今日は「昭和の日」です。昭和天皇の誕生日であり、祝日法では「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」日としています。一応ぺんこさんも昭和生まれですが、段々と遠くなっていく時代の空気や人やモノの記憶に寂しい気持ちを覚えます。
ぺんこさんがスバルディーラーに平成15年(4代目レガシィやR2がデビューした年)に入社して整備士として働いていた頃、入庫していた昭和のクルマは既にほとんどなく、あったとしても旧規格550㏄時代末期の軽自動車や初代レガシィの発売後もしばらく売られていたレオーネくらいなもので、4輪ドラムブレーキのクルマなんて珍しく、キャブレター調整だとかポイント交換をする機会は実に少なかったです。スバル360なんぞ部品も無いし触れる人も既に居らず、初代アルシオーネに至っては片手で数えるくらいしか見たことがありませんでした。
そんな自分が扱った中で飛び抜けて古いクルマが2代目レックスコンビでした。しかもパートタイム式4WD+ターボ、サンルーフ付き、これで4ナンバーの3ドア貨物車(ボンネットバン)。いかにも80年代な内外装と誇らしげな4WD TURBOのロゴ。車齢と自分の年齢は一つか二つしか変わらず。年が近くて妙に親近感を勝手に感じたわけで・・・
市街地から遠く離れた山奥に住むお客さんの所有で、よく引取りや納車に行かされましたので存分にテストドライブができました。ターボ付きと言え550㏄2気筒のエンジンは過給が効いても(ブーストがかかるとメーター内のインジケータが点く)やっとヴィヴィオのNAと同じくらいの加速感でいくら軽いと言ってもお世辞にも速くはありませんでしたが、吹け上がりは4気筒のヴィヴィオやプレオとは違う小気味の良さがありました。
車検整備をよく担当しましたが、エンジンはお約束のサイドケースからのオイル漏れがあり(洗浄して終わり)、フルトラ点火でポイント点検不要、ブレーキは当時軽自動車初採用のフロントディスクブレーキで分解清掃は楽々。足は得意の4輪独立懸架だし、全体の機械的な構成・構造は平成以降のクルマと大きく変わらず、特に難しいことはなかったかなと思います。
しかし寄る年波には勝てず、車体の腐食はジワジワと進み、最後はリフトアップができなくなるほどフロアやサイドシルが侵され廃車となりました。新車から数えて二十数年でした。走行距離は10万㎞いってなかったと記憶しています。自分の中での数少ない昭和の生き証人の最後はちょっと悲しかったです。
時は経ちスバルは軽自動車の自社生産を止め、現在ではなぜかダイハツロッキーのOEMとして「レックス」の名前が復活し(しかも2WDのみ・ハイブリッド無しの到底理解できないラインナップ)、悲しいことに昭和から続く歴史や伝統はこれっぽっちも感じられませんが、このレックスコンビ4WDターボが残した強烈な記憶は自動車整備の現場から離れた現在でも時々誰かに話したくなるものなのでした。
当時はそのルックスに特に感想は無かったのですが、今改めて見るとカッコ良いのです。
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2024/04/29 23:10:25