8月23日~24日、一足遅いお盆休みを戴いて利尻島と礼文島に旅行に行ってきました。
朝5:30に出発、釧路~阿寒湖畔で弱い雨に降られましたが、その後の全行程に
於いて雨に祟られることはありませんでした。
バイクに乗る際の一番の心配はいつも天候ですが、幸いにも今回のツーリングでは
太陽の恩恵に浴することとなりました。
到着時の稚内・宗谷岬です。
この時(12時頃)は雲が多くイマイチな天気がだったのですが・・・
2時頃には御覧の通り、夏らしい青空が広がってきました。
稚内港フェリーターミナルの利尻島行車輌待機場所です。
後方に見えるは稚内全日空ホテルや北防波堤ドームです。
荷物は2日間ということもあって必要最低限に限定し、軽快さを重視しコンパクトにまとめました。
内容は手廻り品入りタンクバック、風呂道etc.入り旅行鞄、シュラフ、テント、防寒着入りリュック。
夜露を防ぐボディカバーはシートと荷物の間に挟みシート表皮の保護に利用し
折り畳み銀マットは背もたれとして長時間の運転のサポートに利用しました。
CBはキャリアもないうえ、シートが短めなので荷物の積載性はあまり良くありません。
RZの方がシートとテールカウル上のグリップによって多くの積載スペースを
確保することが可能です。
ツーリングに特化するべくリヤキャリア上にBOX、両サイドにパニアケースが欲しいです。
放浪旅行時には思い切ってソロシートにしてしまい、後席部分も積載スペースに
充てることも考えています。
小型スクリーン、前後バンパー、フォグランプも付けるかもしれません。
フェリーターミナルの駐車場にはこんなバイクも・・・
内地ナンバーのホンダ・ドリーム50です。
ドリーム50は1997年にデビューした世界最小の4ストロークDOHC4バルブ49ccという
時計のように精密なエンジンを搭載した本格的ロードスポーツです。
1962年に登場した、ワークスレーサーとしてサーキットを駆けたRC110のロードバージョン
である往年の名車カブレーシングCR110を再現したスーパースポーツです。
ミッキーマウス・ヘッド、ロングタンク、ストッパー付シート、赤いフレームが最高にレーシーです。
33万円という高価格や原付ゆえの速度制限がネックとなり販売は振るいませんでしたが
保安装備を省略したレース用の「ドリーム50R」は長きに渡って生産され
今も多くのレーサーに愛されています。
メーターパネルの色がCB750fourとまったく同じで感動しました。
宗一郎の親父さんの「夢」の遺伝子が受け継がれていることが伝わってきます。
歴史の浅い日本の自動車メーカーは、多くが外国の模倣に始まったため
ホンダのように誇るべきルーツがあるメーカーは決して多くはありません。
スピードメーターは純正の60km/h表示が性能に釣り合っていないこともあって
社外品のフルスケール160km/h表示の物に交換されています。
ドリーム50はOHVカブと並んで手許に置いておきたいモデルです。
フェリーの出航までしばらく時間があったので、すぐ向かい側の北防波堤ドームを訪れました。
道内の旧車好きの方にはモデルカー・メーカーのエブロが主催するイベント会場としてよく
御存知かと思います。
パルテノン神殿の如きエンタシス状柱は圧巻の一言です。
北防波堤ドームは1931年(昭和6年)に着工、5年の歳月をかけて建造されました。
1905年、日露戰争の勝利によって獲得した南樺太との連絡航路の港湾施設の保護や
桟橋を利用する乗客の便宜を図るための施設として建設されました。
全長424mに達する、長大な古代ギリシア建築様式を取り入れた外観から
稚泊航路の休止後も観光名所として多くの人が訪れています。
土木学会選奨土木遺産、北海道遺産として指定されています。
港に佇む海上保安庁の巡視船PM84「しらかみ」です。
1977年3月に建造されたベテランで、20隻建造されたびほろ型巡視船の中で
退役していないのは「かつら」と「しらかみ」の2隻のみとなりました。
常備排水量:615トン 全長:63.4m 全幅:7.8m 深さ:4.3m機関:2基2軸 3000馬力
速力:18ノット 航続距離:3.200海里 乗員:34名 ブローニングM212.7mm重機関銃×1
ブローニングM2は1933年に登場、現代も世界各国で運用される傑作ヘヴィマシンガンです。
陣地の対空警戒用に設営したことがありますが、とにかくクソ重かったです。
海上保安庁しれとこ型巡視船れぶん(PL117)
常備排水量は1.200トンで、上のしらかみよりもかなり大きいです。
帝國海軍駆逐艦の如き船橋が力強いシルエットを描き出しています。
船首に備えられた機関銃を北へ向けて、対峙するロシアを睥睨しています。
綺麗な紐でハンドルに括り付けた利尻行き切符です。
費用は2等運賃2080円+特殊手荷物運賃(バイク750cc未満)3820円です。
16:05分稚内発~17:45分利尻・鴛泊着の最終便でした。
本当はもっと早い時間の便に乗りたかったのですが、稚内に到着したのが
正午を過ぎてからだったのでこの時間となりました。
バイクだとクルマと違って頻繁な給油や休憩によってどうしても時間が掛かります。
帰りは夜だったのでかなりのハイペースでしたが、行きは通行量も多く
警察の危険もあるのでどうしても脚が鈍くなりがちです。
利尻島への旅路で乗船したのはハートランドフェリー所属のサイプリア宗谷です。
全長 95.70m 全巾 15.00m 深さ 5.40m 航海速力 19.6ノット 総トン数 3,555トン
旅客定員 夏期/600名 夏期以外/475名 車輌搭載能力 8トントラック/21台 乗用車/55台
就航 平成20年5月
船名は礼文島にのみ生息するレブンアツモリソウに因んで、アツモリソウの学名
「CYPRIPEDIUM(サイプリペディウム)」に、国・地域名「IA」を合わせた造語で
花言葉は旅客船に相応しくロマンチックに「君を忘れない」です。
船体カラーは、コーポレートカラーの濃藍色と北海道の澄んだ空気と太陽が作り出す、
鮮やかな朝焼け・夕焼けをイメージした「茜色(あかねいろ)」です。
客室のインテリアコンセプト「心の旅」と「大自然の優しさに目覚める旅」を基本テーマとして
デザインされた心地よい空間を提供する船として建造されました。
出入港時に鳴らす汽笛が山に反響して、情緒溢れる音色を奏でます。
ああ堂々の輸送船・・・(暁に祈る)
紺碧の海に、白波を蹴立てて進むサイプリア。
風は強くとも海面は穏やかで、ピッチング・ローリングは少なく酔うことはありませんでした。
稚内~鴛泊航路は風が強く、霧雨のように水飛沫が舞っていました。
カメラのレンズにも海水が付着し、光が乱反射しています。
その一方、鴛泊~香深航路は風は弱かったです。
さ~ら~ば~ラバウルよ~、またくるま~でーは~・・・(ラバウル小唄)
次第に遠ざかる北海道を見つめ思わず口遊んでしまいます。
稚内と利尻、礼文や南樺太を行き交う人々は船上からこの景色を見て
如何なる想いを抱いていたのでしょう。
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出航から1時間半ほどが経過すると、左舷側に雲を纏った利尻島が見えてきました。
澄んだ空、深い藍色のコントラストが吸い込まれそうな美しさを湛えています。
「利尻富士」の名に相応しい、荘重なシルエットが威風堂々たる雰囲気を醸し出しています。
山裾がそのまま海岸になっており、島自体がひとつの山のシルエットを象っています。
稚内から1時間40分、2軸のスクリューで52kmの航跡(ウェーキ)を引いてきた
サイプリアの航海もいよいよ終わりとなります。
稚内が遥か彼方に遠ざかりつつあります。
船尾には昇降式のランプウェイが見えます。
死者・行方不明者1155名という日本海難史上最大の遭難である洞爺丸事故では
開放式の船尾車輌搭載口から多量の海水が侵入、沈没の原因となった為
その後の船舶では水密が高められた昇降式に改められました。
陽はゆるやかに沈みつつ、海面に眩く反射しています。
空の色、海の色、波の色、陽の色、風の音、波の音・・・
すべてが美しくあります。
島の手前ですれちがう姉妹船フィルイーズ宗谷。
こちらには鴛泊~香深と香深~稚内航路で乗船しました。
穏やかな海面に浮かぶ船舶の姿は、静謐な雰囲気を湛える絵画の如き美しさです。
右舷側には黄金色に輝く礼文島が見えます。
汽笛の音色も高々と、いよいよ上陸です!
天佑神助の下に雨雲は去り、緑に覆われた島が目前に迫ってきました。
それでは②に続きます。