11月10日に富士スピードウェイで開催されたクラシックポルシェパーティーでは、シンガーポルシェが来るというのが個人的な注目ポイントでした。
964をナロー風モディファイしたカスタムカー、というのがWEBや雑誌で得られる情報でしたが、今やナロールックに改造される930や964は沢山居るので、それらとどこが違うのかが気になる所でした。
まずは外観を一回りしてみましょう。
Singerのバッジに下に重なって表現されているのは、シンガーのHPでも使われている「REIMAGED」の文字
ナロールックを作る場合の文法は、トランクフードとエンジンフード、左右フロントフェンダー、前後バンパーの各パネルを交換して、そこに純正のライトやウィンカーなどの灯火類を取り付けますが、シンガーは灯火類まで全てカスタムパーツを使っています。
ヘッドライトがガラス球のようなキセノンランプに変わっているだけでなく、ナローではホーングリルになる部分にドライビングライトが仕込まれていて、なおかつ、ウィンカーユニットと一体になっています。(ナローはグリルとウィンカーが別パーツ)
ナローや930で見慣れたリアウィンカーですが、実はこれもカスタムパーツ。
右端の素通し部分から見える内部の作りが別物で、さらにレンズの取り付けボルトがありません。
また、ユニットとボディの隙間の少なさは、量産車では絶対に無理なレベル…(^^;
リアウィンカーユニットと一緒に写っているクロームのリアオーバーライダーも、本来のナローはもっと下が長いですし、真後ろから見た時の厚みもナローよりずいぶん太いカスタムパーツです。
72年式のみに採用されたリアタイヤ前方のオイルタンクとオイル給油口も、ナローはボディに馴染む蓋が付きますが、こちらはキャップむき出し、フロントトランクの真ん中から飛び出す燃料キャップと合わせて、レーシーな雰囲気を作っています。
そして、911の象徴でもあるフックスホイールが見えますが、実はこれもカスタムパーツ。
ここで純正フックスについておさらいすると
14インチ
https://www.aasesales.com/collections/porsche-911-brakes-wheels-tires/products/wheelrack1-103367
15インチ
https://www.aasesales.com/collections/porsche-911-brakes-wheels-tires/products/backrack-114808
16インチ
https://www.aasesales.com/collections/porsche-911-brakes-wheels-tires/products/wheelrack-108179
この様に比較すると判るのですが、ホイールの直径が変わっても5本スポークの長さは同じままで、スポークのさらに先を広くする事で直径を拡大しています。
インチアップする度にスポークのデザインをやり直すのは非効率なので、こういう方法でインチアップしていったのでしょう。
また、15インチの途中から深リムからフラットに変わったのも、将来的な16インチ化への準備だったと考えられます。
好みもありますが、個人的には16インチは外周の拡大部分が広すぎるので、デザイン的には15インチまでだと思ってます。
ポルシェもそう考えたのか、このデザインは16インチまでで、17インチからはデザインが変更になります。
こちらがシンガーのリアホイールのアップ。
デザイン的には16インチではなく15インチに近い物になっています。
ちなみに、初期の930ターボで使用された9J×15インチがこれで、深リムの作りがシンガーと良く似ていますよね?
9J×15インチ
https://www.aasesales.com/collections/porsche-911-brakes-wheels-tires/products/noloc-m133-180i-109396
そしてシンガーのリアタイヤのサイズを見ると
265/40ZR17の文字が!
純正には存在しない17インチフックスホイール!
しかもデザインは15インチテイスト!
このホイールだけでも欲しい!、というポルシェ乗りは少なくないと思うなぁ~
ホイールアーチに付いていた樹脂モール?
装飾というには地味なので、駐車場で隣の車のドアパンチから守るため??
インテリア
インパネこそカーボンが貼られてますが、シートのファブリック柄や、メーターのシルバーリングなどは、ナローテイストを色濃く再現しています。
特にメーターは、
針の中心の銀ボタンだけでなく、二重リングに緑の文字とナロー初期のテイストが再現されてます。
それでいてタコメーターのスケールは1万1千回転と、レーシーな雰囲気を盛り上げます。
MTのシフトノブも、ナローと同じ球形首付きがセットされています。
エンジン
4リッター空冷フラット6は、今時の車ですからエアコン装備(笑)
スロットルは独立6連と、ナローなら譲れないポイントを押さえてますが、ドライブバイワイヤの電子制御というあたりが現代の車ですね。
ここまでカスタムパーツのオンパレードだと、ポルシェ純正部品を使っている部分は、ボディシェルとガラス、ドアハンドルにポルシェエンブレムくらいかもしれません。
そう思ってフロントのフードクレストを観察。
シンガーのクレスト
日陰に置いてあるせいか、金色が落ち着いていていい感じです。
現行品
現在新品で入手できるナロー用純正エンブレムのピカピカ仕様とは随分違って、まるで当時物の新品の様な趣。
当時物NOS
当日は当時物使ってるのか!とびっくりしましたが、家に戻って写真を拡大して良く見ると、現代の物である事が確認できて一安心。
シンガー
当時物
鹿の角がある部分の金地のツブツブが小さく盛り上がりが少ないのが当時物、ツブが小さいぶん密度が高くなっているので、ギラギラ感が抑え込まれます。
シンガーで使われているエンブレムは、当時物に似せるよう何か細工をしているかもしれません。
現在の911に迫る性能と、ナローのデザインテイストを両立させるため、あえてナローの純正パーツを使わずに、アップデートしたパーツを開発し投入する。
それでいて、シフトノブやメーターといったインターフェース部分は、ナローの特徴を色混く残す。
今回のシンガーは、緑文字に白い針とクロームリングでしたが、白文字に赤い針や、クロームリングをブラックリングにするとか、年式違いにも対応しそうです。
どんなナローを作るのか?
オーナーのナロー知識が試されるカスタムカーが、シンガーだと思いました。
追記
今回のシンガー、993ベースでした。
更に追記
ワイパーアームの取り付けから993ベースと推察したのですが、このエンジンベイのフレームを見ると、964シャシーが正解でした!(^^;
(フレーム左に見える丸い穴は、964だけの特徴)
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Posted at
2019/11/20 00:22:00