旧友

年末に向けて、スロースターターながらやんわりと大掃除に勤しむ中、我が家のチャイムが鳴った。

「誰だろう？」
そう思って玄関へ行くと、ドアの向こうに少年時代の私の友達が立っていた。

彼と会うのは…軽く20年振り、いやそれ以上の時が経っているだろうか。

現在でも当時の面影の残る彼の顔を見ながら昔話に花が咲く…かと思いきや、彼の口から飛び出した言葉は

「あの…選挙のお願いに来たんだけど…○×党なんだけど…ヨロシクね」

という選挙直前に良く耳にする挨拶をする旧友に若干の違和感を覚えながらも昔話とお互いの近況報告を交えた雑談。

「これからまだ同級生の家を回って来るんだ。じゃあ、またね！」

そう言い残し、昔のままの人懐っこい笑顔で手を振る彼を見ながら「これが選挙ではなくて純粋にフラッと訪ねて来てくれたなら、もっと嬉しかったのにな…」と、懐かしくも少し寂しい複雑な心境で彼を見送った。

しかし、選挙の件がなければ彼と話をする機会が無かったかもしれない。

「随分と長い間、音信不通だった旧友の元気な姿を見れただけでも良しとするかな…」

そう考えつつ私は再び、足の踏み場のない戦場へと戻って行った(苦笑)