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2020年07月02日 イイね!

3Pホイールのユニフォミティマッチングは難しい?

3Pホイールのユニフォミティマッチングは難しい?以前ご依頼いただいたバシケンさんのホイールですが、事情が有りリム交換を行い再度ユニフォミティマッチングをすることになりました。
今回は3P(スリーピース所謂組み立てホイール)ホイールのユニフォミティマッチングを行う際の注意点等を解説したいと思います。
弊社で使用しているHUNTER社製のユニフォミティテスターGSP9700ですが、他社にない優れモノなのですが、吊るしや機械任せのままで使うと今一つの部分もあり、実際に他店のGSP9700で作業したのですが今一つというお客様が結構ご来店されます。企業秘密?の部分も有りますので癖やコツ等を出来る範囲で公開したいと思います。  業界向け長文注意です。

SSRさんからインナー、アウターリムを交換して戻ってきました。
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検品後、各種測定を実施します。
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ランナウト測定結果です。3Pにしては良好です。組み立てホイールの振れ精度は0.5mm以下が望ましいです。
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機械の指示通りにローポイントにマーキングしてタイヤを組み付けします。再度測定後位相合わせをしてRFVを最小化します。
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位相合わせ後の数値です。組付けRFVが110Nと非常に悪い結果となりました。
機械の指示通りに作業を終了するとここで終わりです。

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組付けRFVが110Nと基準値外ですが、改善の余地は無いのでしょうか?
GSP9700が指示するローポイントは、実はインナーとアウターの平均ローポイントなのです。
この辺りを理解しないとRFV最小化は難しくなります。

3Pホイールの構造ですが、ディスクを挟んでインナー、アウターのリムがピアスボルトで締結されています。
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模式図で表すと下図のようになります。実際はセンターボアやPCDの精度も有るのでさらにややこしくなります。
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当然組み立てていますので、わずかな隙間によりずれが生じ、ランナウトに狂いが生じます。
下図は、ディスクを中心にリムが一方向にずれている場合です。インナーアウター共にローポイントの位相が0度で、平均ローポイントも同じ位置になります。1Pホイール含めこの状態が一番良好です。ラジアル方向の振れは修正がしやすいのです。
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下図はローポイントが90度ずれている場合です。上の図のインナーを90度回転させるとこのようになります。この場合の平均ローポイントは大体45度の位置になります。
振れ量と位置にもよりますが、ローポイントの位相が90度までが良品判定の限度となります。
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下図は上の図からさらに90度回転させた状態です。ローポイントの位相が180度になり、平均ローポイントの位置は90度になります。この状態がホイールの精度としては最も悪くなります。
ハブ穴が真っすぐ開いていない場合や、ハブ面の水平が出ていない場合にこのような状態になります。
ラテラル方向の振れは回転が上がると大きくなります。所謂カップルやダイナミックバランスが悪い状態になります。
振れ量1mm平均0.5mmでも位相が180度近くの場合は弊社では不良品判定としています。
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上記が3Pホイールの特徴ですが、3つの円それぞれにさらに振動成分の特徴があります。
自動車はばね下重量の比率や材質で固有振動数が概ね決まっています。
シミー(ハンドル回転方向の振れ)や振動は通常サスペンションのバネ下固有振動数が共振する事により発生します。構造上固有振動数は10~15hzとなっています。
タイヤ外径は大体650mm前後なので。シミーが発生しやすい100km/h時には約13.7rps(hz)(1秒間に13.7回転)となりますのでサスペンション固有振動数に近く共振して振動が増幅されてステアリングが振れたり振動が出ます。
2次RFVが悪いと1回転に2回の入力が発生するので100km/hの半分、50km/hで13.7hzとなり低速シミーの原因となります。3次RFVが悪いと33km/hでも振動が出る場合が有ります。
2次RFVが悪いという事は円ではなく卵型に、3次は三角形になっているという事に成ります。


ホイール以外にもタイヤやハブ含め全ての丸いものに共通する特徴ですが、円形は1次から高次成分の集合体になります。円周率が割り切れず無限に続く限り真円は無いのです。

下図は振動に一番影響が有る1次成分が悪い模式図です。ホイール等の硬い物は寸法的に短い、タイヤ等は剛性的に低い部分、遠心力が掛かる場合は軽い部分となります。
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下図は所謂タマゴ型になっている状態です。

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下図は三角形になっている場合です。低速シミーの原因になります。
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上記を念頭に、ホイールを見てみます。インナーリムの振れは2次成分が大きいようです。
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アウターリムは3次成分が大きいです。
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下図はバシケンさんのホイールを模式図で表したものです。機械上のローポイントはあまりあてにできないことが分かります。

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上記を踏まえ、タイヤの1次や2次、3次RFVピークをホイールのインナー、アウターの各ローポイントに合わせていきます。合わせる方法や考え方は企業秘密ということで。。。
通常は1発では決まらないです。今回は1本あたり3回ほど合計12回ほど組み替えました。。。

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作業後の数値です。組み立てRFVが20Nと大幅に低減できました。
全ての凸凹が嵌ると大幅に真円度が向上します。
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フーリエ変換したプロットです。2次、3次成分共に問題ない状態になりました。
TIRを出来るだけ平坦にすることが真円度を高めることになります。
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4本すべて実施した数値です。すべてRFV50N以下となりました。C3M製法で作られたミシュランタイヤの場合は大体50N以下になる場合が多いです。バシケンさんもそうでしたが、慣れない所でミシュランタイヤを組むと嵌合不良が非常に多いです。高価なタイヤなだけに非常に勿体ないです。

RFVを最小化してから重量のバランスを取ります。GSP9700の通常モードでバランスを取ると残留アンバランスが多めに出ます。特にカップル(ダイナミック)バランスが多く残り超高速域での振動が出やすいです。他店の作業で問題が多い部分の一つです。 当店では1g単位で重量バランスは取っています。
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振動問題が解決することを祈りつつ、傷がつかないように厳重に梱包して発送させていただきました。
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3Pホイールは、3つの円とタイヤ、ハブの嵌合、ハブベアリング、ハブリングを使用しているなら合計7個の円形を、個別に見るとタイヤ含め全てに1次成分から高次成分が含まれていますので、それらを組み合わせて真円に近づけるのがユニフォミティマッチングなのです。
ここまで追い込んでも低速ユニフォミティなので実際に負荷と遠心力が掛かる高速ユニフォミティはまた別次元となります。現時点では実際に走行するしかないですが、ここまで拘って組み付けても全く改善しない場合もあり、やはりタイヤは奥が深いです。

こちらの作業はバーデン時代でしたが、ジェームスになってもユニフォミティマッチングは継続していきますので、振動問題でお悩みの方は一度ご相談ください。

遠方の場合は通販もしておりますので是非ご利用ください。

バシケンさんご利用いただきありがとうございました。



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