「軽自動車の価格、10年で5割上昇 賃金は横ばい」
庶民の生活は一段と厳しく、車離れも更に加速なんでしょうね…
一方TOPIXはバブル後最高値更新、日経平均株価の先物もロンドン時間帯に30130円超え、明日朝の東京スタートは3万円台軽く上まわって始まりそうな模様。菅総理の退陣表明を世界中の投資家大歓迎。大金持ちさん達のマネーゲーム、持ってる人は更に富み、一般庶民はコロナの後始末で更にきつくなりそうな未来。
(日経新聞2021年9月6日朝刊)
軽自動車の価格、10年で5割上昇 賃金は横ばい
軽自動車の価格上昇が止まらない。政府統計によると過去10年で平均価格は5割近く上がった。軽にも高機能の安全装備が付加されるようになったうえ、激しい販売競争を繰り広げた2強のダイハツ工業とスズキが採算重視に転じたことも背景にある。この間の所得の伸びを大きく上回り、「庶民の足」が家計に与える負担は増している。
政府は2035年に軽を含むすべての新車を電動化する目標を示している。電池やモーターのコストが加わって価格はさらに上昇する見通しで、国内の自動車市場の4割を占める軽の販売にブレーキがかかる可能性もある。
賃金は横ばい
総務省の小売物価統計調査によると、11年に108万円だった軽の平均価格は21年8月には157万円に上昇した。普通乗用車は同期間に19・8%の上昇と値上がりは緩やか。結果として軽の割安感は薄まっている。
価格が上昇した背景には、軽自動車の安全性能などの機能向上がある。高齢ドライバーによる事故が増え、「車を購入する際の決め手の一つが安全性能の高さになった」(都内販売店)。
ホンダの人気軽「N―BOX」は17年から安全運転支援システム「ホンダセンシング」を軽自動車として初めて採用した。
前方の車両や歩行者を感知したり、車線からはみ出さないようにしたりする機能で、カメラやセンサー、処理に使う車載コンピューターがコスト増の要因になる。11年の時点では124万~178万円だった価格は、現在は142万~202万円まで上昇した。
安全機能を付けることで、直接関係しない素材もコスト増になることがある。大手ガラスメーカー幹部は「近年では軽でもカメラを取り付ける加工をしたガラスが一般的になり、その分価格は上がっている」と話す。10年ほど前には軽自動車メーカーからそうしたガラスの注文はほとんどなかったという。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の20年の平均月例賃金は30万7700円と11年比で3・7%の上昇にとどまった。11年に月例賃金の3・6カ月分だった軽の価格は20年には5カ月分まで上昇し、負担感は増している。
値上がりの背景には、軽2大メーカーのダイハツとスズキのシェア競争、いわゆる「SD戦争」が10年代半ば以降に一服したこともある。両社は軽自動車市場の6~7割を二分。2社はかつて「低燃費、低価格」を軸に激しい販売競争を繰り広げていた。
例えば11年にダイハツが1リットルあたり30キロメートル走る「ミライース」を79万円で発売すると、スズキはすぐ「アルト エコ」で対抗。シェアを大きく見せるため系列販売店が新車を引き取る「自社登録」も横行していた。
ただ今では、「燃費や価格からメーカーの収益性向上にもつながる居住性や安全機能などに競争軸が移った」(東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリスト)。スズキが10日に発売する新型軽「ワゴンRスマイル」では、乗り降りのしやすさで人気のスライドドアをワゴンRシリーズとして初めて採用するなど、機能面に気を配った。
EV化にも費用
メーカー各社は性能向上に伴って価格を引き上げてきた。ただ脱炭素に必要なハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の開発でこれ以上の価格上昇が進めば、需要への影響が大きいと見ている。「補助金を差し引いた負担が200万円を切るくらいでないと、受け入れてもらえない」(スズキ幹部)と警戒する。一般に軽自動車をEV化するとバッテリーやインバーターなどで100万円以上のコスト増になるとされる。
軽自動車は新車販売の4割程度を占め、上位2社をホンダと日産自動車・三菱自動車連合が追う市場だ。販売は14年の227万台をピークに減少傾向にあり、20年は14年より2割以上少ない171万台まで落ち込んだ。少子高齢化による自動車市場全体の縮小や、15年の軽自動車税の増額などが主因とされるが、割高になった軽自動車の新車購入を諦め、中古車などを選択している可能性もある。
公共交通機関が手薄な地方などでは生活を支えるインフラとしての側面を持つが、優遇のあり方については議論の的になってきた。
15年には軽自動車税が引き上げられた一方、19年には一般の自動車にかかる自動車税が大幅に引き下げられた。性能面でも経済的な負担でもその差が縮まるなかで、メーカー各社は軽自動車の位置づけを探る時期に来ている。
Posted at 2021/09/07 00:25:44 | |
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