロンビロンになってしまったバネ(右下の輪っか)
13
ドラシャをデフキャリアに差し込むときは必ず先端のCリングにデフオイルを塗るべきです。
塗らずに差し込むとCリングが引っかかってドラシャがすんなり入ってくれず、Cリングが画像のように大きく傷んでしまいます。
(オイルが塗られてすんなり入った場合でも多少の傷はつきます。)
なお、傷が入ったCリングは、次回ドラシャを抜き出すときにも、デフ内部に引っかかって抜けにくくなったり、傷をつけたりする可能性が考えられます。
個人的には、画像のCリングのように大きく傷んでいなければ再使用しても差し支えはないのではないかと考えていますが、脱着時に引っかかってしまうと押したり引いたりする力が大きくなりデフやドラシャ等に負担がかかりそうですので、基本的には毎回交換しなければならないものと考えておいた方がよいと思います。
なお、何度かドラシャを脱着したCリングを新品と見比べたところ、新しいCリングと比べて伸縮している様子はなく、外見上で違っているのは傷の有無だけのようでした。
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ペラシャとデフキャリアのジョイント部分について。
ここは赤丸で囲ったナット側は固定しつつ、反対側のナットを締めます。
続く
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レンチを入れるスペースも、レンチが可動できるスペースも狭いので、使う工具や締め方は工夫や試行錯誤が必要です。
私は最終的に画像の通り工具を使い、撮影位置に体をもっていって締め付ける方法に落ち着きました。(撮影後、右手でメガネを固定し左手でトルクレンチを締めました)
続く
16
画像右手に写っているメガネレンチの挿入スペースは非常に狭いです。
一般的な10mm厚のレンチだと、ボルトを締め付けたあとにギリギリ脱着できないかもしれません。厚みが8mm程度のレンチがあるとベターだと思いました。
また、80N・mというなかなかの高トルクで締め付けられているため、デフからペラシャを外すときは超ロングメガネレンチがあるとよいと思います。
ここのボルトナットはどちらも二面幅は14mmです。
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