【突発的旅行日記　ないとおぶふぁいやー編②】

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『22:00』

Ｋ君は、手馴れた様子でちびとろ号を積み込み
おいらはコンビニでコーヒーを買出し、一路松本へ向かう事にする。


暖かい車内で、暫く会えなかった間の話をとめどなくしていると
運転しているK君がどうも怪訝な顔をし始める・・・。





「なんか燃料がそろそろやばいかも・・・次のPAで燃料いれますね」


なるほど、ディーゼルとは言え上田から来ればかなり燃料も使うよな・・。
八ヶ岳PAならスタンドが併設されてたはずだから、そこで補給すればいいかな
などと楽観的に考えていると、時間が遅かったせいで既にスタンドは閉店していた・・。

流石に下道に下りても、この時間で空いてるスタンドは、諏訪まで行かないと無いよなぁ
と考えていると、K君はこれまた笑顔で

「あ、燃料の予備積んできていますんで大丈夫っす！」
と、荷台から燃料の携行缶を取り出した。





早速八ヶ岳PAの駐車場で燃料を移し変える事にする。
常設の灯りは、適度に暗いのでこぼさないように慎重に作業を始めた。

半分くらい燃料を補充したあたりで、ローダー車のエンジンを掛けるK君。





キュル！ガルルルルル・・ブボ！ボボボボ・・ストン！



ん？





キュル！ボボボボブブブブ・・ブブ・・ストン！



んん？



何かおかしい・・・。
K君もおかしいと言う事に気がつき、キャビンを上げ燃料ﾎﾟﾝﾌﾟ周りを点検し始める。
ガス欠症状ではなく、燃料ポンプが壊れた可能性が出てきたのだ・・・。
燃料ポンプ回りの金属製ガスケットが何度もばらすうちに変形してエアを吸っているかも・・と。




だが


手動でﾎﾟﾝピングし、燃料を送り出していると
暗くてよくわからないが、明らかに軽油の其れとは違いサラサラとした手の感触
に違和感を覚える。

ポンピングを繰り返すと症状は更に悪化し、ばらしたポンプから流れ出る
液体のサラサラ感は増していく。



まさか




携行缶の中に僅かに残った液体をLEDの懐中電灯で照らすと
明らかに分離している・・・。


そう、いままで一生懸命補充していた液体は



水



だったのである。
既に携行缶の中身はほとんど燃料タンクの中である。

しかし、水で走るほどハイブリッドなローダー車ではないから
当然、水を抜かなければならない。


適当な容器・・と言えば、今朝買ったばかりのコンテナケースがある
これならば15リットルほどは容量があるので迷わず燃料タンクの下にあてがい
ﾄﾞﾚﾝボルトを外す。



勢い良く流れ出す液体は、予想を裏切らないほど「水」だった。

ケースに満杯になったらﾄﾞﾚﾝを閉め、水を捨てまたﾄﾞﾚﾝを空け・・と
数度作業をするうちに、上澄みの軽油が容器に溜まるようになってきた


しかし、それでは帰路につくには全然足りない燃料である。

ポンプ側でも吸い上げてくる液体が軽油である事が判るくらいになってきたのでエンジンを掛けてみる。



キュル！ガガガガボボボボ

キュル！ボボボボガガガガガルッルルルルル・・ボボボ

キュル！ガッルルルルルル


何とか、ラインに燃料が廻ってきたようだ。



とは言え、諏訪まではどうあがいても燃料がもたないのは判りきっていたので
おもむろに携帯を取り出し、とある番号に電話を掛ける。



＃８１３９


本日二度目の救援要請である。

⑪へ続く　・・・水を英語で言うとﾜﾗｰ！(・∀・)