私が小さい頃は15歳年上の兄の本棚は宝箱でありました。
そこには漫画から時代小説、何故かキリスト教関係のものまで万遍なく本があり、インドア派だった私にも「汚さないで読んでね」と寛大に本を読むことを許してくれました。
子供なので漫画に目が向くのですが、その中で今でも印象深いのは滝田ゆうさんの「寺島町奇譚」という作品で、これは滝田さんの自伝的な作品だったと思われます。この寺島町とは現在の東向島あたりの事で、「玉の井」と呼ばれた場所には昭和30年代まで所謂「赤線」がありました。が、ここは吉原のような「公娼」が集められた遊郭ではなく、私娼が集まった出来た厳密に言えば「もぐり」の私娼街でありました。
そんな歴史を黒歴史と見るか否かは別にして、子供時代には東武線の「玉の井」と呼ばれていた駅名も「東向島」と変わり、そんな時代の片鱗はどこにも見当たらなくなりました。
件の「寺島町奇譚」という作品を初めて見たのは小学2年生くらいだったと思います。うちの両親は寛大というか無関心というか、小さな子供がこの手の作品に触れる事に対して何の抵抗も無かったようで、私自身もまた「玉の井」という街が持つ意味も淡々と受け止めていたように思います。
この作品は確か東京大空襲の場面で終わるというあまり後味の良いエンディングではなかったと思いますが、普通の人が普通に生活する日常を根底から奪う「戦争」という行為の怖さに夜も眠れなくなった記憶があります。
そんな東向島にも高層のビルが出現し、時代の流れを感じます。
そんな交差点の近くに
「レストランカタヤマ」という小さな洋食屋さんがありました。
こういうディスプレイも今は見掛けなくなりました。
分厚いステーキのディスプレイは特注品でしょうか。
お店に入ってみます。
メニューの数は色々ありましたが、とりあえず初めてのお店なので日替わりを注文してみました。当然ながら全て手作りのランチは美味で、780円(税込)という破格のお値段に大満足です。
そのランチの席で友人が「MINIのクラブマンってどうよ」という話になりました。奥さんでも運転できるサイズの車が欲しいそうで、MINIIが気になっている様子でした。
で、私も最近のMINIはバリエーションが多くて不勉強でしたので、そのままお台場にあるBMWの総合ショールームを目指し…
MINIクラブマンに会って来ました。
昔のクラブマンとの脈絡はリアの観音開きゲートぐらいでしょうか。
通常の4ドアモデルよりもリアドアが長いので、バランス的には良いように見えます。
リアの乗降性も真四角に開くドアの為、見た目以上に良好です。
内装のクロームの使い方が素敵です。
レザーシートですが、タイトでスポーティーな座り心地が良いです。
私は助手席でしたが、一番ベーシックな1500ccの3気筒で何ら不満なく、足回りの動きにはどこにもチープさは見当たりませんでした。
このMINIからは、これを買った後に楽しそうな生活のシーンがイメージ出来ました。これは車にとって大切な事で、どんなに高級な車でもそんな妄想を膨らませるだけの魅力のある車って意外と少ないものです。日本の車に一番欠けている部分がここで、失礼ながら日本のコンパクトを見ても農家のお嫁さんがJAに行く所帯じみた姿が連想されるだけで楽しくありません。今回は助手席に乗っていただけですが、何だか久しぶりに「車って楽しいな」と思えた車がこのクラブマンだった事は自分でも驚いております。
この方はクラブマンとクロスオーバーで迷っているようですが、恐らくこれならどちらを買っても末永く楽しめるのではないでしょうか。
Posted at 2017/11/09 20:44:53 | |
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