トヨタ GRヤリス

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2020年式GRヤリス感想文 - GRヤリス

試乗

2020年式GRヤリス感想文

  • ノイマイヤー

  • トヨタ / GRヤリス
    GRヤリス RZ“ハイパフォーマンス”_4WD(iMT_1.6) (2020年)
    • レビュー日:2020年10月25日
    • 乗車人数:1人
    • 使用目的:スポーツ走行

おすすめ度: 4

満足している点
1.2020年にこのような車が生まれた事
2.専用パワートレーン
3.シフトレバー位置の改善
4.質実剛健たる計器類
5.スエード調ドアトリム

あのトヨタから専用スポーツエンジンを積んだ本格的ラリーマシンが産まれたことを賞賛したい。また、ベース車の細かい不満点も改善を施した事も好意的に見ている。


不満な点
1.RCにオーディオが付かない、RZにトルセンが付かない
2.運転席シートのスライドとリクライニング位相ずれ
3.情けない平型ホーン
4.ウェルドラインが目立つRRコンビランプ
5. FFで170ps程度に抑えたGTiが欲しい(願望)

本当はRCにオーディオさえ着けられれば、そこにA/Cを追加して一番安くGRヤリスを購入できたし、RZにトルセンのOPT設定があればRZ"ハイパフォーマンス"でなくても満足できる。スポーツカー事業の糧としてどうしてもRZ"ハイパフォーマンス"を選んでもらいたいトヨタの意向は私にもよーく分かるが。トヨタのスポーツカーを取り戻したいという強い決意を感じる車だからこそ高価な車両価格も一定の理解を示したい。

そうであるならば、シートのスライドやリクライニングが一発で決まらない、とかホーンが情けない音質だとか、そういう部分は改善してせめて欧州競合車並の質感は求めたい。(RZ"ハイパフォーマンスだけでも")

ベースのヤリスと同じRrコンビランプもウェルドラインが意匠面に浮き出ており、品質をキーワードにしているメーカーの製品としてはこだわって欲しかった。



実際に試乗し、このエンジンに大いなるポテンシャルを感じたので、デチューン版エンジンを載せたGT的な仕様が欲しいと感じた。ロングツーリングに適した足回りを設定するだけで今は無くなった欧州BセグのGTiクラブに殴りこみを!
総評
●トヨタ史上最強のBセグハッチバック



2020年9月、GRヤリスが発売された。GRヤリスはヤリスをベースにWRCを意識したハードなスポーツモデルである。ここ20年近くのトヨタのスポーツグレードは量販エンジンに装飾的なエアロを与えただけに過ぎなかった。ヴィッツにG'zが出た際も結局エンジンに手が入らず、不完全燃焼感が甚だしかったが、徐々にスポーツモデル復権の兆しが見え始めた。

過去にはヴィッツGRMNを1.5Lターボ(税込270万円)、1.8Lスーパーチャージャー(税込400万円)と進化を続けてきた。スーパーチャージャーには試乗したことがあるが、当時のヴィッツGRのダルな走りを忘れさせる刺激的な加速、ガッチリ決まる6速MTなど高価な価格に見合うスペシャルな一台であった。

新型はベース車の名称がヤリスに変わり、スポーツ仕様の名称もGRヤリスとなった。

新型はWRCのために開発した車を市販するという従来とは逆のアプローチの最初のトヨタ車とされ、ベースのヤリスよりも低いルーフ、ワイドなボディなど大いにスポーツを感じさせる部分が際立つ。

272ps/6500rpm、37.7kgm/3000-4600rpmという並外れた実力を持つG16E-GTSに電子制御4WDを組み合わせてヤリスをバキバキのラリーマシンとして世に出した。

第一に競技で勝てる車を作り、そのロードゴーイングバージョンがこのGRヤリスだと言う。全長3995mm(+55mm)/全幅1805mm(+115mm)/全高1455mm(+45mm)、W/B2560mm(+10mm)というサイズはベースの日本仕様のヤリスとは大きく異なる。ホイールベースまで違うのには驚いたが、車幅が広い欧州仕様(1745mm)と共通のW/Bであった事から5穴ハブなど欧州仕様からキャリーオーバーされた要素が多々あるようだ。


エクステリアは当然迫力満点だが、意匠の為の意匠ではなく、空力性能に基づいた意匠だと感じられ、エモーショナル疲れ中にあってもポジティブに映る。

インテリアはベースのヤリスに近いが、専用のスポーツシートが奢られ、なんとシフト位置も改善を受けた。派手さを目指すのかと思いきや、メーターはベース車では最廉価扱いのシンプルなアナログメーターとなっている点も、よく分かっている。

海外メーカーはホットなBセグを育て続けているが、ようやく日本から世界に挑戦できるスポーツコンパクトが生まれたことは喜ばしい限りだ。(バーゲンプライスのスイフトスポーツも相当頑張っているが)

トヨタには出来ることなら年次改良を重ねてGRヤリスをしっかり育てて欲しい。

今回、GRヤリスに試乗してみて凄さは十二分に伝わった。だからこそ更なるスポーティモデルの拡がりに期待したくなる。このユニットをGRヤリスだけに置いておくのも勿体無いし、更にかつての4A-GEの様に出来るだけたくさんの車に載せることで一台あたりの型費や設備投資額を薄めることで低価格化にも繋がるはずだ。

例えばG16E-GTSをFFでも扱える170ps位にデチューンしたヤリスGTiも見てみたい。さすがに高回転型NAにしてくれとは言いにくいがターボのままROMチューンである程度の燃費性能と速さを確保して、コンフォートモードを備えたAVSを設定し、内外装にGT的な色気を付与したモデルはどうだろうか。POLO GTIやDS3スポーツシック、ミニクーパーSに対抗しうるモデルに育つのではないか。

既に入門版として1.5NAにCVTを組み合わせたRSは存在する。これが現代版レビンJだとしてもスペック的にもJ過ぎる。見た目は慎ましく、中身は優雅で、RSより力強いヤリスGTiが欲しい。・・・こんな妄想はビジネス的に話にならないが、そんな妄想を禁じえない程の情熱をGRヤリスから感じ取れた。

価格を考えると万人にお勧めできる車では無い。しかし強い意志と個性を持った車ゆえに熱狂的なファンが付くのは不思議ではない。私も魅力は十分に感じ取れた。オススメ度は星4つ。価格が高いが性能も高い。私には財力が無いので・・・・あの葡萄は酸っぱいに決まってる!と思うことにしてミニカーだけを購入した(笑)

デザイン
4
●エクステリア



この手のモデルはベース車を匂わせながら、いかに力強く進化を見せ付けるかが大切だ。父が子供の頃、ベース車からFrフェンダーを無理やり延長して6気筒エンジンを積んだスカイラインGT-Bも、70扁平ワイドラジアルタイヤを履く為にFRP製オーバーフェンダーを備えたカローラクーペ・レビンも「ベース車からの改造感」が只者ではないオーラを放っていた。

もう少し時代が進んで私が子供の頃、インプレッサWRX、ランサーエボリューションなど、車幅を拡幅し、エアロパーツで武装しつつもベース車と共通のパーツをうまくアクセントに用いながら特別感を演出していた。

今回のGRヤリスはヤリスをベースに単にエアロパーツを追加したというより、ベース車に未設定の3ドアを設定し、クーペばりの低いルーフラインを引いた。ホンダN/もびっくりのチョップドルーフかつロングルーフな佇まいはシロッコを思い出させる。ボディはAピラー以降は専用設計だろうから気合が凄い。

ヘッドライト、Rrコンビランプはヤリスを継承しているが、GR系でお馴染みの「ファンクショナルマトリックスグリル」やフォグランプベゼルが丸っこいボディからはみ出して力強さを感じるフロントマスクはエモーショナル顔のベース車大開口バンパーと較べても派手な印象は変わらない。しかし、GRヤリスのそれは冷却性能による要求として形態が機能に従っているのだという納得は出来る。



RZ”ハイパフォーマンス”はピアノブラック塗装となり、素地部品に必要な洗車後の艶出しスプレーが不要となる反面、飛び石で塗膜が損傷を受け易い点は注意が必要だろう。一方でRZの黒素地の場合、経年変化で白化するのでこれはこれで艶出し材のお世話にならなければならず悩ましい。

サイドビューはフロントマスクほどにぎやかではなく18吋大径ホイール、クーペ的なルーフライン、力強い後輪のトラクションを想起させるブリスターフェンダーとレリーフは迫力満点だ。



空力に一役買う張り出したサイドマッドガードなどこけおどしではなく実戦的だ。真横からのカタログ写真を見ると少々間延びして退屈な印象を持つが、実車を見ると斜め前や斜め後ろから見た佇まいがスポーティで良い。私は斜め後からのビューがお気に入りだ。

リアビューはルーフが下げられ、必要最小限の面積となったバックドアガラスにはRrワイパーが省かれている。



ベース車と共通のコンビランプは親しみを感じるが、ガーニッシュにはGRエンブレムが追加されている。専用のバンパーはド迫力のボリューム感だがこれは空力を追求した結果だ。ルーフスポイラーは以外に地味で、空力パーツが腰下に集中しているのもGRヤリスの特徴だ。

GRヤリスのエクステリアは下半身がとてもマッシヴなのにドアより上はすっきりとオラ付いていない点は上品にすら思えた。

●インテリア
エクステリアと違い、インテリアはベース車から大きく変えていないがGRロゴ入りスポーツシートやステアリングに追加されたGRエンブレム、配置が見直されたシフトノブなどGRヤリス独自の装備だ。



メーターはXグレードと共通のアナログタイプだが奇を衒わずシンプルなデザインを採用した点はGRヤリスらしい。中央の液晶画面でブースト計など補助的な情報が表示される。

黒一色の内装は上級グレード用のソフトパッドが採用され、紙のようなドアトリムがスエード調の布張りに改められるなど、価格を考えてもそれなりのクオリティを保とうとした形跡がある。ただ、I/Pの黒樹脂部分のグロスが少々強くて気になるので自分が買うならDOPのカーボン調インテリアパネルを後付したい。

GRヤリスのインテリアは私が所有していたDS3が発していた「オーナーを挑発する色気」よりも、「男の作業場的な風合い」が強く、70年代のカタログの様にコックピットと呼びたくなる。

運転席に座ってシフトレバーの位置の改善に気づいた。カローラスポーツではシフト操作した腕がシートに干渉してしまい、MTとして失格と言える配置関係に失望した。ベースとなったヤリスでもOK判断が出来ていたが、更に配置が改良されている。

動かしてみたがストロークが短縮されて剛性感もバッチリ改良されている。ここが改善されているだけでもトヨタの本気を感じた。

●細部にも魅せるデザイン処理

デザインという項目ではおまけ程度の話題だが、
エンジンコンパートメントもしっかり意匠されている点も好ましく感じた。



エンジン見せてください、などと請われてフードを開ける機会が多いGRヤリスだが走る為に不要、投資の無駄と判断されて殺風景なエンコパ周りを晒してしまう可能性も十分考えられた。ところが実際は、とてもよく配慮されたエンジンルームで思わず写真に収めた。

E/Gカバーの「turbo」のロゴに注目。往年のトヨタ車のturboロゴをオマージュしている。たかがロゴだが、知っている人の胸を熱くするロゴだ。



この意匠を採用した担当者はマニア心をよく分かっていらっしゃる。私はスタタボを思い出したが、皆さんは何を思い出すだろうか。



面白いのは床下のプロテクターもE/Gカバーの赤い挿し色と同じ色で作られている。床裏に赤い部品を設定することは非常に珍しいがふと床下を覗いたときにはいいアピールになるだろう。

走行性能
5
●ディーラーにて市街地走行
ディーラにて試乗をさせていただいた。試乗したグレードはRZ"ハイパフォーマンス"である。運転席に座った感じだと若干HPが高い印象を受けた。もっとシートが下がらないかハイトアジャスターを操作してしまったほどだ。



収まってしまえば狭いとも感じないが、乗降の際にステアリングコラムカバーに膝が当たる点はシートの高さと相まって気になった。

またRZ”ハイパフォーマンス”に装備されるプレミアムスポーツシートは展示車のシートスライド同期ずれが酷く、大変心配になった。これはシートをスライドした際、左右でロック位置が前後にずれると言う現象で、引っかかり方によって運転席が内向きになったり外向きになったりするので前後にシートを揺らしながら位置を確認して微調整が必要だ。

操作系は元々ヤリスと変わらないのでスッとE/Gが始動できた。先にも指摘したシフトはカッチリと正確なフィーリングだが、新車のためかまだ若干の渋さを感じた。時間が解決してくれるだろう。

スタート直後、ディーラー前の道路は渋滞しておりiMTの威力を存分に味わった。MTの発進は慣れていても緊張するがGRヤリスなら発進を補助してくれる為初心者にも優しい。久々にMTに乗る人もいるだろうから、私はこの装備を肯定的に見ている。

のろのろ運転は思いのほかスムーズだ。高いギアのズボラ運転はとても簡単でG16E-GTSはどの回転域からでもすばやく加速できる。前がスッと空けばアクセルに足を添えてやるだけで十分な加速が得られる。



試乗車は3000rpm縛りがかけられていたが、市街地走行では3000rpmも回っていれば必要十分以上である。あたかもディーゼル車のような乗り味だが、GRヤリスはそこから高回転まで澱みなく回る点が異なる。

NV性能は落胆はしないというレベルだ。今時は騒音規制もあるのでハイパフォーマンスカーだからうるさくても良い時代ではないが、走りの為には質量を落としたい。せっかくのJBLが楽しめるギリギリのNV性能と言う感じだ。直列3気筒ということもあり、アイドル振動は比較的感じるし、発進加速時にもE/G音は存在感がある。ベースのヤリスの場合あくまでも実用車としての静粛性を求めるがGRヤリスはスポーツモデル。逞しいE/Gの鼓動はちょっとしたスパイスにもなる。(Fiat500のツインエアも音と振動が商品性になっている稀有な例だ)

営業マンが気を利かせてくれてちょっとしたコーナーがある道路を走らせてくれた。慣らし運転中の試乗車なのでそんなに飛ばせないが、ステアリングはあくまでも正確で狙った方向に車がグイグイ向きを変えてくれる。ブレーキもよく利き、欲しい減速度が得られ、停止時にもコントロールし易い。

最後に住宅地の少し狭い場所も走らせた。全幅1805mmだがドアミラーに張り出したRrフェンダーが映る為、車両感覚は取りやすいが、右左折の際に大型シートやクオーターウィンドゥの小ささゆえに視界は良くない。そもそもインナーミラーとディスプレイオーディオの間のスペースが埋まっていてウインドシールドガラスからの見晴らしも然程良くない。



シフトのつながりや電子制御スロットルの応答性はもう少し流れのいい道路でじっくり検証が必要だが私が乗った感覚では特に気持ち悪さを感じさせなかった。

●特設コースでジムカーナ走行

某所でごく短いジムカーナコースを全開でアタックできる機会があった。



大人気のイベントらしく、別日では乗れずに帰られた人も居られた様だが、私は平日の雨天に参加した為、何とか最終の時間帯に滑り込んだ。この時間他の参加希望者は私は一人だけだったので急遽、プロレーサーの方が私と一緒にタイムアタックに参加される事になった。

長年MT車に親しみながらも週に一回はエンストするような私が、プロの前で人生初ジムカーナに挑戦するなんてなんという因果なのだろうか。

コースを練習する為に1速でアイドリングで走行した。コースを間違えないか、狙ったタイムが出るか、様々な雑念と戦いながらコースを把握した。

1.発進後ヘアピン手前で2速へシフトアップ(ルール)
2.立ち上がったら右カーブ
3.スラローム、右コーナー
4.大パイロンを一周、奥の大パイロンでも一周
5.全開加速しながら右へ旋回
6.立ち上がり全開加速し、指定区画に停止

というコースである。

最初にマークXがデモンストレーション走行をする。ウエット路面を勢いよく走るマークXが走り切った。



一回目のタイムアタック。
そっとクラッチを繋ぎ、すぐに2速へ。コーナリングからの立ち上がりはロケットのようだがすぐに減速が必要。次にスラロームへ突入。アクセルを深く踏み込むよりも一定で踏める限界を探しつつ
ステアリングを左右に切っていく。次のパイロン旋回に向けて気持ちよくステアリングを切ったところ、パイロンと接触したとトランシーバーから声が聞こえた。痛恨のミスで、+5秒の加算。47秒21。(加算後52秒71)



二回目のタイムアタック。
タイムが出てしまう以上、どうしても良いタイムを出したくなる。この日、46秒台を出したら一位になれるとトランシーバーから声が聞こえた。合図を待つ間、ライトニング・マックイーンのように「I'm speed」と脳内で唱える。手が汗ばんでくるが、柔らかい本革巻きステアリングと馴染んできた。

少し高めの回転数でクラッチをすばやく繋ぎ、ヘアピン直前で2速へ。立ち上がりはガツンとアクセルを踏む事にした。どうせGR-FOURが最適なトルク配分でトルクを路面に伝えてくれるからだ。



コーナーを抜けてスラロームではアクセルを抑え目に滑らかなステアリング操作に集中した。右コーナーを抜けて全開加速し減速。指導員から言われたとおり前輪に荷重を残しながら旋回。

RAV4だとそのままアンダーが出てしまうような曲がり方でもGRヤリスなら力技で曲げてしまう。VSCが介入しているかもしれないが私は必死に横Gに耐えながらコーナー出口を探す。立ち上がりで脳みそがズレる程の全開加速、減速して旋回。一連の操作を滑らかに正確に行うことは難しい。ついついゲーム的というかON/OFF動作になりそうなのを必死で抑える。

ラストに向けて全開加速し、右コーナー。ステアリングに頼って曲げるとズバッとRrが流れるも修正舵を当てつつ、GRヤリスの速さを体感。最後にパイロンの区画で急ブレーキで停止させたが、勢いあまって区画を飛び出るギリギリで停止した。

タイムは47秒をギリギリ切った46秒98。出来すぎたストーリーだがこの日参加した人の中でベストのタイムを出すことが出来た。(ちなみにプロの方はTVで見るような完璧な走りでサラリと44秒台が出ていた。)

トランシーバーから聞こえる「おめでとうございます!」の声、プロドライバーの方が拍手をして下さり、良い思い出になった。

雨天でありながら、それを全く感じさせない安定した刺激的な速さ、そして私のような初心者が乗っても、とにかく早いというのがGRヤリスの特徴だ。
乗り心地
3
●乗り心地はこの手のモデルとしては十分

GRヤリスは走る為に生まれてきたので少なくとも乗り心地に期待できないキャラクター設定である。ところがディーラー試乗では意外と納得できる乗り心地だった。

路面の荒れた部分を通過するとそのままショックが室内に入り込むが入り込んだ後はすっと揺れが収まるし、角のあるショックではない。

ファミリーユースには向かないが、普段使いには十分問題ない。助手席にゲストを乗せる際は人によっては気になるかもしれないが、一名乗車なら十分実用レベルと言える。
積載性
3
●居住性
GRヤリスは前述の様にルーフを下げ、3ドアとしたことで居住性も乗降性もベース車よりも落ちるのもやむを得ない。しかし、クーペとしてGRヤリスを見れば決して狭苦しいだけではない。前席で十分なドラポジをとって後席に座るとニールームはシートバックに接触し、ヘッドクリアランスは首を傾げないと頭部が収まらない。ここは知らぬ顔をして尻を前にずらし、膝を前に突き出すことでヘッドクリアランスを確保すれば短距離なら耐えられるレベルだ。もっとも乗降性の悪い3ドアゆえに、後席の快適性は割り切っても支障は無いだろう。




助手席にはウォークイン機構が備わっているが、
お馴染みのペダルで操作するのではなく、リクライニングレバーと一体化した突起を手で操作させている点は合理的で賢い。一方で、乗降性を確保する為86の様にトリムに手を引っ掛ける形状を着けなかった点は残念。

●ラゲージ

GRヤリスのラゲージはVDA法で174L(ヤリス標準車は270L)、Rrシートを格納すると737Lだが、同セグメント車と比較しても褒められた広さではない。



例えば私が過去に乗っていたDS3だと285L、初代ヴィッツが205L、2代目が274L、我が家のデミオは280LなのでGRヤリスのラゲージは狭い。

普段車に荷物を積まない人なら普段の買い物を載せたりする程度なら十分だし、2名の旅行なら荷物に困ることは無い。ただ、工具箱や洗車道具を積んでおく習慣がある人には狭く感じるレベルだ。

GRヤリスらしいのはサーキットへ行ったときの為に車両装着タイヤが4本搭載できるだけの容量がキチンと確保されている点だ。GRヤリスにとってゴルフバッグが何個積めるか、サムソナイトのスーツケースが何個積めるかはどうでもいい(良くないけど)。



一つ、評価したいのはデッキボードを持ち上げた際、そのまま保持する機構がとてもシンプルで便利だ。GRヤリス専用部品では無いだろうが、トリムに切り込み、デッキボードに耳をつけた設計は他社の事例よりシンプルで安い。
価格
2
●過去と比較すると割高だが・・・

価格に関して、スターレットグランツァV(143万円)、セリカGT-FOUR(330万円)という過去の例から考えてもRZが税抜き360万円、RZ”ハイパフォーマンス”が約415万円なのは高価であると感じざるを得ない。しかしながら、収益に寄与しないから、この手のモデルを作らないのではなく、キチンと収益が出る価格設定をして売るという方策をとることで今後もスポーツモデルを残す為に儲けるという意志を表明した。

GRヤリスのグレード構成は
基本モデルのRS(税込み265万円)
競技ベースのRC(税込み330万円)
基本モデルのRZ(税込396万円)
フラッグシップのRZ”ハイパフォーマンス”(456万円)
の4グレードから選べる。

●RS
エントリーモデルのRSはベース車のヤリスと共通のM15-FKS型1.5L直3エンジンとCVTが組み合わせられるFF車だ。AT限定免許や見た目重視派の方にはこれで十分と見られるが、シャシーは強化されているのでサーキットを走ればベースモデルと明らかにタイム差が出るだろう。4独サス、カーボンルーフ、18吋ホイールも迫力ある装備群も変わらないが、LEDヘッドライト、EPBなどベースのヤリスをそのまま踏襲する部分もある。

●RC
競技ベース車RCはRZの走行性能をベースに装備を簡略化(内装素地化、スマートキーレス、オーディオレス、エアコンレス等)し、競技で汎用性のある16吋Frブレーキと17吋アルミホイール、15吋対応ナックルが専用装備される。また、ダート走行で走り易さを向上させるために前後回転数を同一にするトランスファも5.5万円でOPT設定される。また、インタークーラー冷却用スプレー(1.1万円)の他、左右独立コントロールオートA/C(13.2万円)や18吋ホイールを履くRZの足回り(4.6万円)もオプション設定されるなどRCも選択肢が広いのが特徴だ。税込み330万円+A/C(13.6万円)=343.6万円で幸せになれるかというとそうは問屋が降ろさない。トヨタセーフティセンスが取り付けられないのは許容できてもオーディオを取り付けることが出来ないのは辛い。あくまでも競技ベースなので仕方が無いのだが、RCに最低限の装備をつけて割安に楽しもうとする輩を封じているのだ。

●RZ
RC+66万円となるRZは最低限文化的にG16E-GTS×GR-FOURの走りが楽しめるグレードである。オートAC、EPS、PWに加えてディスプレイオーディオが標準装備され、18吋ホイール、18吋ブレーキ(スリット入りローター)、蓋モノAL化、本革巻きステアリング+シフトノブ+PKBレバー、アルミペダル、イモビライザーが標準で備わる。

MOPでカラードキャリパー(4.4万円)、寒冷地仕様(2.3万円)、トヨタセーフティセンス:TSS(24.9万円)に加え、快適性能を向上させるコンフォートPKG(13.1万円)が追加できる。

コンフォートPKGはJBLサウンドシステム(8SP)+アクティブノイズコントロール、シート&ステアリングヒーター、イルミネーテッドエントリーがセットで装着可能。

普段使いもこなし、週末に運転を楽しむ。という方なら十分な装備内容だが、LSDだけはOPT設定して欲しかった人も少なくないだろう。

●RZ"ハイパフォーマンス"
フラッグシップのRZ"ハイパフォーマンス"は「全部乗せ」である。RZに加えてBBSホイール+ミシュランタイヤ、専用サスチューニング、カラードキャリパー(4.4万円相当)、トルセンLSD(推定4.4万円)、ピアノブラック塗装の外装類、FRバンパーのブレーキ冷却ダクト、空冷インタークーラーに冷却スプレー機能(1.1万円相当)、プレミアムスポーツシート(推定16.2万円)、8スピーカープレミアムオーディオとイルミネーションのセット(10.3万円)が備わる。

価格が推定できる装備差は36.4万円分。残る23.4万円分はホイールとタイヤの銘柄違い、外装部品の塗装代になるわけだから、一般的な車種の様に必ずしも最上級がお買い得と言うことではない。しかし、せっかくスポーツモデルを買うのだからRZ"ハイパフォーマンス"は気になってしまう最上級グレードだ。

MOPとして加えてトヨタセーフティセンス(24.9万円)、寒冷地仕様(1.7万円)、シート+ステアリングヒーター(2.7万円)の設定がある。

●見積もり
グレードはRZ"ハイパフォーマンス"(456万円)のプラチナホワイトパールマイカ(3.3万円)だ。

MOPは予防安全PKG(24.9万円)、シートヒーター+ステアリングヒーター(2.7万円)、寒冷地仕様(1.7万円)というフルオプション仕様である。

本体:456万円
MOP:32.8万円

DOPはボディコーティング(5.2万円)、RRフォグ(3万円)、ETC(2.3万円)、ドラレコ(2.8万円)、エントリーナビ(7万円)、ナンバーフレーム(0.6万円)、GRインテリアパネルセット(3.3万円)、GRフロアマット_アドバンスド(3.3万円)

DOP:27.5万円

メンテナンスパック(6.4万円)、延長保証とオイルボトルキープ(3.4万円)を含んだ諸費用が36.3万円

支払い合計:552.6万円

さすがに凄い金額だと言わざるを得ない。参考までに頭金200万円、ボーナス月15万円とした場合の60回払いの一般ローン(金利5.9%)は月々5.2万円。一方で残価設定ローン(金利4.3%)の場合、上記条件のまま残価が150.5万円(残価29%)残り、支払額は月々2.2万円(ボーナス月15万円)まで抑えられる。



残価設定ローンは確かに支払額が小さくなるが、一般ローンOR残価設定ローンの分割手数料56万円も余分に支払う事になる。この手数料を見ると馬鹿馬鹿しくて現金一括で買いたくなってしまうが、私の稼ぎではGRヤリスが買えるまで貯金すればモデルライフを終えてしまうだろうから一般サラリーマンがGRヤリスを買うなら何らかのローンに頼る例は多いと思われる。

営業マンの方にお話を伺うと、顧客の多くは40代以降の車大好き世代である程度の役職の方だという。確かにこういう方々なら十分購入可能な価格帯なのだろう。私のようなヒラリーマンや若者は中古車に期待・・・・かな。

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